VirtualDesktopの画質設定ってどうしたらいいのか


VirtualDesktopの設定について

VDの設定はPico4、Pico NEO 3 LINK、Quest2、Quest3、QuestPro などほぼ共通して参考になるかと思います。
主にVRCを目的として書かれている記事ですが、他のVRゲームにおいても参考にはなるかと思います。

自分の環境ではどれくらいの設定を使えばいいのか、悩む部分があるかと思いますが、これについては個人差が大きく、どれくらい低いFPSになっても苦にならないか、で大きく変わってきます。

VRCを遊んでいて思う低いFPSでも気にせず居られる値としては30くらいかな、と思います。30fpsを下回ってくると描画遅延も気になる様になってきます。
VRを始めたばかりという方などは30fpsくらいになっても酔いやすい状況と言えます。
ある程度慣れてしまっている人であれば負荷が高いんだなと、感覚的にfpsが落ちている事を認知して酔いにくくなってfpsが低くなっていても酔いにくくなってきますので、酔いやすい方は酔い止めなどを使用し、だんだんと慣れていくといいかと思います。
それ故に、慣れるまでは画質よりも少しfpsを優先する設定を行った方がいいですね。

VDの画質設定に Godlike という非常に高画質な設定がありますが、この設定を使うにしても人それぞれで RTX3060 12GB でも十分使えるという人も居れば RX6900XT 16GB、RTX3090 24GB でもパフォーマンス不足だという人も居ます。

それ故にこのGPUを使っているならこの設定でも十分使えるよ、という話は使う人の許容の度合によって全く変わってきますので、ほぼ同じ環境で同じ設定をしているのに自分の環境では画面がガクガクして使い物にならない、と思える状況でもそれを許容する人にとっては問題無い、となるわけです。

そういった状況から自分が許容できる最適な設定を見つけて設定する必要がありますので、設定をいろいろ変えてみて自分が求める設定をしてみてください。設定の変更でとても使えないという状態になったとしてもHMDやPCが故障したりはしませんので、落ち着いて元に戻せば大丈夫です。

設定を試す順番

設定を試す場合、必ず低い設定から順番に設定を上げていってください。いきなり最高設定をしてみることも当然出来ますが、PCの性能次第ではfpsが極端に下がり表示される画面がガクガクでとても酔いやすくなったりします。

それでは、最初に設定する物としては、SteamVRのレンダリング解像度をカスタムにして100%にしておきます。
この設定をしておかない場合、SteamVRがPCのパフォーマンスに応じてレンダリング解像度を動的に変化させ、VDの画質設定に何を選んで使っても画質の差をあまり感じないという状態になる場合もあるようです。
ただ、アプリケーションによってはカスタムで設定していても動的に変えてしまうものもあるようです。

100%を超える設定をした場合、VDで設定した画質の解像度にSteamVRで100%を超える%がプラスされたレンダリングをGPUに要求するため過剰な負荷となることがありますので、特に何か理由がない限りは100%にしておくのがいいかと思います。

STREAM設定の解説

VR Graphics Qualityについて

Potato
最低画質の設定ですが、一番軽い動作になります。
何かトラブルが起きたりした場合にも確認のために設定して使ってみたりすると良いかと思います。
この設定で快適に動作するのであれば、その前に試した設定は今の環境には高すぎる、と判断も可能というわけです。

Low
この設定が実用になるくらいのPCは用意したいところです。
画質設定としては低い設定ですが、SGSRを併用すればそれなりに綺麗な映像を楽しめると思います。
ただ、SGSRを使用した場合の負荷はHMDが担う為、バッテリーの消費が大きくなる事とHMD自体の発熱が増える点には注意してください。

Midium
この設定で軽いワールドがfps上限を維持出来るならそれなりに綺麗な映像で快適にVRを楽しめる設定だと思います。
もう少し画質が欲しいと思う場合にはSGSRを併用するといいと思いますが、Lowの時と同様にバッテリー消費と発熱が増える点には注意です。

High
この設定まで使用出来るならSGSRを使用しなくともかなり綺麗な映像でVRを楽しめる設定だと思います。
SGSRを使用しなければバッテリーの消費も抑えられるため、画質優先って思わない限りはSGSRは卒業していい設定です。
この設定あたりになるとRTX3060、RX6600XT以上のGPUが必須になってくるかと思います。

Ultra
Pico NEO 3 LINK、Quest2はこの設定が最高設定となります。
この設定になってくるとVDのGPUの指標が示す様にRTX3090、RX6950XTクラスの性能が求められてきます。
これは単純にGPU性能だけを求めて指標にされているわけではなく、VRAMの使用量が各段に増えるため8GBではすぐにVRAMが溢れる事になり快適に使用するには厳しくなります。

VRAMが溢れるとどういった挙動になるか、ですが、FPSが大きく下がりゴーグルの描画が大きく遅延します。
8GBのGPUを使用されている方は既に経験したことがある人も居るのではないでしょうか?
それくらいVRCにおいてはVRAMの容量が快適に遊べるかの1つの要点となります。

Godlike
Pico4登場から用意された神の画質と言われる設定です。
この設定をしている場合にパネル解像度と表示されるストリーム映像が dot by dot に限りなく近いとVD製作者は言っています。
画質もさることながら、VRAMの使用量も多く、Pico4で起動してホームワールドに入った時点で既に6GBを超えるVRAMが使用されていました。

