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扇風機は回転しているだけで人を救う

扇風機はシンプルだけど役に立つ。
ただ回転するだけ、ひたすら。
でも、そこから送られる風が体を冷やし、熱を下げ、健康を維持してくれる。

つまり
「回転は人を救う」
ということになる。

「回れ! 扇風機!」
俺がそう叫ぶと、扇風機が勢いよく回りだした。
風を送れる機能があるとは知らなかったな。
そしてこの扇風機、かなりうるさい。
まあ、今は夜だし、多少うるさくても問題ないか。
それに、遠くまで声を届かせるのは重要なことだしな。
俺の声がどこまで届くのか試すいい機会だ。
「あー……ごほんっ」
俺は咳払いをして喉を整えてから叫んだ。
「もっと熱くなれよおおおおおお!!」
すると、扇風機はさらに勢いを増して回りだす。
さらに声を届けようと、息を吸い込んだ瞬間――
ゴオオオォォォォ!! という音とともに部屋全体が炎に包まれた。
どうやら魔法に失敗して家が燃えてしまったらしい。
しかも、俺の放った火の玉が窓を突き破って外に飛んでいった。
幸いにも誰も住んでいない廃屋だったから良かったものの、危うく大火事になるところだった。まったく、魔法ってのは難しいものだ。
ちなみに、その後、家の修理代として国からお金が出たので、結果オーライである。

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