乙女ゲーム初心者「CharadeManiacs」をやる⑦・ミズキ固茹編


前回までの初心者 


名探偵柑橘あらためジョン・柑橘・ワトソンのシャレマニ捜査線のお時間です。
今回は最年長の社会人、射落ミズキ(24)。
普段ゲームは音無しでやるんですが、性別不明という特性上、声はどうしてんだ?と思って音出してみたところ、聞いたことある…乙骨とかシンジとかの!女性声優さん!
なるほど~と納得してスタート。
そのまま音アリでやったので今さらですが主人公ちゃんて声ついてないんだな。つーかメイだけ音量上げないと声聞こえなくて笑った。そんな喋り方だったんかい。
これ音あった方がいいね。受け取れる情報量変わってきそう。


1. さすがに大人


ミズキは最初の方で「情報処理」に関する仕事だというようなことを言っていたのだが、この時点では職業は明かされていない。しかし他の人のルートで情報局局員であることがこちらでは分かっているので、探偵として活躍してくれるのかと期待しながらスタート。

第一印象

最年長らしく、序盤から癖強メンたちをまとめ上げ、その時々の問題点や対応策を洗い出し、論理的に状況に対処していく。
その上でやわらかい物腰で場を和ませるなど、年の功的な場面が随所に。

口調や態度で本心がよく分からないキャラクターだが、彼/彼女についてはドラマの罰でヒヨリが声を奪われた直後、疑心暗鬼で荒れるメンバーを抑えた場面がとてもわかりやすい。
誰も信用できない、裏切り者であるプロデューサーが混じっている中で協力などできない、という結論に落ち着きそうになった時、ミズキは罰を受けたヒヨリが裏切り者ではない唯一の「白」だと説き、そのヒヨリに協力する分にはメリットしかないと告げる。暗に白と判明したヒヨリに協力しない者は裏切り者である可能性があることをを示したのだ。
ヒヨリを白と断定する根拠はそこまで確固たるものではなかったように思うが、その場を納得させるには充分な手際であったので、裏切り者の牽制と穏健派vs強硬派の落とし所提示を同時にやったミズキはけっこうやり手というか、抑制が効いていて場のコントロールが上手い。
これ、このかんじで、女子高生と恋しますかね?という不安はあるが、そもそも性別不明だったね。
まあ私はどっちでもやぶさかでない。めちゃくちゃお美しいし。ただ乙女ゲームで百合が許されるのかどうかは不勉強ゆえわからんのよな…

ミズキ、獲端ケイト廃寺タクミの調理班に入ったヒヨリ。
ミズキは言葉や態度のキツいケイトを上手くあしらい、ヒヨリにも優しく接してくれる。
ある日ヒヨリが図書館へ行くと、ミズキは大量の資料を前に情報を整理していた。
そこで見せられた過去に罰ゲームを受けた人の名簿には、様々な部位を奪われた記録が残っていた。その中には「性別」という項目も。
それ奪えるんだ。どういう状態…?私気になります。
ヒヨリはミズキが前回参加者で、奪われた性別を取り戻すために再参加している可能性を考え、黙り込む。
ミズキにどうしたのかと聞かれ誤魔化すが、お見通しのようで、別の質問をされることに。正直な気持ちを答えたヒヨリに、ミズキは無防備な顔だと笑う。

「きみが誰を信じても、きみの自由」

トモセ、聞いてるか…?これが大人だ…
だけど、とミズキは続ける。

「どうして廃寺くんのことは最初から『信じる』で決まっているんだろうね?」

妬けちゃうよと冗談めかすものの、ヒヨリを心配すると同時に、その純粋さを眩しく思っているような口ぶりだ。今までにないアンニュイさ。
トモセ(略)


