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ぽかぽかのぬくぬく

着る毛布を買ってから、心に余裕ができた気がする。体が暖かいということは体の警戒を解くことでもあるんだなとほっとしている。

思えば遠くへ来たもんだという言葉を、今1番実感している。着る毛布でぽかぽかのぬくぬくになると、思い出す過去さえもマイルドになる気がする。

一度、本気で死のうとしたことがある。結果から言えば失敗してこうして文章なんか書いてしまっている。結局見つかるのが早ければ生き延びてしまうのだ。そう考えると爪が甘かったというか考えが麻痺していたというか。希死念慮は気がついたら濃淡あれどずっと存在しているのだが、その未遂事件で心がポッキリと折れてしまった。死ぬことに対して出鼻を挫かれたような気分だった。未遂をして入院した時、一部の医療者があまりにもひどかった。そして周囲との世界がくっきり断絶するのを感じた。なんというか、それらの出来事にすっかり腰がひけてしまったわけだ。今度は絶対に失敗できないと。

生き延びるということは糸を辿るような頼りない作業だ。希望がないのに生き延びてしまっている。生きていて偉いなんて言わないで。死ぬこともできず、糸を辿るしかないのだから。

体調を崩して3年近く。ただただ周りが高速で過ぎ去るのを、ぽつんと立ち尽くして眺めている。どんどん周りの人は離れていったし、それでも変わらず見守ってくれる人もいる。

わたしは毛布にくるまりながら、その暖かさと裏腹な暗い日々にぼうっと想いを馳せるのだ。

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