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教育で結果を出すという事③

2学期、クラスの全員で英語のテストで全員合格しようという話になった。もちろん英語が苦手なその子も含めて。絶対に無理だろうという雰囲気が流れた。らしい。

しかし、担任の先生は自ら指導せず、グループに任せた。自分たちの欲しい結果は自分たちで手に入れろと...。グループのメンバーはその子が点を取れるよう必死に教えたが、あまり効果は見られなかった。どうしようかな、無理かなと思い悩むグループのメンバー。

が、その子は、ある時

『俺、こうやったほうが覚えられるねん』とつぶやいた。

グループのメンバーはその子がより覚えやすいやり方を工夫して、教え合い、みんなで合格をつかむためにがんばった。とはいっても、なかなか全員合格は難しいだろうという雰囲気もグループに立ち込めていた。

そして、テストの結果が帰ってくる日。


全員合格。


そして、その子は100点満点だった。

その子が、覚えやすいやり方と言ったのは、実は個別指導の中で先輩が試行錯誤の末たどり着いた指導であり、個別指導の中ではなかなか効果を感じることができずにいたやりかたであった。

個別指導での取り組みが、クラスの子たちとの関わりによって開花したのである。グループのメンバーがあきらめず、その子と関わり、みんなで勝ち取った合格だった。それも満点というおまけ付きで。

私はこの話を生で聞いて、泣いた。

いや、泣いてはいない。正確には、目玉から出てくる汁が3、4滴こぼれたという表現が正しい。

先輩が思い悩んでいた姿、苦しんでいた姿、全然結果が出ない中、一生懸命頑張っていた姿を隣で見ていたからこそ心揺さぶられたのだと思う。

個別(通級)指導の時間は、自立活動の時間とされている。その子の能力を見極め、目標を立てて、その子に合ったやり方で、その子ができることを、達成感を感じながら、やる気を高め、自己肯定感を育んでいく。そして、つけた力を自分のクラスに戻った時に発揮できるようにする。これが本来の目的である。違ってたらごめん。

でも多くの特別支援学級では、通常学級での遅れを取り戻すための活動をする時間とされたり、なんとなくレベルを下げたプリントを課題としているケースが多い。

テストの点数だけで計ることのできない力が、知らず知らずのうちにその子にはついていたのだろう。

先輩との個別の時間は1対1やから、甘えとか、恥ずかしい気持ちとかもあったかもしれない。だから、目に見える結果はなかなか出なかったのかもしれない。

思春期の人間は思ってもないようなことを言ってみたり、強がったり、ほんとの自分をさらけ出すことはなかなかできない子も多い。特に、個性の強い子は殻に閉じこもってしまったりするケースがある。

やる気のない子よりもやる気のある子を教える方が簡単だ。やる気を出させ、前向きな心で学習をするために、先輩はあきらめなかった。

一生懸命に教材を考え、本気を出した授業が上手くいかない時はどんな人でもへこむ。へこみながらも先輩はあきらめなかった。自分にではない。その子の可能性に対してだ。

少しでもその子が、勉強を好きになってくれたら...

できることを増やしてくれたら...と思って、

期待して、信じて、待った。そして、


その子は、結果を出した。いろいろな人に支えられて...。


1人の力が伸びることも大事。

でも、人と人との関わりの中で成長していくことがもっと大事。支え合って、助け合って、補い合いながら育っていくってとても大切なことやと思う。

自分が学級経営で大切にしているポイントは『苦手、不得意、不器用、できないことがあってもええやんか。完璧な人間なんておらへんのやから。みんなで楽しく頑張っていこうや~』ってこと。

そんなトコがブンブン揺さぶられた日でした。


あ~教師って、大変やけど、めっちゃ素敵な仕事やな~


以上。長文失礼いたしました。

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