台にアニバーサリー (祝・二周年!毎週ショートショートnote)
蟹缶が家出した。理由はわからない。
とても珍しい、青くて四角い蟹缶だった。
だから大切に大切にしまい込んでいたのに。
パニックになった私は親友に電話をかけた。
彼は私をなだめ、話を整理し、やがてこう言った。
「きっと蟹缶の墓場へ向かったんだろう」
私は蟹缶を大事にするあまり、賞味期限を失念していたのだ。
「それは何処なんだ?」
「決まっている……蟹座だ」
私は発射場へ駆け込んだ。
蟹座行きロケットを目指す私を、係員が慌てて止めた。
「チケットは持っている!」
親友が手配し