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これは、あなたのものがたり。 セカイヲ、シアワセデミタス、あなたのものがたり。 さあ、このページをめくってください。 あなたが、納得できますように… わたしのものがたり ジョーカー これは、わたしのものがたりだ… 目の前の“ノルン(フランスの、運命の女神)”を見ながら、私は思っている。 (不思議だ…) (なぜ?) (なんで、タナカさんは、みんなを巻き込んだんや…) あんなに優しかった、タナカさんは、いま、わたしをこの世から消そうとしている。 今に
コヤマのものがたり コヤマとナカイさんとキタムラさん タナカさん、ほんまにスズキ君、好きなんやな ミュータントの話で盛り上がった後、シアトルホームステイ定例会で、コヤマは呟いた。 目の前で、ナカイさんとキタムラさんが、ヨシイくんについて話している。 「王さんかっこええわ~。それにおもろい。見た、あの変顔?」 「みたみた。あれはほんまにおもしろかった。」 優雅な足さばきで自転車を押すキタムラさんと、上気した笑顔でヨシイくんについて熱弁を振るうナカイさん。
ハシモトくんのものがたり ハシモトくんとキムラさんとヨシイくん …王さんは苦手や… ミュータントの話で盛り上がった、みんなの定例会の帰り道。となりで楽し気に話しかけるヨシイ君を見て、ハシモト君は思った。その少し後ろで、屈託なく笑うキムラさんがいる。 俺は、一番やなかったんか… ハシモト君は、県内で一番の進学校へ進学した。キムラさんを除く、11人が学び育った、中学校では1番の成績だった。テニス部に所属し、キャプテンを務め、生徒会長にもなった。ルックスにも自信が
あなたとせかいのものがたり ミュータントとあなた 1992年末、雪の積もった夜のことだった。 ニルヴァーナの"Smells like teen spirit"が流れる、田舎町の家電量販店で、その事件は起きた。 新聞では、報道されなかった。 ほとんど誰も覚えていなかった。 三人、人が死んだのにもかかわらず…家族でさえ、その三人が存在したことを覚えていなかった。 その家電量販店には、店員以外に客は三人。 あなたはその中の一人だった。 紫色の薄い霧のようなものが、ど
彼女とあなたのものがたり タナカさんとあなた こわい あなたはそう思った。ずっとその人はあなたを見ている。 シアトルにホームステイした。町の高校生1年生12人を選抜し、3週間のシアトルホームステイを、町が提供してくれた。 あなたはそのメンバーの一人だった。あなたは、ただのヒト。目立たない、平凡なヒト。 なぜなら、あなたは目立たないように生きてきた。 あなたは孤独だった。いつも独りぼっちだった。 祖父母と父母、妹と弟に愛される、ただの平凡なヒトだった。 あなたは
わたしのものがたり ジース どうして、「相変わらず」てゆうたん? 姉川と妹川の血で、朱く滲む琵琶湖の湖岸に静かにジョーカーがたたずんでいる。黒い瞳で、こちらを困ったように見つめている。 …目をそらした。 「忘れてん。」 ウソ。そもそも、『相変わらず』っていったことを覚えてるから、『忘れた』なんて言えるんや。 「ホンマやで。ウソかも?どっちでしょう?」 ヒトを嘲笑う、厭な笑顔だ。 「ごめんごめん、怖い眼するなぁ。」 本当におびえているみたいだ。 「僕ら、C.
わたしのものがたり ジース これは、私の、物語だ。 雑居ビルの一室…カッシーノ研究所から出て、スズキくん…ジョーカーは語りかけてきた。 「タナカさん、走ろうか。琵琶湖に、ミュータントが出てる。”姉川”と妹川”っていうナニカ。姉妹でコロシ合ってる。休ませてあげたいな…協力してくれる?」 うん。確か、実際の川の、姉川はもう、なくなっているんよね。 「みたいやな。飛ぼうか。となると、ミューテーションしないとできひんな。」 そやな。ニケーには翼があるから。スズキ君は、飛
わたしのものがたり ジース これは、わたしの、ものがたり。 許せない… あの笑顔…誰よりも優しかった、あの笑顔は、もう、ない。 あざ笑う、人を見下した、あの笑顔…許せない… あいつは、私を、裏切った。思い出した。そう、あいつは裏切った。 心の底からただ愛し、ただ愛した私のこころを、裏切った。 だから復讐するの…地の果てまで追い詰めて、コロシテヤル… 「きみの名前は、『テン』ですよ。対変異体特殊部隊『C.A.R.Ds』。Conquerer of Annihil