とりいをくぐっています 1

とりいくぐるに4月に来てから、9月頭で5か月になる。
最近てんやわんやだったので頭の中をちょーっと整理したい。
長すぎて整理も何もないかもしれないけれど、とりあえず。
ここに来た理由と問い、そして近況。
私が考えるとりいくぐるの、地域における役割とその中における私の役割、その先の動き。発展的なもの。

大学3年の冬。オンライン授業下でヘルパーとしてとりいくぐるに初めてやって来た11月~12月の1か月間、最後に残ったのはこんな問い。

<問い>


とりいくぐる・ラウンジカドはまちに対してどのような役割をもつのか?
 どのような役割を与えうるのか?

→1.地域内外の結節点、ハブのような存在
   2.誰かの居場所となる。

・そもそも「まち」とは?
・「活性化」とは?…活性化している状態がなぜ良いのか。誰にとって良いのか。「活性化」はそもそも必要なのか。
・「誰か」とは誰のこと?
・宿泊施設とは「宿泊」という機能から発展してどのような機能を持ち、役割を果たしうるのか。

「人」が集まる空間とはどんな場所だろう。
 どんな仕組みによって動いているのだろう。

・「人」とは誰のこと?
・”パブリック”な空間とは?誰にとっても心地よい空間はありうるのか。

上記の問いを実務を通して学ぶこと。
この空間がどんなものや働きによって出来上がっているのか、実際に仕組みを知る
ことでゲストハウスという場所がまちの中でどんな役割として存在しているのか、ということを考えていく。
(そもそも、「役割」みたいなのは考える必要があるのか、という”そもそも論”の議論も必要だとは思うが、、)

実際4月から働いていて、いろんなところで発生するいろんな動きのもとでこの場所が成立していることを知りながら、この問いについて考え続けている。

<それぞれの動きと役割>

最初のイメージ
脳内の図

〈とりいくぐる〉:まちの入口、やって来る人にとっての船着場
〇宿泊機能を整え、媒介者ともなりゲストさんを受け入れる 
〇まちの人の利用を促す仕掛けをつくる
〈ラウンジカド):まちのラウンジ
〇連携を図る、ゆるくぎゅぎゅっと
〈NAWATE〉:生業の場
〇さりげなく場を回していく。
〇まちの人の利用を促す仕掛けをつくる
〈奉還町商店街):人々の生活の場
〇まちのことを伝える仕掛け
〇媒介者

①全体の動き・役割
②私の動き・役割

1. とりいくぐる

とりいをくぐって右の扉を開けると
ゲストハウスとりいくぐる、
奥に進むと店舗、中庭がある複合施設NAWATE入口

①全体の動き・役割
宿泊施設
まちへの入口
ー旅人と岡山・奉還町という地域を繋ぐ結節点→旅の体験の一つとなりうる。
・『旅人が立ち止まり、次に進む方向を考える船着場
ー身体を休め、力を蓄える。
ー旅の情報収集をする。
ーいろいろ考える。
ー旅をしつつ仕事や作業をする。

②その中で、私の動き
ゲストを受け入れる、場をじんわり動かす。
予約管理
掃除…滞在の環境を整える
ヘルパーさん募集
シーツ、備品の調達
とりいくぐる内外のお知らせー主にインスタ
チェックイン対応
・地域を紹介する→「結節点」となる動き
 ・
マップ作成
 ・奉還町の成り立ちや岡山についての知識深めたい。
・ゲストさんとの会話→自然とゆるやかな交流が生まれるように気遣う。俯瞰的に状況を捉え、場を回していく。

誰もがとりいをくぐれる「まちの入口」へ
 →ふらっと来た人や近所の人が立ち寄り、腰を下ろせる場所となることが理想。
・畑の活用…③
 →今はわさわさしている畑。畑が存在している目的や意義とは?
 「まちの人にとっての居場所」としての中庭整備、は甘い?