VR Frame Rate について

Pico NEO 3LINK、Quest2、Quest3は120fpsまで、Pico4は90fpsまでです。
液晶のパネルの描画頻度の設定です。
フリッカー(チラツキ)が気にならなければ72か90設定で問題ありません。
高いfps設定にするほどバッテリー消費も上がります。

VR Bitrate について

ストリームのビットレート設定です。
PC側のストリーマーのエンコーダーの選択によって上限が違います。
H.264、HEVCは150Mbpsまでとなります。Quest3のみAV1と200Mbpsまで使用できます。

無線環境が許す限り最大値で使用して問題ありません。
情報量の多い画面移動や描画になった際にBitrate不足を招くと画質低下を及ぼします。

H.264+は400Mbpsの使用が可能になります。
常時安定した高速無線通信が可能な環境であれば最大値が使用可能だと思います。
400Mbpsに達する時はVR Frame Rateで設定した最大FPSに達した時です。
fpsが出ていない時は安定しているが、最大fpsが出る時に安定しないことがある場合は、今の無線環境で最大値を使うのは無理と考えてください。
300Mbpsくらいの設定が安定すると思います。
300MbpsでHEVCの150Mbpsと同等だと言われますが、実際に使用してみてH.264+の方がBitrate不足の破綻は小さい様に思います。

Snapdragon(R) Game Super Resolution (SGSR) について

有効にした際にHMDのSoCによるアップスケーラー機能です。PC側の負荷は変わりませんので、低画質設定時には積極的に使用してもいいかと思います。
fpsの増加などはありません。あくまでもアップスケーラーです。
有効にした場合、HMDの発熱の増加、バッテリー消費の増加があります。

Video buffering について

安定した描画をするために必要なオプションです。
低遅延だけを求める場合にはチェックを外してください。ただし環境によってはバッファを有効にしていないとfpsが伸びない状態になることがあるようです。
通常有効のままで構わないと思います。

Show performance overlay について

何かトラブルが起きたり、自分の環境がどうなっているのかをほかの人に聞いて回答を得たい場合には、このオプションを有効にして表示される情報のキャプチャ画像を見せてください。
PCの負荷の問題なのか、ネットワークの遅延による問題なのか、そこからわかる情報で解決方法を得ることができる場合があります。

以上で設定についての説明は終わりです。
各個人が自分の欲しい画質設定を自分のスペックの範囲で見つけられたらいいと思います。
また、望む設定をしてみたら表示が遅延したりする場合はPCのスペック変更のきっかけにするのもいいかと思います。

PCのハードウェアのアップデートについて

実際に設定してみたらPCのスペックが足りなかったけど、何をアップデートしていいのかわからない、という方も多いと思います。
基準となる例を紹介しておきますので、それを参考に何をアップグレードすると効果的なのか判断材料にしてもらえれば、と思います。

CPUのアップデートが必要なパターン

一人でVRCのワールドを訪れてみてください。その時に得られるfpsが現在の設定で訪れたワールドで最大のパフォーマンスが出ている状況です。
この状態を覚えておいてください。そして複数人が同時に視界に入る状態になった時に大きくfpsが低下する場合はCPUをキャッシュの多いタイプのものに変更すると効果的です。
AMDのCPUで言えば5800X3Dや7800X3Dのモデルが該当します。
CPUのキャッシュが溢れると大きくfps低下を招くことが多い気はします。実際に5800Xから5800X3Dに変更し、fpsの落ち込みを大きく改善出来ました。

GPUのアップデートが必要なパターン

一人でVRCのワールドを訪れてください。
今の設定で表示されているfpsが現在のスペックの最大値です。
ワールドの重さによっても変化しますが、一人で訪れた時のfps以上のfpsはよほCPUボトルネックとなるほどCPUが非力な場合を除きGPUを変更するか設定を落とさない限りfpsの上限を伸ばすことは難しいです。
実際にGPUに6900XTを使用し、CPUに5600Xと5800X3DのCPUだけを変えてもfpsの上限は変わりませんでした。一人で居る分にはGPUの性能を出せているということにはなります。
よって限界を超えるにはGPUのアップデートか設定を落とすしかないわけです。
今の設定のまま高fpsを望む場合はGPUのアップデートが必要になります。

CPUとGPUのバランスについて

GPUをアップデートしたのに人が多くなるとfpsの低下が大きいという場合にはCPUの性能、キャッシュ不足に陥っています。
人が多い場合には複雑な処理になりCPUのキャッシュが溢れメインメモリへのアクセスが多くなりCPUの処理待ちが増える事でGPUも十分に回せなくなるという悪循環かな、という印象です。
5600Xから5800X3DにCPUを交換した際、一人で居る場合にはさほど差は感じませんでしたが、多人数で居る場合にfpsの落ち込みは大幅に軽減しました。
CPUの性能が上がったからだろう? と思う方もいると思いますが、5800Xと比べても5800X3Dの方がfpsの落ち込みは減りました。CPUの演算処理のみを考えた場合は5800Xの方が上のはずにも拘らず、です。
そこから出る答えとしては、やはりVRCにおいてはCPUキャッシュの重要性の高さが伺えると思います。

どちらもバランスよくアップデートできれば理想ですが、そうできない場合に、どちらを優先するかの指標になれば幸いです。


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