並列Fortranシンポに参加して

 第5回並列Fortranシンポジウム(2019/08/02、@東大情報基盤センター)に参加した。主に4つのコンテンツがあった。

1. 高田先生によるFortran規格化の歴史の紹介(90まで)
2. John Reid氏によるCoarraysの紹介
3. Steve Lionel氏によるFortran 2018の紹介
4. フリーディスカッション(事前質問に対して)


1について
 FORTRAN66からFortran90/95までのFortran日本コミュニティの活動の紹介

2について
 John Reid氏によるCoarraysの紹介。Coarraysは並列化のためにとてもいい選択肢であると考えているようだった。
 また、Fortran2018で導入されるTeam, Collectives, Events, Continued execution with failed imagesに関する簡単な説明があった。

3について 
 Steve Lionel氏によるFortran2018の紹介とFortran202Xについて紹介があった。
 Fortran2018の大きな目玉はCとの相互運用の強化であるという。ただし、のちに質問があったが、相互運用できる中にCoarraysは含まれていないようである。また、implicit noneの拡張や定数宣言式の緩和などがあるようであった。
 次期Fortranについても言及があった、次回では、202X(2023)を目指しているようである。ただし、その詳細についての話はなかったと思う。

フリーディスカッションについて
 フリーディスカッションに応募された質問については全てを扱うことはできないため、内容については、WEBサイト上で回答が公開される予定であるとおっしゃっていた。

GPUに対応してほしい
任意精度の型演算がほしい
特殊関数の演算を組み込みとしてほしい
行列演算の組み込みがほしい。可視化ライブラリのインターフェイスがほしい。
C++11のalignas, alignofに該当するようなdata alignment の機能がほしい。
最適化抑制機能がほしい

覚えている限りで議論について書くが、間違えて理解している点もあるかと思う。


GPUについて
 CUDAFortranやOpenACCのような、現状もう使えるものがある。Fortran規格としてはハードウェアに依存した規格を策定することはない。理由としては、ハードウェアの進歩は早く、規格に沿ったコンパイラが実際に使える頃にはハードウェア自体が陳腐化している可能性が高いから。

行列演算の組み込み・可視化処理のインターフェイス
 すでにライブラリで実行できることを規格でわざわざやらないとのこと。可視化インターフェイスはコードの可搬性のために必要ではないかという話もあったが、可視化も各コンパイラメーカなどが行なっているとのコメントであった。

data alignmentしたい
HPC分野で広く使われているものである。202Xで考えたい?


その他について
 Fortranの国際規格に関するWGに関連して以下のウェブサイトが紹介された。

N2165 US Feature list proposals for F202Xなどに今後議論される内容について提案がなされている。
1行あたりの長さをもっと長くしたい、Genericプログラミングの機能を入れたいなど

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