春の畑。菜の花が咲いている。


・ラウンジの場所貸し→日常的、継続的な利用促す…④
 →1回きりのイベント出店場所貸し、では関係性が希薄になりかねない。
  何回も重ね、定着し、また日常的に利用するからこそ広がる関係性やにじむ色がある。

などなど、、、

2. ラウンジ・カド

とりいくぐるから岡山駅方面に50m進むと、
とりいくぐるの姉妹店ラウンジ・カドに辿り着く

①全体の動き・役割
【飲食・イベントスペース】
まちのラウンジ→まちに開かれた場
・『化学反応の生まれる「社交場」』
ー休憩所
ー文化活動、表現の場
ー地域性を深める場所→地元の人と交流したり、それによって地域の情報を入手したり。よりまちに溶け込んでいく時間。

②その中で、私の動き
とりいくぐる⇔ラウンジ・カドの連携を図る、連動させる
 →旅人にとって旅ナカの滞在場所の一つ。旅の体験、を生み出す
・とりい→カドという場所の周知
・案内、広報物設置 
 →口頭では限界がある。周知に。
・カド文庫など
 →カド営業日以外もカドが開いている状態をつくりたい。
 →”まちのラウンジ”
カドにある本をとりいでも借りられるようにしたり、「図書館」的な感じでドリンクを用意しつつ「いても良い」開かれた場所。いいんじゃないか、、??

などなど、、

3. NAWATE

3本目のとりいをくぐると刺繍屋さんとアトリエ、左奥は中庭、とりいくぐるの向かい側はギャラリースペース
とりいくぐるHPより
中庭でバーベキューしたとき

①全体の動き、役割
【それぞれの店舗の作業・表現の場「生業の場」
:最小複合施設、 最小の「地域」

②その中で、私の動き
ゆるく、さりげなく場を回す。
・NAWATEの人たちとの会話を楽しむ
「NAWATEの店舗ととりいの連携を図る」みたいなこと言おうと思ったけど、無理に連携を操作するものでもないのかな~と?
各々が自分たちの生業を紡いでいく中で自然に生まれる挨拶や会話の、丁度よい距離感がいいのだと思ったり。
・宿泊者への紹介

4. 奉還町商店街

夕方の奉還町4丁目。17時にはお店がほとんど閉まる。昼も夜もの~んびり

①全体の動き
【人々の生活の場】
②その中で私の動き
まちとの連携方法を考える、媒介者
〇そもそも、まちの中で何か役割を持つ必要性はあるのか?
〇とりいくぐるの社会的意義、とは?なぜそれが必要なのか。
→地域の一つの事業者として、在り続けるために、地域の人の賛同を得ることが大事だから?
→ゲストの旅の充実感が増す→まちの暮らし・雰囲気を体験できるため?
→まちの人にとっても寄りかかれる場所となるため?
・奉還町の、岡山のストーリーを何かしら伝える。
・宿泊者とまちの人をゆるく結びたい。

<私の役割まとめ>

〇宿泊機能を整え、ゲストさんを受け入れる ー日々変わらないこと
・チェックイン対応
〇まちの人の利用を促す仕掛けをつくる
・畑やラウンジの活用
〇まちのことを伝える仕掛け
・記事やお便り、まちあるき

〇自分が当事者として真ん中に立って動かすこと

・ヘルパーさん、NAWATEのメンバー、アルバイトスタッフなどいろんな人がいる中で場を回し、盛り上げる。
普通~に過ごしていると全然接点のない関係者同士を「操作」して化学反応を起こすことも一つの役割。
ーヘルパーさん
あくまで無給でお掃除をしていただいているので、限られた期間の中でもヘルパーさんにとっても何か有意義な時間になるようにヘルパーさんの興味のあることに合わせて滞在期間の過ごし方を工夫していく。
ヘルパーさんととりいでwinwinになるように調整していく。
ーNAWATEのメンバー
お互い複合施設の一員として「とりいくぐる」が軸となってNAWATE全体を盛り上げていく動きが必要。
ーアルバイトスタッフ
複数名いるバイトスタッフやヘルパーさん。普段はシフトがバラバラでお互いあまり話す機会がなかったり。月に1回意図的に集まる機会を設け、スタッフ全体でとりいくぐるやカドについて考える場を。