2.アルカディア鮫


深夜目を覚ましたヒヨリがキッチンに行くと、ミズキがカクテルを作っていた。
ヒヨリにはグレープジュースを手渡し、自分はカクテルをひと息に飲んでしまう。驚くヒヨリに対し気まずかったからだと答える。
その理由を訊ねてもミズキははぐらかすが、食い下がるヒヨリに「大人になってからね」と笑う。
子供扱いだと拗ねるヒヨリだが、ミズキは女の子扱いしているんだと返し、カクテルのレシピだけを教えた。
女の子の前で気まずいカクテルと言うので色々候補を考えていたが、「ビトゥイーン・ザ・シーツ」のレシピだ。ベッドの中で、という名前は確かに気まずいけど、気まずくなるってことは全く考えないわけではないって事ですかね。
などとニチャリとしていると、急にヒヨリが眠気を催し、あろうことかそのまま寝てしまった。
あ??? まさか…盛った!?
確かにグレープジュース?創作物のこういうシーンで珍しってちょっと思ったけど、秒で回収してくれるじゃん。それなら色わからんもんね…
なんでだミズキ。急にどうした。事情があるんだろうけど薬盛るのはさすがに事案だわ。事と次第によっては次に会うのは法廷になるが???トモセの精神的苦痛についても争う構えだが???

翌朝目覚めたヒヨリは頭痛を覚えるが、特に違和感は感じてないようだ。
2人で出かけ、先の話をするとミズキが顔を曇らせたのを見てヒヨリは心配する。

(射落さんは大人で、すごく優しくて賢くて頼れて……欠点が見当たらないくらいの人だけど、本当は私と同じで、不安だったりするのかな)

そうなんだよねえ。薬の件はおいといて、今のところ欠点が見当たらない。そんな人いないのに。
赤の他人と共同生活する中で、感情を露わにすることもなく上手くやっている。ヒヨリに対してもからかったり気にかけたりするような事はあっても、つかず離れずを意識しているように見える。
特定の人でなく、どんな人とでも上手くやれるのは優しさや気遣いも必要だけど、一番必要なのは他人に期待しない事だと思うんだが。
多分頭が良い人なんだろうな。でもヒヨリがミズキと親しくなりたいなら、もどかしいね。これは。
しかしヒヨリは「よし!」と気合いを入れてミズキの手を取った。

「射落さんは十分頑張ってると思います!大変だとは思いますけど、私なりに支えられるように頑張りますね。
だから……あんまり無理しないでください」

100点。
ヒヨリ、100おくまんてんだよ!
やっぱちょっとアホなくらい善良な主人公って結局イイんだよな。オレのような草臥れた大人には沁みるのよな。リョウイチに荒らされた胃がスーッとするわな。
驚いた表情のミズキだが、すぐにいつもの調子でヒヨリの唇を指で押さえる。

「きみ、昨日も思ったけど、隙だらけだよ。僕のことを信用して、気を抜いてくれているなら嬉しいけど。もし僕のことを女だと思って油断してるなら--食べちゃうから、気を付けてね」

惚れたな、これは。
ミズキこれまでヒヨリのこと構うのも、まあちょっと危なっかしいし、注意はしておこう。ケアしておこう。的な保護対象って感じに見えたけど、これはちょっとぐっときたんでない?
分かるわー何せ草臥れた大人だからさ。お前も疲れてんだな。
でも切り替えてヒヨリの言葉を止めたのは、理性強い。茶化して終わらせたのはヒヨリのためですかね、自分のためですかね。

柑橘おぢが腕組みでうんうんと頷きまくっていると、ミズキと2人で夜の学校を歩きながら、ヒヨリは中学生の頃に偶然見かけた映像に恐怖したことを話す。温かく励まされヒヨリは安心するが、それは異世界配信だったのではないかと指摘したミズキが表情を変える。

「悪の権化はいらない。二度ときみに、他の誰もに恐怖を撒き散らすことがないように、絶対にプロデューサーを見つけて断罪する。必ずだ」

そうか…使命感がミズキの行動を決めてるんだな。
本心を見せないようにしていた理由はこれなんだろう。
嫌な予感、しますね。
使命と愛する人が揃ったら、トムクルーズからアンパンマンまで必ず通らなくてはならない試練がある。
美人とのバディで推理ものが見られる?くらいのワクワクだったのに、ハードボイルドの予感が……そういやカクテルとかもハードボイルド必携ですもんね…(偏見)
ミズキの外見に騙されてた。この人清涼院流水じゃなくて大沢在昌の世界線だわ。

