46-48_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ
「噂だけを流すのではなく、本当に付き合ってみよう」
はっきりと聞こえるカリストの声に、ふと目の前が真っ暗になった。
ただ妙にドキドキするだけだった胸が狂ったように揺れた。
「そんなに驚くべきことか?
私はあなたもある程度私と同じだと思っていたのに」
カリストはまだ私が迷路の庭でのことを怒っていると思っていた。
私の首に剣を突きつけたこと。
ペネロペはそのことをすかり忘れていたことに気づいた。
そして、私にしたことを自分にしてみればいいと、短刀を渡してきた。
アーティファクトがあるから、傷はすぐに治ると言って。
ペネロペはその短刀を受け取らず、早くしまえとカリストに言った。
「じゃあ、私と交際するのに何が引っかかるの?」
目で、彼の真っ赤な好感度ゲージバーを見た。
カリストの好感度は確認しなかった。
彼は「私の脱出」とは最も距離のある男主人公だと思ったから。
しかし、今はよくわからない。
もしかしたら私は、ある瞬間から無意識にそっぽ向いてきたのかも・・
なぜなら、なぜなら・・・
「殿下」
〈SYSTEM〉「カリスト」の好感度を確認しますか?
[200万ゴールド/名声200]
〈SYSTEM〉[200万ゴールド]を差し引いて「カリスト」の好感度を確認します
(残りの保有資金42,000,000ゴールド)
そしてカリストの頭上に書いてある白い字がすぐ変わった。
[好感度:76%]
浮かんだ好感度を見ると、名状しがたい気持ちに襲われた。
安堵感と同時に重い感情が胸に押し寄せてきた。
それは失望に似ていた。
「・・女、公女」
手を握ったまま黙っている私が変だったのか、不思議な目つきで彼は見ていた。
私はどんな表情をしているのかわからなかった。
「好感度76%」
もしやという気持ちを止めることができなかった。
「殿下・・・
私を・・・・愛しますか?」
皇太子の目がかつてなく大きく拡張された。
まるで 聞きなれない単語を聞いた人のように彼が聞き返した。
「愛?」
「はい。私を・・・愛して交際を求めるんですか?」
「公女」
カリストは神経質な表情で私をじっと見た。
「僕たちのような境遇で、そういうのはあまりにも似合わない純真な単語だよ。
らしくなくどうしたの?狩猟大会の前夜祭で公女が言った言葉じゃない
あなたの境遇に相応しい現実的な人を探してみる」
その瞬間、誰かが後頭部を殴ったように頭がぼうっとなった。
失望に似ていると思っていたその感情がもっと大きくなって気持ちを落ち着かせた。
皇太子はこのような私の状態に全く気づかなかったのか、あごをなでながらなんども話した。
「よく考えてみると、一理ある言葉だった。
しかし、君の考えは間違っている。
私たちは現実的にお互い最も必要で相応しい位置にいる。
地位が危ない皇太子と、公爵家から出された醜いアヒルの子の結合だ
そしてそれを知って、君といると楽で気分が愉快になる
私たちは結構よく合う方じゃないか?公女」
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