など、「複合施設」という、多様な主体が存在する独特な空間の中で、いろんな人をかき混ぜて場を盛り上げていくことが必要となってくる。

ここで注意したいことは
「私の場所」「誰かの場所」ではない。ということ
・「こういう場所にしたい」「これがしたい」ということを考え続けていると、いつしか「施設として」ではなく「個人としての願望」になってきてしまう。
やろうとしていること、取り組みが独りよがりなものにならないように注意する必要がある。
・とりいくぐるのスタッフとして週2日以外はほぼ毎日とりいくぐるにいるわけだが、「不動の主」みたいにならないことも必要。
軸のような存在であったとしても、形のある「場」を伴ったときに自然と場が回るようにしなければいけないと思う。
「影の主」的な。うーん、立ち振る舞いは結構難しい。

〇ゲストハウス+α =「泊まる」以外の機能として何が考えられるのか
・宿泊者以外にも人が来れる仕組みを考える→まちに開かれた場所
※そもそも、なぜ開かれた場所でなければいけないのか。ー”社会的意義”
 誰に対して?
 カドがその機能を担っているから必要ないのではないか?

<今後の課題>

旅人とまちの距離感
地域に存在している一つの事業者としてのNAWATE PROJECTであり、「寝泊りする」という基本的な機能だけで成り立っている場所ではないことから、地域との繋がりをもう少し求めたい。私が知らないだけで、掴めていないだけで、この年月の間に重ねられてきたものがじんわりとあるのかもしれなくて、このつかずはなれずのさっぱりとした距離感がいいのはもちろんなんだけど、個人的な願望が先走った形で言えば、もっと旅人とまちの距離感が近くても良いのではないかと思う。

①旅人編
旅人が商店街の人と話したり、
地域のことについて知って「へえ~」ってなったり、
それで思い出になってなんか幸~楽~ってなったり、
既に自発的にそういうことを体験している旅人もいるんだろうけど、こちらから「仕掛け」的なのをつくることもある程度必要かと思う。
「旅人にまちの人を紹介する」ではなくて
「まちの人に今日の旅人を紹介する」ってなったらすごく理想。溶け込んでるな~と思う。

②地元の人編
「宿泊施設」という性質から旅人にとっての場所であることはもちろんなのだけど、もう少し「まちの人のお散歩コース」になってもいいのかなあ。
この季節だから最近は見ないっていうのはあるけれど、春先におじいちゃんがふら~っと来て通路のハーブを摘んで、ベンチに腰掛け、少ししたら帰っていった、光景が忘れられない。
そこに住まう人にとって居心地の良い場所になれば、この場所の存在意義はもっとあるのではないかと思う。
これがなかなか難しいよなあ。

<問いについて考える>

「問い」でも出てきたし、とりいくぐるやカド、NAWATEなど、NAWATE PROJECTの中でそれぞれの役割を記述する中でも何度も登場させた、「まち」や「地域」だとか「人」とかいう言葉。
けど、そのどれもはっきりした定義はなく、輪郭がぼやけているもの。
言葉を登場させるたびに抽象的でモヤモヤする。
けど、そういった言葉や概念は、輪郭などもとから捉えようもなく、はっきりさせる必要もないのかもしれない。ちょっとしたジレンマ。

①とりいくぐる・カドはまちに対してどのような役割をもつのか。
 どのような役割を与えうるのか。
「まち」
…私たちの言う「まち」「地域」「都市」とはどこのことを指すのか。こぼれていく水のように、塗り広げられる絵の具のように、行政区のように線では区切ることのできない私たちの頭の中に存在している「イメージ」としての「まち」。地域とか、都市なんていうものはあくまでイメージでしかないと考える。
「活性化」
…「地域活性化」とか観光学部の授業で多用される言葉だが「活性化」ってどんな状況のことを指すのか。見る主体によって全く異なる状態。これも「イメージ」でしかないと思う。言葉が独り歩きしていて主観的でしかない。

②「人」が集まる空間とはどんな場所だろう。
「人」
…「人」と一言で言っても本当にいろんな人がまちには存在している。「住民」とは誰のことを指すのか。宿泊者、学生、商店街のお店の人、商店街以外で仕事をしまちに住む人、などなど。カテゴライズしきれない沢山の「人」がいる中で誰に向けられた場所なのか。その矢印の先をそもそも意識する必要があるのか。
「誰か」とは誰のことを指すのか。「誰か」を定義する必要性はそこにあるのか。それは顔の見える身近な人にとっての場所。身近な経済圏で形作られ広がっていく場所の機能ではないのか。

