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春夏秋生の生えてきたインタビュー 第12話

【聞き手:春夏秋生×ミカノハラ軟骨あるみ】(インスタレーション)
秋生:みかのはら~とに出展することになったきっかけは?
あるみさん:枠があるよって伸子さんに言われました(笑)何か月も前からみかのはら~とをやることは知っていて、運営について相談に乗ったりはしていました。それから申し込み期限が切れている頃に、用紙に名前を書かされました。(笑)
秋生:そんなかんじだったのですね。ワークショップをするそうですね。わりと大掛かりなかんじですか?
あるみさん:展示と作品は置いておくだけで、当日は実働で動こうと思っています。
秋生:そうなんですね。木を使って作っていくんですね。
あるみさん:はい。糸のこで木を切ります。
秋生:11月に入って決めないといけない事がどんどん出てきて、実行委員はだんだんと皆焦ってきてるかんじです。(11/17~20の4日間がみかのはら~と開催期間)
あるみさん:私も少し前までが忙しすぎて、ずっと関われていなくて最近やっと落ち着きました。
秋生:大学ではデザインを専攻されていて木のおもちゃを作りたくて、そこから単身でドイツへ渡ったんですよね?
あるみさん:はい、実質2年半いました。
秋生:学校を卒業してすぐに行ったのですか?
あるみさん:まずは日本で就職しました。おもちゃをデザインする会社で教育玩具の会社で2年間働いてお金を貯めてその後退職してドイツに行きました。
秋生:そうなんですね。玩具のデザインをしていたけれどやっぱり木のおもちゃを作りたい気持ちが強かったのですね。木のおもちゃはドイツが多いのですか?
あるみさん:文化的に背景としてあって、伝統的なおもちゃがあったり、マイスター制度という職人養成のシステムが社会に備わっているんです。国として社会として職人を養成する制度が整っています。日本にはその制度が備わっておらず、あるとすれば宮大工とかなのでそれも考えましたが、とても長い道のりをいったところでおもちゃにいける気がせず、私のやりたいものが作れるわけではないな、かといって家具も違うなと思い、もう少し自由なものを作りたいと思ったとき日本にそれがなかった。木工のデザイン学部でガラスとか金工など専門が分かれていく中で、木工にいったとしてもやっている事は家具だったので、木工工房には入れるけれど自分でやるしかなかったので学校に居続けるのも違う、なので工房に入り自分でおもちゃを作っていました。あとは平面のデザインや色彩など基本的な事は学んだので、これ以上は求めるものがないなという感じでした。
秋生:小さい頃は絵を描くのが好きだったりしましたか?
あるみさん:絵がそれほど好きというわけではなく、工作など自分で考えてやるのは好きでした。机に座ったら勉強せずに気付いたら何かを作っていました。木のおもちゃをやりたいのはきっと自分の手で生み出したもので子どもが喜んでいるという状況を作りたかったのでしょうね。
秋生:それはいつ頃からそう思うようになったのですか?
あるみさん:高校生位ですかね。作りたかったのは、赤ちゃんから未就学児までを対象としたおもちゃです。
秋生:もう迷いがないのがすごいです。潔いというか。
あるみさん:迷いますよ。迷ったときにどこを見るか。見た先で勝手に答えが出るみたいなかんじでしょうか。
秋生:ドイツに行くことを家族や誰かに相談はしたのですか? 
あるみさん:ドイツに行く事自体は行きたいし、行かないと始まらない。どうすればいいのかがわからなくて、たまたまドイツ人の友達がいたので情報の集め方を相談したり、ドイツのおもちゃの会社に自分の名前で手紙を書いてもらいました。
秋生:そうなんですね。そのお友だちがいて本当にラッキーでしたね。行きたい気持ちは決まっていて、行ったらやるしかないですもんね。修業先はそんなすぐに見つかるものですか?
あるみさん:いいえ、すぐには見つかりません。1ケ月か2ケ月列車で移動しながら旅を続け、最後に見つかったんです。
秋生:言語は英語ですか?
あるみさん:ドイツ語です。行ってからまず、語学学校に行きました。行く前にNHKのラジオ講座を通勤前にずっと聞いていましたが全く何ももたらさなかったです。あの日本での勉強は続けなくて良かった。(笑)全くのゼロから始める人には無理でしたね。おすすめしないです。(笑)
秋生:2年半の修行を経て日本に帰ってきたのですね。そこからみかのはらと出会うのですか?
