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犯人探し

「オバケっていると思う?」


この質問は22年生きて
多分「あなたの生きる意味って何?」より聞かれる質問だ、諸説はない

実際のところ、私はオバケを信じている
ちょっと違うか
証明できない何かをすべてオバケのせいにしている、
の方が正しいのかもしれない

要するにオバケっていうのは得体の知れない
怖いものの総称なんだと思う


私がオバケを怖い理由はほとんどのところ
その得体の知れなさにある

なんだか物音のする家の中で
その正体が分からなければ結局のところ
何かのせい、その何かがオバケになる

逆を言えばその物音の正体が
階段をのぼる足音だったり、無くしていたはずのケータイの通知音だったりすればオバケは一瞬で何処かに行ってしまうのである

チョロい、怖さの正体なんて案外そんなものなのだ

この正体を明かす作業を仮に
「犯人探し」としよう

私は犯人探しが好きである
ここでいう犯人が本当かどうかは
私にとってそこまで重要ではない

自分にとってその答えが安心できるものであれば
それで満足なのである


今日は久しぶりに1日休みだった
おまえ、いつも休んでないか?
私もそう思う、でも今日は休みだった

花火大会があるから休みなの?
それも違う、誘う彼氏も友達も居ない
たまたま休みだった


休みの日、財布には500円、
今日はまた少し歩きながら
考えを整理しようと思った

どのくらい歩いたのか、歩数だけじゃ物足りず
距離も分かるようにNIKEのアプリを入れてみた
今日だけかもしれないよろしくね


考えの整理と言っても
割と何も考えていないことが多い

信号が赤になって止まるのが悔しくて
青の方向ばかりに進んでみたり
赤によって阻まれた道が良く見えて
全部赤の方向に進む時もある

頭の中を空っぽにして
知らない、で満たされたいんだと思う


ず〜〜〜っと歩いて目に止まった
あの灰色のビル、怖い


ボロボロで
周りよりも背の高い、あのビル
今日の私はそのビルの正体を明かすことにした


道のりは困難だった、
あまりに可愛い猫が行く手を阻んでいたのだ

白と黒の人懐っこい、
無防備に晒されたお腹に
本来の目的を預けてしまうところだった


帰り道もう一度通ったことは
超余談だ


ゆるやかな坂になっている橋渡って
もう少し、
橋の横にあるおうちは魅力的だった
2階にある玄関って特別でいいな





突然現れた木と、犬のお散歩にぴったりな公園
その近くに犯人、今日の犯人

確かに時間の経過を感じるが
ビルの足元を飾っている花がなんとも可愛らしい
人が住んでいる、古いマンションだ

本当に普通の、古いマンションだった

あんなに怖かったあの灰色が
ねずみ色と形容したくなるくらい呆気ない

何でもなかったその犯人を
古いマンションと名付けてようやく
怖さが消化に向かう

怖いものって多分
本当に知らないことばかりだ、
分かっていても怖いものだってあるけど
それだって何かは分かっている

知識欲のほとんどは
怖いものを怖くないものに変えるための見栄だ
私はなんにも怖くないぞ、と
オバケにだって大きく出てやりたいものだ

私は怖がらないために一生
犯人探しをし続けたい、
勉強はその為にするのだ

ただ脳のキャパシティ的に限界があるのが悔しい
一目で全てを覚えられる超能力は
どうやら人間には与えられていない

覚えていたいから記録する
これは私の怖がり克服日記だ



花火の音が鳴っている、
犯人より彼氏を探した方がいい?



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