勉強の仕方 - 反復は全ての基礎である

どうもみこせんです。今日の記事は勉強の仕方です。

はじめに、いつものような「この通りにすれば良いんだと思うと失敗する」という類ではなく、この記事は本当に「この通りにすれば良い」という記事です。

タイトルの通り、勉強全般に役立つ情報です。今回は勉強といっても、知識獲得までの脳の活動に触れて、今後、新たに勉強していこう!という人へ伝えたい心構えですね。


「お前に脳みその何がわかる!?」


私専攻していた心理学、ちょっと脱線しますが、じつはいろいろな分野がありまして、意外なところだと、条件反射とかも心理学で研究されるところだったりします。脳の仕組みもやりますし、記憶の研究、感覚の研究とかもあります。私学部時代は、記憶と共感性の二つについていろいろと論文読み漁ってまして、脳科学とかの方面の論文も読んでました。性格診断とかカウンセリングみたいなイメージする人多いだろうけどあれはどちらかというと実践心理学です。研究系の心理学とはちょっと毛並みが違うんですよね。私は両方まんべんなくやってましたが(大学の方針です)


記憶の分野で、「記憶の活性化拡散モデル」ってやつがあります。どんな研究で見つかったものかというと、例えばポストをイメージしてもらって、その後に果物を一個上げてください、っていうと、人はポストと同じ色の赤い果物の名前を言いやすいんですね。

こういう先行の刺激が無意識のうちに後の判断に影響を与える現象をプライミング、っていうんですけど、見方を変えると、ポスト、というイメージから赤という記憶が活性化し、赤という記憶と思い出そうとする果物の内容が相互作用して、赤い果物を思い出しやすくなる、とも言えるわけです。これが記憶の活性化拡散モデル。脳内にあるイメージをすると、そのイメージに関連するものを思い出しやすくなります。ほかにも覚えた状況とおなじ環境だと思い出しやすい「記憶の状況依存」とかもありますが、だいたい活性化拡散モデルで説明できます。


もう一つ心理学の用語で「感覚記憶・短期記憶・長期記憶」というものがあります。

感覚記憶はうけた無意識のうちに、目や耳から入ってきた情報が脳内に記憶される機能です。人間はドライブしてるとき、走っていくと過ぎ去る風景を一瞬の間だけ脳内に記憶して、瞬時に消しています。

感覚記憶の中から、注意を向けた情報は、短期記憶に送られます。作業記憶、とも言いますね。わーきんぐめもり。十数秒の間だけ続く短い記憶です。算数の計算をするときや、本を読む時など、前後の情報も記憶しているから内容を理解して進めることができます。この記憶は反復することで記憶の時間を延長できることが知られています。例えば頭のなかで何度も唱え続けるなどです。ちなみに容量は情報量ではなく、圧縮された情報の塊を1チャンクとして、5〜9の情報を保持できるようです。ただ、精神状態によってこの容量は増減するのだとか。7±2なので、マジックナンバーセブン、とか呼ばれます。

こうして一定期間短期記憶にとどまり続けた情報は、長期記憶に送られます。長期記憶は消えることがなく、容量もほぼ無限に存在できるとされています。


さて、ここまで小難しい話をしましたが、一つの結論を言いましょう。

記憶というのは、注意を向けた情報を繰り返し覚えるよう努めることで長期記憶におくられ、永続化される

つまり


「私すぐ忘れちゃうんだよね−、覚えるの苦手なんだよねー」


これ、正しい理解じゃないんです。実は長期記憶に一つの情報を詰めるのに必要な時間はまぁ1分にもみたない、数十秒ってところでしょう。これだけやれば一旦永続化はされるんですよね。

しかし、覚えたはずなのに、忘れる。

これは十中八九、覚えているが思い出せない、という状態なのです。


世間で言う記憶力というのはじつは覚える力というより思い出す力が大半なんですよ。

彼ら、彼女らは、覚える方に焦点を当てすぎて、思い出す工程を知りません。思い出す訓練がたりません。思い出すきっかけが作れていません。


では冒頭で説明した、活性化拡散モデルとは、どんな話だったか、関連した情報をイメージすると思い出しやすくなる、という話でしたね。


つまり、記憶力を上げる、勉強効率を上げるためには、もともと持っている知識と関連付けて覚える、ということが非常に重要です。だから、重要なのはとにかくめげずに覚えて関連付けられる情報を増やすこと。効率のいい勉強とか良いやりかたの勉強を〜とか言ってる場合じゃないんですよ。だってあなた知識たりないから覚えられないんですよ?効率よく目的の知識だけつっこもうとし続けると、汎用的に広く、色んな情報と紐付けられるような濃密な記憶のネットワーク作れなくなるんですよ。だから勉強に効率とか求めずに、広く、いろんなことに興味を持って、楽しみながらざっくばらんに雑食に知識を獲得していくのが、ベースとなる記憶力向上にすごく役立つわけです。


記憶力が良いから色々覚えられる

のは間違い。


いろいろ覚えてきたから記憶力がよくなる

が正しい。


さぁみんなでもう一度


いろいろ覚えてきたから記憶力がよくなる!


ただ、ここで一つ問題があって、「じゃあもともとほとんど知識がない人がこれから勉強するのはどうすればいいんだ」ってやつ。


回答の一つとしては

「だから全く知らない業界の勉強をするのは、最初が辛くて挫折すんだよ、しょうがねぇだろほぼ勉強してきてないんだから!」

ということ。


ただ、上記を知っておけば、勉強が進み、苦しみながら一つひとつ知識を増やすと、次の知識は今の知識を身に着けたときよりちょっと楽に覚えられる!ってわかってきます。未来が明るくなるし希望がもてる。そうすると、勉強するのちょっと楽になるでしょう?自分がアホなのだ、バカなのだ、もともとオツムが弱いのだ、っていう劣等感がなくなるでしょ?だって脳の構造上、いままでの記憶した情報がすくなければ、思い出しづらいのだもの。あなたの頭が特別悪いわけじゃないし、つづければ自然と優秀になるわよ。

もう一つの回答としては「頭を使って仮説検証しながら物事の意味を解釈しながら覚える」ということ。人間ね、ふつーに生きてればね、まったく関連づく情報をもってない新規の情報ってそうそうないんですよ。考えて考えてどういうことかをものすごーく睨みつけながら考えて理解するようにしてるとね、「自分の考えたこと」という記憶とその概念が結びつくから。自分が覚えた時にどんなことを考えたか、っていうところにたどり着ければ、思い出すきっかけになりえます。だから頭使いましょう。Use your brain。

本題はここまで。覚えられないのは最初だけ。頑張って没頭し続ければ吸収力あがってどんどん新しいこと覚えられるようになるよ、頑張ってね!


以下は余談なんですが、

心理学の記憶の仕組みって、脳科学の分野で明らかになってることと関連付けるととてもおもしろいんですよ。

感覚記憶って、目で見たり耳で聞いた情報が脳内の神経を刺激して情報が伝達されている期間と対応します。

短期記憶は海馬に新しい神経細胞や大脳へつながるネットワークができてから、海馬の神経細胞が大脳にアクセスする回路を失うまでの話に近い概念。

長期記憶は大脳の神経回路が新しいネットワークを形成してからの期間に近い概念です。

記憶って所詮脳の神経回路の活性化パターンの再現だからねー。


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