骨折物語 その11 ~退院後の日常生活とジレンマ~
骨折物語 その11
~退院後の日常生活とジレンマ~
#けがをすると精神と肉体の制御不能をしる #細胞には直接指令ができない #時間ぐすりの意味を知る #栄養豊富なものを食べても効果は状況による
【退院から再診日まで】
振り返ってみると、骨折をしたのが2021年12月19日日曜日に日付の変わった午前0時。救急外来を受診し、手術までの自宅待機が、日曜日と月曜日の2日間で、12月21日火曜日は、再診後、入院となった。
手術を12月22日水曜日に行い、翌日の23日木曜日に退院をした。
そして2022年1月4日の火曜日に、手術後の再診となり、その日まで年末年始は自己管理をする日々だった。
手術をしてみて心底思うことがある。
精神と肉体が制御できる気になっていたけれど、幻想だったと感じる。
【退院翌日のクリスマス】
退院翌日はクリスマスイヴ。物心がついて、自分で買い物ができるようになってから、クリスマスのケーキの調達は、私の役割だった。
事前に予約をして、ケーキを取りに行き、5人家族で分け合って食べていた。
結婚してからも、私がみんなの意向を聞き準備する役割だった。
ところが、今年は、買ってきてもらい、並べられたケーキを食べる役割になった。
「数件の店頭に並ぶケーキからどのお店の、ケーキを食べたいかを考え、予約する楽しみを、味わえなかった。
そんなことを考え、目の前のショートケーキを眺めていた。
お酒好きの私だけれど、今年のクリスマスにアルコールはない。
まあ、飲む気にもならないのが本音だ。
それでも、夫は子ども用の、シャンパンを買ってきてくれた。気分だけでも、楽しませてくれようとした気持ちがうれしかった。
つまり、心からクリスマスを喜ぶ気持ちよりも、心は焦っていたと思う。
「一日も早く、自分の足で歩いてどこにでも行かれるようになりたい。」
【焦りと精神と身体】
病気や怪我を体験すると、時少しでも早く回復したいと焦る感覚。そして、その焦りと言うものは、仕事をしていれば、職場を休み仕事に穴を開けてしまっていると言うような周りに対する罪悪感、家族に対しては自分が今まで担っていた役割ができず、誰かにその役割を担ってもらい自由な時間が少なくなり迷惑をかけてしまっているという申し訳なさ。
怪我をしたことから、上記のような思いが頭の中で渦巻く感覚をいだいた。
つまり精神的な面で、自分と他者の関係性を改めて考え、自分のふがいなさと言うところを考え続けると、どうにもこうにも八方塞がりで、結局は時間経過によって傷が回復するのを待つしかないのだと思うのだ。
そんな精神的なふがいなさや申し訳なさの思いを払拭するべく、一日も早く傷を回復させ元の生活に戻り自分の役割を全うしたいなと言う思いと裏腹に、自分の体の細胞すら自分で制御できないと言う精神と肉体の関係に思いをはせた。
【細胞まで支配できないと知る】
人は、病気をしたら
「栄養のあるものを食べて早く一日も早くはやく回復しますように。」
と言うし、お見舞いの時に声をかけたりする。
食品を私が食べて、口から胃に運ばれ、腸から栄養素が血管に取りこまれ、肝臓に運ばれ。肝臓で栄養素は、合成されて体内に貯蔵され、血液内の栄養素が私の怪我をした足の細胞に酸素とともに栄養を供給する。
栄養状態がいいことが、けがや傷の回復にとって最大の要因であることは疑うまでもない。
ただし、栄養を摂取し血液中に豊富な栄養を供給していても、怪我をした足のむくみがひどくて血液の流れが元に戻っていない。この術後の腫れがあるが故に、回復促進を望む患肢の細胞に栄養とフレッシュな酸素が供給されていないことを知るもどかしさ。
浮腫みは一向にひいてくれないことから、自分の皮膚が張り裂けそうになって水疱ができてしまう。水泡と言うのは火傷をした時とか運動して何度も同じ皮膚に摩擦が加わったときや、鉄棒をしていて手に豆(水疱)ができ、皮膚に高温の湯や火が触れ、組織が壊死を起こし水泡形成するのと同じ。
私の足に対して私はできうるケアをし、
「早くよくなれ」
と思い、足を挙上し、マッサージをし、下肢を下垂し浮腫が強くなったときには、弾性包帯で血液の停滞を防ぐようにしたりしていた。
様々な考えられることを実践してみても、あくまでも組織の回復力と言うものが最大限に発揮されるようになるには、時間がかかるなぁと感じている。
手術直後の痛みと言うものに関しては日に日に良くなりほぼ痛み止めと言うものは飲まなかった、ところが足の浮腫によってしびれ感と時折起こる電気の走るような感覚がある。これによってなかなか良質な睡眠が取れないというのが1番苦しいところだと思う。
私と同じような思いを体験し、骨折した足や手が思うように回復しないとジレンマを抱えているひとが、たくさんいることと思う。
お互いあせらず、ここはやっぱり時間薬と言う言葉を思い出して自分自身の怪我をした足に対し、お前も細胞を一日でも早く再生しようとしているのだよねと、声をかけていくしかないなぁって感じている。
痛みに負けてただただ横になっている生活はとても寂しい。私はそう思えてならない。
今回は、骨折物語として誰か同じような思いをしている人に届けたいと思った。
看護師を目指すような人には、患者の気持ちを文字からわかっていただけたら嬉しいなぁと思っている。
日中は比較的起きて文字を書いたり本を読んだりする時間を確保できていることを、幸せだと思う。
明日はちょっと、入院するときに病院に持っていった本、「オペラ座の怪人」の話をしてみたいと思っている。
「オペラ座の怪人」に精神の解放をもたらしたものは、物事の価値判断の転換と他者の介入だったと思っています。
ぜひぜひ、「オペラ座の怪人」のミュージカルを見てもらいたいなぁと思います。
2022年1月7日(金)
MILK
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