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運は、貯めて使うことができる。

生まれて初めて、これは私の人生を変える一冊だと確信した。そんな、素晴らしい本に出会ってしまった。

Kindle Unlimitedで読めました。ですが、私は手元にずっと持っておきたくなったので本を買いに行くことに決めました。

あらすじ

保険の営業マン、修一。
ある日、自分の顧客が20人も相次いで保険を解約。給料は減るどころか、追加で返済をしなくてはならないことに。

途方に暮れていると、妻からの電話。
「今日娘の面談だけど忘れてない?」
不登校の娘について、学校で面談があったことをすっかり忘れていた。
「それから、旅行のお金は振り込んでくれた?」
家族でパリ旅行にいく予定を立てていた。今となっては、その資金も用意できない…。

さらに、母親からも着信が。
「いつ帰ってくるの?話したいことが…」

仕事も、家庭も、何もかもがうまくいかない。
なんてツイてないんだ俺は…!

そう嘆いている修一の元に、一台の不思議なタクシーがとまる。

運を運ぶ、運転手。

近づいてきたタクシーの運転手。

・名前は「御任瀬卓志」(おまかせたくし)
・何も伝えてないのに修一の全てを知っている
・「69,820」から減っていくメーター
・ポイントが無くなるまでは乗り放題
・必ず「人生の転機」となる場所へ連れて行く

まさに、運を運ぶ運転手なのです。
この不思議な設定が、物語を面白くしていきます。

運転手は初めに、修一を「学校での面談」へ送り届けます。

修一は混乱したまま、とりあえずその面談に参加。しかし、なんの解決策も出ない面談にガッカリ。こんなの無意味だ、俺は忙しいんだ!とイライラする始末。

「人生の転機となる場所」のはずが、ここで修一に人生の転機は起こりません。

上機嫌でいること

何も起こらなかったじゃないか!と言う修一に、タクシー運転手はこう伝えます。

「とにかく、大事なことですから忘れないでくださいよ。運が劇的に変わるとき、そんな場、というのが人生にはあるんですよ。それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。そのアンテナの感度は、上機嫌のときに最大になるんです。逆に機嫌が悪いと、アンテナは働かない。最高の運気がやってきているのに、機嫌が悪いだけでアンテナがまったく働かないから、すべての運が逃げていっちゃうんです。昨日のあなたみたいに」

「上機嫌でいることの大切さ」を説く本は、これまでもあった。でも、このセリフはなぜだか、特に響いた。本当にそうだ。
上機嫌でいることも、不機嫌でいることも、基本的にはその人の自由。
だけど、不機嫌ってものすごく損なんだ。

そう思ったら、不機嫌でいることがバカバカしくなってくる。

「不機嫌な営業マンに仕事を頼もうと思う人、いると思いますか?」と言う運転手。たしかにその通り。


運は、ポイント

「いいですか、岡田さん。運は後払いです。何もしてないのにいいことが起こったりしないんです。ポイント貯めてないのに何かもらえますか? 誰もそんなこと、期待しないでしょ。でも、運となると、貯めてない人ほど期待するんですよね」

「頑張ってるのに報われる人と、報われない人がいるじゃないか」という修一に、返した言葉。
修一は「運は、ポイントカードと一緒だって言うのか?」と返すと、

「そうですよ。運は〈いい〉か〈悪い〉で表現するものじゃないんですよ。〈使う〉〈貯める〉で表現するものなんです。だから先に〈貯める〉があって、ある程度貯まったら〈使う〉ができる。少し貯めてはすぐ使う人もいれば、大きく貯めてから大きく使う人もいる。そのあたりは人によって違いますけどね。どちらにしても周囲から〈運がいい〉と思われている人は、貯まったから使っただけです」

何もしていないのに「運がいい」と思う出来事が起こることは、ない。と、運転手は断言してくれます。

私も、修一と同じ考えだった。運って残酷に平等なものだと思っていたし、何もしてないのにいいことが起こることもある、って思ってた。

でも、そうじゃないんです。

…でもさ、何もいいことが起こらず亡くなる人だっているよね?生まれた時から、貧困に苦しむ人もいるよね?そうやって言い返したくなる気持ち、わかります。でも、その答えも全部、この本には書いてあるんです。

読み終わる頃には、文字通り腹落ちします。

運を貯める方法

ここで自分も気になることが出てきます。自分は、運が貯まっているのだろうか?そして、ポイントカードといっしょなら、貯める方法はあるのだろうか?
修一が、運転手に全く同じことを聞いてくれます。

「ありますよ、誰かの幸せのために自分の時間を使うんです」

なるほど。

「そうです。でも続きがあります。誰かの幸せのために自分の時間を使うじゃないですか。そうすると、それによって何かを得ますよね。そのときしてあげたことと、してもらったことの差が〈運〉です

誰かの仕事を手伝ったとする。1時間働いて、時給分のお金やお礼をもらったら、それはプラマイゼロ。運は使っていません。

では、ありがとう!の言葉だけだったら。なんなら、ありがとうも言われない、何にもお返しがなかったとしたら。

ここで「運」が貯まる。
こういうとき、不機嫌になるのは簡単です。でも、「あ、運が貯まった。」って考えるんです。

簡単に言うと、損をするってことです。
損をすればするほど、運が貯まる。そう思うとなにより、いつも上機嫌でいられそうですよね。

ふつう、損ばかりしたら誰だって不機嫌になります。そうすると人生の転機に気が付けない、また不機嫌になる、の悪循環です。

でも、「うわ〜今日めちゃくちゃ運貯まってるじゃん!!何が起こるのこれから?楽しみすぎ!」って逆にウキウキ、ワクワクしてたら、もう絶対にいいことしか起こらないでしょ。


伏線回収に、鳥肌と涙が止まらない

ここまでの紹介だけを読むと、コミカルに「運が良くなる方法」を伝えていく小説形式の本。みたいなイメージが湧くかもしれません。

でも実際は全然違います。

どうして、人生どん底だった修一の前に、奇跡のようなタクシーがやってきたのか。

なぜ、タクシーのメーターが「69,820」からスタートしているのか。

物語にはさまざまな点が散りばめられていて、読み進めていくうちにどんどんと、その点が繋がっていきます。

後半は、涙なしには読めませんでした。

一見無意味そうな出来事が、まさかの出会いに繋がっていたり。
誰がみても運が悪かったね、と思うような出来事が、のちに「あれがあったから今がある」という大事な転機だったり。

まるで、私たち一人一人の人生の縮図のようです。

私はこの本を読んで、これまで自分が「損をしたな」と思っていた出来事すべてが、「あのおかげで運が貯まったんだ」と思えるようになった。

過去の悲しかったこと、悔しかったこと、辛かったこと。「全て無駄じゃない」って理解できたんです。

これ、単に私の「前向きな思い込み」とかではないんです。本当に無駄な努力とか無駄な損って、絶対にないってことが読むとわかります。

自分は運が悪いと思う人
最近いいことが全然ないという人
辛い過去を忘れられない人
この先自分はどうなるんだろうと不安な人
伏線回収が楽しい小説が好きな人

とにかく騙されたと思って、一度読んでみてほしい一冊です。


あとがき

これ、#読書の秋2021 の課題図書だって知らずに読んでました。びっくりすぎる。すごい。運を使った気がする。笑

私はYoutubeの動画で知って、続きが気になって出会いました。出会いをうんでくれたハピ研さん、ありがとうございます。


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