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【観戦記】圧倒される音と衝撃、感嘆する高いスキルと迫力。車いすラグビー初観戦

激しいぶつかり合い、擦れる車輪の軋み、選手の高いチェアワークスキル。初めての車いすラグビー観戦は、熱気と迫力に圧倒された。

車いすラグビーとは

東京パラリンピック2020の公式種目でもあった車いすラグビー。日本でも東京パラリンピック前から強化が進んでおり、TVなどでも目にするようになった。

  • 特徴

    • 四肢麻痺者など、(上肢/下肢両方に障害がある)比較的重い障がいのある人が競技できるチ ームスポーツ。

    • 車いすを使うパラスポーツで唯一「車いす同士をぶつけること」が許されている競技→「MURDERBALL(殺人球技)」と呼ばれた歴史がある。

    • トライラインを越えたら1点。相手のトライ後にボールを投げいれてから40秒以内にトライが必要。→攻守の切替が早い。

  • プレーヤー、チーム

    • 男女混合の1チーム12人までの構成で、コート上には4人。交代は自由で繰り返し入ってもよい。

    • 障害の重軽(0.5毎に定義)、男女(女性は合計に0.5pt加算)の各自のポイントがあり、コート上は試合・大会で決められたポイント(本大会は8pt)以下で構成する。選手の背面にポイントが掲示される。

  • 競技時間

    • 8分/ピリオド × 4。ピリオド間に休憩が入る、ハーフタイム(第2/3ピリオド間)はほかの間より長め。

  • 使うもの

    • コートはバスケットボールコートと一緒。ゴール前に「キーエリア」と呼ばれるエリアがある。

    • ボールはバレーボール(5号球)をもとにした専用球。握力が弱い選手でも持つことができるように滑り止め加工をしている。

    • 選手は車いす(通称:ラグ車)に乗ってプレーをする。ラグ車には主にポイントの高い選手が使用する小回りの利く「攻撃型」とポイントの低い選手が使用するバンパーのついた「守備型」の2種類がある。

2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ

2023年6月29日~7月2日の4日間で開催されたアジア・オセアニア地区最大の大会。2024年に開催されるパリパラリンピックのアジア・オセアニア枠の出場権をかけた重要な大会です。

大会の紹介は以下の記事がわかりやすくて、私も参考にしました。

4チーム出場しましたが韓国が大会前に棄権し、順位は日本・オーストラリア・ニュージーランドの3か国で争うことになりました。3か国は世界ランキングベスト8内、特にオーストラリアは大会前時点で世界ランキング2位と日本の3位よりも上にいます。

(出典)World Wheelchair Rugby

車いすラグビー初観戦

初観戦は6月30日(金)。
予選の 日本 vs. オーストラリア。世界ランキング2位x3位の戦いに出かけた。会場は東京体育館。日常のスポーツ観戦が屋外のラグビーである私にとって初めての会場だ。

会場でのイベント

会場ではグッズ販売や、選手所属チームの写真パネルなど試合間を楽しむことができるイベントも用意されている。

その中でも「車いすラグビー体験」が大人気だ。
ラグ車は普通の椅子よりもかなり低いので後ろからラグ車を支えてもらって足から乗る。車いすをターンするには左右の車輪を逆向きに回す。など、体験してみなければわからないことばかり。
そして、実際にあたってみた時の衝撃と音に驚いた。恐る恐るぶつかった私でもこれだけの衝撃なのだから、トッププレーヤーの速度での衝撃は… 想像しがたい。早く試合が見たい。

日本 vs. オーストラリア

いよいよ試合。
バスケットボールのように中央でボールを競り合うプレーオフ。日本は長身(座面が高く背も高くて手も長い)池キャプテンがボールをキープする。

ここからは驚きの連続だった。

スピードと衝撃と迫力に圧倒されているうちに第1ピリオド終了。
単純にボールを運ぶだけではない戦略を感じる第2ピリオド、ローポインターのディフェンスに力強さを感じる第3ピリオド とあっという間に時間が過ぎる。

そして最終ピリオド。42-41と日本が1点リードし、日本の攻撃で始まった。ターンオーバーがなければ交互に点数が入る車いすラグビーでは、1点リードして攻撃している日本が優勢といえる。しかし、強豪オーストラリアも3人がかりのディフェンスを突破する強さを見せる。しかし、2分の所で日本がターンオーバーに成功し2点差にすると、徐々に日本がオーストラリアを追い込み始める。相手のインバウンダー(ゴール後にボールをスローインすること)をカットしてボールを得てさらに追加得点をする。残り1分を3点差で迎えた日本は相手にプレッシャーをかけた連続得点でさらに2点を加えて57-52で勝利した。

第4ピリオドの試合展開は後からYoutubeで落ち着いてみて書いた。ライブの時はただただ選手の名前を呼んで、選手名前うちわを掲げて応援し続けた。

声が枯れた。そして車いすラグビーにはまった。

さらに3日目も観戦

昨日の衝撃が忘れられず、3日目も観戦。自分の感動と衝撃を忘れないように、とカメラを持参した。

この日の日本代表は公式戦としては初戦のニュージーランド戦のみ。格上の日本は49-40と余裕の勝利を見せた。エキシビジョンの韓国戦では、コート内4人の合計ポイントが3.5ptとローポインターで構成したチームで点数を取るなど日本の底力も見た。

日本、パリパラリンピックの出場権獲得!

最終日。Youtube観戦でも思わず声が出た。
優勝、そしてパリパラリンピック出場権獲得。おめでとう!

車いすラグビーの魅力とは?

なんといっても音と衝撃に圧倒される。
でもそれだけじゃない。攻撃のための防御、チームのために自信の役割を果たすチームワーク、時間を味方につける戦略などTVでは知らなかった魅力をたくさん知った。

さらに、人間の可能性と選手の情熱に圧倒された。

自分が選手と同じ身体状態だったら…日常だけでも必死な中で、世界を目指そうと思っただろうか。パラスポーツをやるにしても他には競技がたくさんある中で、「MURDERBALL(殺人競技)」と呼ばれた激しい競技をあえて選択して、世界のトップを目指す選手たちの情熱や、プレーをするための日々のトレーニングを想像して、想いに圧倒された。

こんなにワクワクして圧倒される競技を知れた。
ありがとう。これからますます応援します。



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