端っこでくるくる

夏:ズボンが汗でくっつく、特にジーパン

この前友達と北千住を歩いた。
夜の北千住ははじめてで、足立区は治安が悪いと月曜から夜ふかしですり込んでたから、繁華街らしきとこが見えたときはドキドキした。

路地を見つけて入ってゆく。
いいじゃないか〜〜!
細くて、少し曲がってる路地が好き。
蔵の中にお店がある喫茶店の感知式センサーはせっかち。
高いのか低いのかわからない建物が凸凹していた。組み立てられ、組み合わされていた。積み木みたいに。サンダルとヒールと、運動靴と長靴の足跡、全部混ざっていた。

東京の端っこは、おもしろいな〜と最近思っている。東京だけじゃなくて端っこというのは、不必要なものとされていたり、排除されてきたり、変なものが集まっているいい場所。
上からふーーっと息を吹きかけられて、真ん中にあったものが円状に集まり重なる。
箒で掃除されたゴミや塵だと思われたものが、
お釣りが777円のレシートを丸めたものかもしれないし、家の洗面台の横に鎮座させることになる小さい豚のおもちゃかもしれないし、もう誰も覚えていないかもしれない色のビービー弾かもしれない。
そういうものを見つけてにやにやしながら耳打ちしていたい。

一緒に北千住でにやにやして、鼻息を荒くしていた友達は、プーさんに習うフィットネス本を買ったり、コスタリカに行きたいと言ったり、カカオが食べたいと行ったり、大晦日に岡山に来てしまうようなくるくるしている人だ。

そう、くるくる。めちゃ似合う。
自分がきっとなんとなく楽しいなと思うことに勝手に身体が動いちゃってるタイプだと思う。
くるくると身体の向きを変え、柔らかく、輪郭をふにゃふにゃにしていろんな形になっていろんな世界に登場する。
どう考えても合理的ではないものをおもしろがる感性みたいなものを持っていて、どっからどう見ても右斜め34度みたいな目線で世界を捉えている、そんなコロコロした人。
片足でスキップを繰り返す。ときどき大股でスキップを。歌いながら大股でスキップをするのは恥ずかしいことではなくて、むしろ賛美歌なのだね。足、くじかないでね。

コロコロして、片足でホップしているように見える水面下で、あひるみたいに、いやあひるの6倍速くらいで足を動かしているのだと思う。少し休憩しながら。友達がアヒルだったら休憩とか言いながら池飛び出して、一軒家(築50年、木造2回建て)の屋根登って3時間くらい人間観察してそう。途中でコーラス入る。

何かを見たり、感じたり、歩いたりすることは、そうだね、楽しいことだよね。
顔を覗かせて、少し身体をひねって、つま先で歩いてみることはなんてこんなに楽しいの!
いろんな味を試してみて、ちょっと大き過ぎる胡椒の粒があっても噛み砕いて「うん、鼻の通りがよくなった」とか言いそうな友達に、会うたび教えてもらっている。
友達が見ている世界にいつもちょっとお邪魔して、そこで麦茶とかもらっちゃって、元気になっている。何度も何度もすくわれている。

灯りがついた一角の民家裏からミストが放出されている路地を大笑いして友達と闊歩するのが楽しい。

シーツにくるまった月から風が吹く、線路の前にいる
しおれ始めたバジルの匂いはまだ覚えている

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