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骨折物語 その6 ~大部屋入院の体験~

#入院病室の勢力構造がある #そこに気を遣うよりは #自分の体調管理と手術準備に時間を使いたい #患者間の調整は看護師の役割 #集団生活の中でのコミュニケーション
【病室患者の勢力構造】 

 

四人部屋の窓側ベッドプライベートスペースを配置された。 

この部屋の住人はAさん。右膝蓋骨骨折手術後2週間の70代後半と思われる方で、移動は車椅子を利用していた。 

Bさん。右前骨折。手術後シーネ固定中。12月22日退院予定。 

Cさん。両膝の変形性膝関節症。両膝の手術後患者さん。 

 

最も入院きかんがながいのがAさんで、私の入院した時間には、在室しておらず顔を合わせていなかった。 

BさんCさんとは、松葉杖を使い病室内に設置してあるトイレに行った後、顔を合わせる機会があり挨拶をした。 

部屋の長老Aさんとは、夕方の食事が終わるまで顔を合わせることもなかったが、ふとしたことが耳に入ってきた。 

 

AさんとCさんの会話が耳に入ってきた。 

Aさん『今日入院してきた人とまだ挨拶してないんだけど、こっちから声をかけたほうがいいかしら』 

Cさん『私はさっき、顔を合わせたので挨拶しました』 

Aさん『私から声をかけて、見るわね。』 

 

※面白い会話が、私に耳には、AさんとCさんがひそひそ話してるつもりであったろうが、はっきりと聞こえてきた。その意味内容は、Aさんの言葉の端々に、新参者の私から挨拶されていないという意識を表出しているものと私には解釈できた。 

ここは4人部屋。2泊3日の入院期間にあえて波風を立てる必要はないと判断し、私は自分のプライベートスペースのカーテンを開け、松葉杖をつきながらAさんの声のほうに歩んでいった。 

もちろん満面の笑みで、年長者を敬う姿勢を示し、 

 

私『本日入院した、MILKです。よろしくお願いします。明日手術ですので、手術の前と後について教えてください。』 

 

その後は、AさんCさん私の3人で手術した部位や手術時間のこと、全身麻酔のこと、手術後の痛みのこと、手術後のリハビリ経過など体験談を語る話に耳を傾けた。 

昨年の年末年始は福岡でした。

 

 

【大部屋での食後のトイレ洗面所の利用】 

 

4人部屋の室内に洗面所もトイレも配置されていた。一般の家庭でも、朝は洗面所の利用、食後のトイレの利用の順番を譲り合うように、4人部屋でも同じ状況がありお互いの譲り合いが重要であった。 

 

一般家庭一戸建てでも、いまやトイレや洗面所が2か所ずつある。ところが、病室の4人部屋の面々は身体のどこかの部位の骨折とその部位の固定、そして歩行時の車椅子の利用は、年齢からくる移動動作の緩慢は排泄行動一つとっても、時間がかかる。 

 

尿取りパッドを使い、トイレに行きたいと思ったらすぐに入らないと尿漏れをしてしまう人、その人が右手の骨折をして固定をしていれば、左手だけで排泄行動の一連の動作を行っていることになる。 

 

私がトイレに入る場合は、 

 

私『これからトイレを使いたいのですが、お急ぎの堅い列車いませんか。』 

一言病室の方々に声をかけることが必須。 

 

洗面所の利用も、 

私『歯磨きをするので、洗面所を使います。』 

 

など、お互いを気遣い、公共の場を使いたい旨を述べ、終わった際には、 

 

私『お先にありがとうございました。』 

 

こんな声を掛け合うことが、大部屋では円滑な人間関係形成にとって必要なことと思うに至った。 

 

※個室利用であれば、このような気遣いは一切不要で、個室料金を支払うということは、生活の自由時間を購入していることになると、再確認した。※ 

人生初の大部屋入院体験は、患者になって身をもって感じることができ、患者関係を良好に保てるように今後、自分が看護師としての役割を明確にすることができた。 

 

これまで私は、入院時の担当をした際、病室の患者さん全員に入院患者さんの了承を受けたうえで、紹介していた。ちょっとした看護師の介入があるか、無いかは、入院患者の精神的負担の軽減につながることを知ってほしいとも思った。 

初回入院と大部屋入院は、負担であるし、しかも自分の身体が自分の意志通りに動かない状況下にあっては、当事者の負担は大きいものだと感じる。

出かけれるるなら福岡で以下の刺身が食べたい

 

【入院当日、手続き及びオリエンテーション】 

同室者への配慮や気遣いも集団生活には必須のことであるが、入院当日の事務手続きの書類は様々なものがあり、記述すること即刻提出することが求められる。 

①手術承諾書 

②入院契約書 

③リース契約書(病衣・おむつ) 

④生活調査票 

⑤お薬手帳 

⑥内服処方の持参 

⑦保険限度額証明書 

⑧入院オリエンテーション 

⑨術前オリエンテーション 

⑩手術室看護師訪問オリエンテーション 

 

ざっと思いつくところを列挙してみると①~⑩までが思い浮かんだ。 

 

私自身が看護師の経験があっても手術前の漠然とした不安感情は抱く。その上に、 病室患者同士のコミュニケーションや配慮など、一度に様々な調整を図る感情をコントロールせずには乗り越えられないことが多々ある。


2020年大晦日の福岡の夜景


 

その辺の入院患者の感情を考慮し、看護師の介入方法を考えることは、意義ある入院体験だとつくづく感じた、骨折物語のその5である。 

 

2021年1月2日(日) 
                               MILK
                                 

 

 

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