『あさひは失敗しない』文庫化のお知らせ

こんにちは。最近暑くなってきましたが、みなさんいかがお過ごしですか。
私はというと、今年の夏は手加減してくれるといいなと毎日考えています。

さて、タイトルにもありますように、この度『あさひは失敗しない』の文庫化が決定いたしました。9月13日に講談社文庫から発売予定です。

詳細はこちら。


単行本で発売された作品の文庫化は『#柚莉愛とかくれんぼ』以来2作目となるのですが、本当にありがたいことだなと感じています。

なぜなら、単行本として出されたものが文庫化することは、決して当たり前ではないからです。単行本で読んでくださった方がいるからこそ、今回の文庫化につながっています。本当にありがとうございます。

『あさひは失敗しない』は私にとってとても思い入れのある小説です。

私は『柚莉愛とかくれんぼ』でメフィスト賞をいただきデビューしたわけですが、デビューが決まってからデビュー作が発売されるまでの約1年間、ずっと2作目の準備をしていました。小説を書く経験が足りていなかったこともあり、書いた長編は3本ともボツになりました。その後、担当さんがご異動となり、新たについてくださった方に「真下さんは何を書きたいですか」と聞かれて「母と娘の物語を書きたいです」とお伝えしたのがスタートでした。

プロットが通り、執筆している間も、ずっと不安でした。またボツになるかもしれない。また期待に応えられないかもしれないと。ボツというのはつまり、編集者さんの期待に応えられなかったということです。これまでに3回もその経験があったので、新しい担当さんにもがっかりされてしまったらどうしようかと、すごく不安でした。

不安でキーボードを打つ手が止まりそうになるのを堪えて書き上げた原稿は、編集者さんと何度も話し合って改稿を重ね、出版できることになりました。

2作目の壁、とはよく言われますが、その壁を乗り越えられたことは、自信につながりました。『あさひは失敗しない』を担当してくださった編集者さんはもう異動されてしまいましたが、きっと文庫化を喜んでくれるのではないかなと勝手に思っています。

『あさひは失敗しない』は、読者の方がご自身の人生について語られるご感想をいただくことが多い作品です。同じような家庭環境だったり、主人公のあさひとご自身を比べられたり、というご感想です。『#柚莉愛とかくれんぼ』はどちらかというと物語の構造についてのご感想をいただくことが多かったので、本によっていただくご感想というのはさまざまなのだなと初めて気づきました。

これから文庫化に向けての作業が始まるわけですが、およそ3年前に書いた作品ですので、自分でもゲラを読むのが楽しみでもあり、怖くもあります。文庫化にあたっての私の方針は基本的には「当時の筆致をそのまま活かすこと」なので、今回も物語が大きく変わることはないと思いますが……。

というわけで講談社さんから単行本で出る新刊の『かごいっぱいに詰め込んで』は8月7日発売、文庫版の『あさひは失敗しない』は9月13日発売と、2か月連続刊行となります。

タイプが違った2作ではありますが、どちらもきっと楽しんでいただけると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

それではみなさん、どうかお健やかに。

真下みこと

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