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君たちはどう生きるかの超個人的感想

超ネタバレあり 
最初からネタバレ 
見た人にしか伝わんないように書いてあります
あらすじとか書いてません
見てない人は回れ右

セリフや登場人物の名前間違えてるかも知れません。ご容赦ください。

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私がこの映画で一番救われ、涙した場面は、ヒミと別れるシーン。

星が割れ、現世に戻る時に眞人が「でもヒミは病院の火事で死んじゃうよ」と言ったのに対し、ヒミは「火はいいじゃない」と笑顔で前向きに人生を始めるヒミの最後のシーン。

なんかさらっと描かれていたけどすごい重要な言葉だったんじゃないか。

元々、戦争により母が病院で焼け死ぬ悲劇的なシーンからこの映画は始まり、眞人も途中からナツコさんを助けようというモチベーションができたが、最初は「死んだ母に会いたい」という一心でアオサギを追った。

更に後半、大叔父の世界では過去、現在、未来の時間軸が影響しない世界で、眞人はおそらく大叔父に出会ったタイミングまでにはヒミが母親であることを知っている。

「悲劇の死を迎えた母親に会いに異世界に行き、その母親がこの後もう一度生まれ変わる」

という設定の物語、普通なら母親の死に方を変えよう、救おう、とするのが一般的だと思う。

けれどこの物語はそうならなかった。

私はそのことにとてつもなく救われた。

私は高校生の時に母がガンでなくなった。母はどう思ってたんだろう、悔しかっただろうか、と思う度に、どうしようもない気持ちになり、涙して、死が恐ろしかった。正直なくなって10年以上経った今でも母に夢の中で会うし、週の半分は「いつか死んでしまうんだ」と思いだす。

でも、もしかしたら母の人生は納得して始まったものだったのかもしれない。
眞人も、母が自分の死に方に対してとても明るく、そしてこれから自分を産み出会う人生を楽しみに人生を始めるその瞬間をみて、とてつもなく救われたのだと思う。

残酷な死が全て決まっていたことで、本人が納得していた、という解釈は、もちろん不快に感じる遺族も多いと思う。

でも私は、現世の死に対する考え方や、人生の終わり方に対する価値観が全てではなく、ヒミのような人生だった可能性もある、と提示してくれたことに、本当に救われた。

さらに、大叔父の世界では、過去、現在、未来、生者、死者が相互作用して世界は成り立っている。
母の死はこれから起こることかもしれないし、わたしが死んだ後に母は生まれるのかもしれない。
全てのいのちや出来事は一方通行でないから、それぞれが時間も生死も関係なく影響しあって、世界はまた一日進む。

(失礼だが)死がもう近くに見えている宮崎駿の死生観を、この美しく幻想的な世界観で優しく見させてもらえて、ほんとうによかった。

その他映画で感じたこと。

・キリコさんが眞人の名前を聞いて「真実の真か、死にそうな名前だ」というようなことを言ってた気がする。
「我を知るもの(理解するもの?)は死す」というお墓のメッセージ。
死=真実 ということなのかな?

・ヒミはワラワラをも燃やしていた描写が気になった。眞人の父親は軍事工場を営んでいる。眞人も自分自身を傷つけた。
人には等しく加害性があることを表してる。
自分の加害性を眞人はみとめ、大叔父の世界は崩れた。それが何を意味しているのか、他の方の意見も見てみたい。

・ワラワラが飛び立っていく瞬間が美しくて涙したら、その後キリコさんも涙ぐんでいて嬉しかった。最近、悲しいニュースが多いけれど全ての人が皆、元々はワラワラのような純粋で無垢で愛しい命のカケラだったのだということ、80を過ぎ、そう信じてる宮崎駿の心の美しさに感動した


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