あるみさん:はい。京都市内や様々な場所を探したのですが、広さや環境など色々と探していくとやっぱり私、町じゃないんだなって。(笑)まさかこんなに一ケ所にずっと住むとは思ってなかったです。
秋生:みかのはらで木工を始めてどのくらいになりますか?
あるみさん:2004年からなので18年です。
秋生:みかのはら~とのワークショップの内容はだいぶん決まってきましたか?
あるみさん:もともとアーティストとしてアート作品を作っていないし、個展などもやらないのでよくわからなくてずっとどうしようか考えていました。自分の活動のテーマ性の部分を表現するんだというのはあって、自分の中でずっとテーマは持ってやっているのでそこが表現できればいいんだ、と思い最近イメージが固まってきました。これだと、みかのはら~と用に急遽作りましたではなく、私の人生とか今までのテーマと統合される表現になるので、これでいけるのではと思っています。私がパーツを作りそこに参加した人が絡んでどんどん作品が追加されていく、私一人では成し得ないものであり、出来上がったものは私のものではなく、色々な人の物で出来上がっていきます。
秋生:どんなものができるのか楽しみです。みんな誰もが初めてでやったことのない事をやろうとしているのでドキドキですよね。出展者のうち半分位は素人で地元の人です。話題が変わりますが、これからやってみたい事はありますか?
あるみさん:たぶん思っているのなら、もう既に行動に出てるんですよね。今それがわからないって事は何も思っていない。今やっている事は過去に思ってた事なんですよね。
秋生:なるほど。ちゃんとやりたかった方向に進んできて今があるって事ですね。
あるみさん:だと思います。
秋生:これからもあるみさんが考えるおもちゃで子ども達が楽しめるものを作っていきたいというかんじでしょうか?
あるみさん:木工の木はずっと触り作り続けながら、もうおもちゃの域は出ていておもちゃを作るというよりは、自分の表現に入っていってるので、それまでに転換期があったんですよね。だから、このタイミングで今回のインスタレーションができるんだと思います。おもちゃありきでテーマとして入っているけれど、もっと大きなテーマで自分の活動範囲を作って今その活動をしているところに来ています。おもちゃって何の為に?となった時に抽象度が上がって作るものの範囲が広がるというふうに勝手に進んでいきました。やり続けていると頭打ちの時がある時やってくる。頭打ちの時に、さあどうしようかと人は考えます。その時に大きく捉える事ができたら広がりが生まれる。そこで気付くかどうかだと思います。私は広げる方を選んだという感じです。
秋生:そうなんですね。やり続けていると立ち止まって考える時がくるのですね。それってどの仕事をしている人でも同じようにその時が来ると思いますか?
あるみちゃん:はい。どの仕事でも一緒だと思います。あらゆるものはずっと同じではないので、自分のしている事が同じでも状況は変わってくるし時代も変わる。人が変わってきて、自分に返ってくるものが変わってくると同じ事をやり続けていても同じ結果にならない時が絶対に来るし、それにきっと自分も付いていかないといけない。
秋生:そうですよね。人の感覚や生活スタイルがめまぐるしく変わっていく以上自分もそれに対応していかないとという感じですね。最近はまっている事はありますか?
あるみさん:パンですね。これ人生に意味あるのかなあって思いながら春頃からずっと焼き続けています。
秋生:あるみさんはこれってなると、突き詰めますよね。これってなるとデータとか取ってとことん調べていくタイプですか?
あるみさん:データとか取らないです。(キッパリ)道具も極力出したくない。感覚で全部やってます。(笑)ずっとお菓子などは作ってきたのですが、まだパンには手を出した事がなくて、ドイツの黒くて固いパンが大好きなので、あれを焼きたくて始めました。ドイツで食べたパンは最高でした!
秋生:レシピも見ない。計らないなんてすごい!
あるみさん:私は問題が起きてみてから考える人なんです。
秋生:とりあえずやってみる。大事ですよね。
あるみさん:まず何も考えずにやってみる。やってみないと話にならないですからね(笑)

あるみさんと話をしていると、揺るぎない芯の強さが伝わってきて、そのどしんとしたエネルギーを強く感じます。自分が何を必死になって背負っていたんだろう?とふと考えるヒントが見つかるようなそんな気持ちになります。これからも、どんどんと周りを巻き込みながら、自由にのびやかに表現していろいろなあるみさんを見せてください。

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