適応的選好形成
「適応的選好形成」とは経済学の概念である。
簡単にいうと、実行可能な選択肢に応じて選好が変化すること、特に選択肢が豊富でない際に、その貧弱な選択肢で満足するように満足の閾値が低下することである。
わかりやすい例では、「チェンソーマン」のデンジを想像してほしい。当初のデンジは、亡き親の借金返済のために働き、食パンにジャムを塗ることもできない生活をしていた。通常の家庭であれば、食パンにジャムを塗ることは日常のモーニングシーンの一つであり、特別幸福を覚えることではない。しかし彼は満足でない状況に自分自身が置かれているがために、このような普通なことを、特別であり幸せなことと思うようになっている。このように状況や立場に応じて、自分自身の好みが変化、適応して形成されていることを適応的選好形成と呼ぶ。
手元にない幸せを追求するのではなく、今自分にあるもの、持っているものを見直して、幸福のハードルを下げることは、人生における役に立つティップである。そして、勿論かなり極端な例であることは承知だが、皆が皆、食パンをそのまま食べるのがデフォルトの世界線では、ジャムを皆が使えるようになるだけで、世界中が幸せになるかもしれない。しかし、それは本当に幸せなことなのだろうか。
世の中には、食事に困窮している人、日々生きるだけで精一杯な人もまだまだ存在する。彼、彼女らは限られた貧しい選択肢しか持ち合わせていないために、我々であれば当然と思う物資、権利にも満たない段階でも幸せ、充分だと感じてしまっているかもしれない。我々にはそのような適応的選好形成の罠にはまってしまっている人々の手助けに何ができるか、日々考えていく必要があると思う。
もし、この文章を読んで、筆者は頭がいいんじゃないか、と思ってくれた人がいたら、私の思うつぼである。もし、この書き手は何が言いたいかわからない、頭がいいふりをして難しい言葉を使っているだけと思うのなら、それは正解なので、その思いは心にしまっておいて、前者の人たちには何も言わないでいて欲しい。嗚呼、頭良いと思われてえ。
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