上司から受けた2つの指導の言葉。

私は17才でバイク事故を起こし右腕が完全にマヒしてる重度身体障害者2級です。
20代後半でハローワークの紹介で大手電気メーカーに入社しました。
面接時に「他の2名は事務を希望しているが、あなたは事務と修理どちらがいいですか?」と質問され迷わず「修理」と言いました。
採用が決まり入社し、電子製品の中身を検査する工程から始まり、半田ごてを使う業務に就きました。
やがて独り立ちし、数機種のパソコン、ドットイパクトプリンターなどを担当しました。

そんなある日、上司から「修理マニュアルを作れ」と言われました。
当然ながら修理マニュアルを作ると言う事は、自分の担当機種が「外注」に出され、その分の仕事が無くなるのです。
一瞬にして危機感が湧きだし「そんな時間はありません」と返答しました。
そこで上司が言ったことは、『それは違う、時間はあるモノではない、作るモノだ。』と言われ納得し、修理マニュアルを作る事にしました。
上司からの情報だと、テスター(回路計)が最大のツールになるので、そこまでの設備で80~90%誰がやっても直せるようにしろ、という指示でした。

当然ながら計測機器があれば簡単に見つけられるのに、外注業者は基本的に素人なんです。
だからこそ、修理マニュアルの出来上がりはとても重要です。
修理業務で時間を作りながら、マニュアルの完成度を高めました。
たった1つのテスターで万能な修理ってどういうものなのか悩みました。
1つの測定ポイントを見つけるのに数日の作った時間を費やし、ようやく完成しました。

中には1例しか確認出来ていないノウハウもつぎ込み、7機種以上の商品がマニュアルと共にアウトソーシング。
で、時間が余った私はどうしたかと言うと「先輩の仕事を奪えばいいんだ」という考えになり、私より多くの機種を担当し1件当りの時間が掛かる業務をしていた先輩に相談し、いくつかを譲って頂きました。
また、その先輩の依頼で私の手作りの電源負荷器がとても好評で、これで試験をクリアした電源ユニットは問題が起こらないと喜ばれました。

私は上司から言われた『それは違う、時間はあるモノではない、作るモノだ。』と、請負業者や派遣社員へ悪い考えを持っていましたが『彼らは私たちの仕事を助けてくれるビジネスパートナーだ。』という2つの言葉で私は「優しく」なれ、「強く逞しく」なることが出来ました。

この2つは、今でも胸にしまっており忘れることは出来ません。

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