「パブリック」「オープン」
…まちの人に開かれた「オープンな場所」
・誰にとっても居場所となるような場所がなぜ求められているのか。万人にとって居心地の良い場所というのは存在しないのではないか。顔の見えない不特定多数の「万人」を意識して場を作るのは難しいことだと思う。誰かにとって居心地の良い場所となることは、そこに当てはまらない人を排除することにもなりうる。
「誰のものでもある場所」「誰のものでもない場所」うー-ん。。

番外編:続・最近のお客さん2022

最近は特に、バタバタする中で日々お客さんの姿から幸せな気持ちになることが多い。
前回に引き続き、続・最近のお客さん2022、いってみよう!

関西の大学生たち
友達思いでめちゃくちゃ海外に行きたがってる純粋な人
クラブ通いのベビースターおすそ分け男子
「ミニトマトはスーパーボール」と語る薬学部男子
「ミニトマトは食べるに値しない」とさらにディスる東大男子
高校の同級生だという彼らはそれぞれ噛み合っていないようで噛み合っている、「うわあ頭いいんだろうな~」と勝手に偏見が生まれるテンポの良い会話に笑った。

まりちゃんと、あんなさん
「インプットがすごすぎて」
目をギラギラさせていたエネルギッシュな女子たち。
高知ではキャンプを楽しみ、岡山にやってきた。まりちゃんはもうお馴染み。個人的に声が本当~に好き。なんて綺麗な声なんだろう。英語をすらすら話すのが容易に想像できる。2人とも自分の興味あることにしっかり情熱的に考えを持っていて、とても刺激的だった。
また話したいな~

るいさん
とりいくぐるで最近できた4泊からの長期滞在割引を初めて使ってくれたゲストさん!(わーい!)
奥まったソファの席に座って宿泊者名簿を書いてもらい、そのまま旅の話、るいさんの話、私の話と1時間近く話した。チェックインが立て込んでいない日はこうやってのんびり座ってチェックイン手続きも良いな~と。
「岡山どこ行こう」の話題になってそのまま2人で児島に行くことに。
こうやってゲストさんとどこかに遠出する、なんてのはこれまでなかったことでとんでもなく嬉しかった。
大量のおからをフライパンで仕込み、いつも朝には光がよく当たるソファ席に座ってのんびりしていた。気さくでお喋りで(本人は自分はあまりしゃべらない方だと思っているらしい、笑)snowmanの話になると早口になる、るいさん。ドライブの間もずっと話していたし、最後カドでは元ヘルパーの葵さんも交えて女子会を楽しんだ。
最後はすれ違いで会えなかったけど、るいさんに手紙出したいな~

山下さん
出張で長期滞在の山下さん。ふわっとした喋り方にこちらもふわっとさを意識する。ふわ~っ
趣味でハムスターのレーザーコインを作成していてとりいのスタッフやゲストさんに布教している。夜はカレーを食べ、ときには他のゲストさんと話していたり。お仕事帰りにお仕事の話を少し聞いたり、岡山の行ってみたい場所の話をしたり。
「9月は行ってみたいところにたくさん行ってみようと思います!」と楽しそうな様子はこちらも嬉しい。

長期滞在のゲストさんやヘルパーさんは「旅人」という風のような性質を持ちつつ、滞在の間に少しずつ空間に、まちに溶け込んでいく中向きの性質も持つ存在であり、宿にとって、少なくとも私にとっては重要な存在だ。ゲストさん、ヘルパーさん、スタッフのみなさんいつもありがとう。

ー--------

バタバタとしていた8月ももう終わり。
だんだんと涼しくなってきた。
少し落ち着かせてのんびり淡々としていたところに少し風を送り込んで、ちょっとだけ、徐々にギアを入れていきたいなと思うここ1週間。

今回は、割と「私の役割」みたいな要素が多くて、自省的な文章になってしまった。
もっと俯瞰的に、かつ詳細にその場で起きていることを観察したいなあと思う。もうたぶんだいぶ「中」の人間なので「客観的に」見ることは厳しいかもだけれど、逐一自分の目線を疑いながら考えて、書けたらなあとか思ったりする。
次回もまた。

ここまで読んでくれた人がいたら、とんでもなくティラミスサービス。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?