私にとっての緒方貞子さん、中村哲さん

雲の上のような偉大な存在だけど、たまたま近くで会う機会があり、20代の迷える私に勇気を与えてくれた方が、立て続けにお亡くなりになった。緒方貞子さんと中村哲さん。人知れず、悲しみと不安に暮れているので、少しだけ書き留めておきたい。

緒方さんとは、留学先のアメリカで何かのパーティでお会いし、間近でお話を伺い、ごく短い言葉を交わす機会があった。中村哲さんは母が小学校の同窓(福岡県古賀市の古賀西小学校)で、地元の講演会のような場に連れられ、お話を伺えた。

当時の私は、都市計画・まちづくりに進路を変えたばかり。これからどう働き、生きるべきか悩んでいた。そんな中でお聞きしたお二人のお話。共通していたのは、現場への敬意、もっとも弱い立場にある方々への徹底的な寄り添い、最前線で働く人の尊厳だった。

その後、私の頭の片隅には常に、このお二人とお会いできた経験があった。その場ではご本人に認識もされなかったちっぽけな存在だけど、お話をお聞きできた機会を勝手に誇りに感じてきた。途上国支援という分野ではないけれども、地域に入るものとして現場主義や弱い立場への共感を貫くのは、お二人の影響が大きい。

そんな偉大な存在を見送らねばならなくなった今、少しばかり後ろ盾を失ったような不安と今後に向けた焦燥感を感じている。(実は、講演会などを聞いた方の中にそんな人は多くのではないかと思う。)

生きた言葉を失う怖さ。分からないことだらけだけど、先輩から学びながら試行錯誤してきた・・そんな時代は終わりだと言われたような気分。

ただ、何も変わるわけではない。自分の立ち位置を活かして、私の場合は、若い学生や実践者とともに、現場への敬意を持って取り組み続けるのみ。ただ、仕事の意義と力に自覚と誇りを持って日々を過ごさなければ、と決意を新たにし、私ができることを、現役でいられる限り続けていこうと誓った。

この記事は、徐々に加筆していくかもしれない。とりあえず書き留めておく。

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