雨が綺麗だと思ったのはおひさしぶり。
どこにも入る隙間がないような分厚い雲の下にいますねみなさん。
ほんとうにこの上に太陽があるんだろうか。
外に出ると意外と晴れていて、思ったよりいつもと変わらない日。

雨の中に音が消えていくのがわかる。
ミシンの音も、話し声も、聞こえてこない。ただ視界の端の方で人が動いているのだけがわかる。
何かに雨粒が当たる音が絶えず繰り返されて、頑張ってふるえる空気が全てしまい込まれてしまうような、雨の大きさ。くるまれてしまった。

まだ二時なのに、もう夕方みたいな色をしている。そうかこうして時間は溶けてゆくのね。

どこかの本に書いてあった、光のはなし。
いま、葉っぱは緑色の光を吸収できない。時間をかけて溶かされる木の淵。
あんなにたくさんの光はどうして隠れてしまうんだろう。
何度たずねてくるのかわからない夜に浸されていく。沈んでいく。

部屋の中の木の色が濃くなって、どんどん目の奥を侵食する。
体の左半分だけ、肌の表面を熱がなぞる。
居眠りしてやけどしないようにしないと!!の季節。ストーブつけたり消したり忙しい季節。

文字が取り込まれることに夢中になっているうちに、雨の音が小さくなってくる。指先とつま先はじんわり膨らんでいく。
庭のセンリョウがふたたび赤い光を存分に吸って、大事に大事に抱かれる水滴。

きっと太陽が少し顔を出そうかと重い腰を上げてくれたから、空はまんべんなく白く光っていられる。
このまま雨が強くなって、雷が続いて、夜が来てくれてもよかったけど。

雨を使って、言葉であそぶのはとても楽しいけれど、全然自分のものではないから着心地が少し悪い。身体がかたい。

自分の言葉が自分の言葉でないみたいなのは、明るい世界のせいにした。

2022/11/23
1日が過ぎる早さが加速している頃、冬のはじまり、久しぶりの雨、冷たい雨、私は研究についてあれこれ考えていますよ、志賀さん
自分は言葉でいろいろ遊んでみるというか、試してみるのが好きなんだなあと、
誰のものか知らんけど!!

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