※清涼院流水「JDCシリーズ」九十九十九は瞳を見せるだけで相手がバタバタと失神する美形探偵です。


3.理想と現実


リビングでうたた寝をしていたヒヨリの警戒心のなさにお説教をした後で、ミズキは自分の助手にならないかと持ちかけた。
「きみが間違ったら教え導いてあげる」というのは本人も言う通りいささか高慢に聞こえて柑橘も肩を温めはじめるが、ヒヨリはその物言いに不穏なものを感じつつも承諾する。実際に手伝いを始めてみて、ヒヨリの手が必要とは思えず、助手はただの名目で自分を助けるためなのではないかと思うヒヨリ。
珍しく察しがいいじゃんヒヨリ〜
とか思っていたらだよ。

2人でリビングにいる時にミズキから差し出されたお茶を飲み、ヒヨリは再び強烈な眠気に襲われる。
まーたやりやがったな!!!
トモセ、ヒヨリに防犯ブザー持たせた方が良くない?こう何度も薬盛るって何してくれてんだ。
いや、ほんとに何してんだろ?ヒヨリを眠らせて何かを調べてる?バウンサーとかバングルに細工してる?
しかし今度はそう長い時間ではなかったらしく、ヒヨリはミズキの腕の中で目を覚ます。お姫様抱っこですね。
ヒヨリさすがに気付け、怒れ!と思ったのにションボリして「昨日気をつけろと言われたのに」とミズキに謝った。
ヒヨリ良い子だね。でもバウンサーにドラッグ検出できるストロー出してもらっとこうね。
お礼を言われたミズキは言葉を濁した。そりゃさすがに心も痛むだろうよ。
続けてヒヨリに理想を詰め込んだような人だと言われ、静かに否定する。

「実際の僕は自分に出来ることしかやらない、ただの現実主義者だ。理想なんて捨ててるよ。
美しい理想を持てる人が羨ましい」

……なるほどね!!(腕組み)
強い意志で生き方を決めた人間の、思いがけないとこから飛び込んできた存在による葛藤が良きものってことは皆さん義務教育で習ってるかと思うんですが。習ってない人はこれを機に覚えてください。ハードボイルド業界では常識なんで。ハードボイルドの主人公全員コレなんで。全員は嘘だけどだいたい合ってるんで。
ミズキ自分のことあまり良い人間だと思ってないんだね。
正義が行われるようにするのは万人の義務だと言ったのはシャーロック・ホームズだが、きっとミズキもそのようにしていて、そのために切り捨てたものも多いのだろう。人を心から信じることとか。
ヒヨリが過酷な状況でもそれを捨てずにいるのを見て、ちょっとしんどくて、すごく眩しいんだろうなあ〜〜〜!
そんでちゃっかりおでこにキスして部屋を去ってるのどういう事だよ。そういうのは薬盛ったこと謝ったあとにしてくれます?ミズキ自身については今かなり沸いてますけど、それとこれとは別なんだよなあ!柑橘倫理委員会会長は贔屓はしないよ!

翌日、ヘンゼルとグレーテルの絵本について話すミズキとヒヨリの考え方は、分かりやすく2人の違いを表していた。
ある者が行動しなかった時に起こり得る最悪の結果を挙げ列ね、時には犠牲が必要だと言うミズキ。
どうしたら良いのかは分からないが、全員を助ける道を選びたいと言うヒヨリ。
現実でそんな事を言って手をこまねいていれば、より弱い者が犠牲になるばかりだと知っている大人には子供の言い分を簡単に肯定してあげられないのは心苦しいが、だからこそという気持ちもある。

「きみの言ったとおりに出来るといいね。その選択肢もあることを、僕の頭の中に入れておこう」

俯いてしまったヒヨリの顔を上向かせて、ミズキは笑顔を向ける。
本当はそれが出来ればいちばん良いって、誰だって思うよな。
大抵出来ないんだけどね。スーパーヒーローは現実にはいない。
だから優しい人がただ心を痛めている間に、自分の手を汚して少しでもマシな結果にしようとする人がいたら、可哀想だよねと思うのですが。
そんなことに、ならないと、いいデスネ…


4.スペクタクル!


ヒヨリとのドラマの中で「百を救うために僕は一を切り捨てる覚悟があるよ」と台本にない台詞を言うミズキ。
「それが例え恋人でも、どんなに大切な人でも、僕は犠牲にすることが出来る」ってガンガンにフラグを立てないでくれ。私はハッピーをこよなく愛してるんだよ。理不尽なことは現実だけで充分じゃねえか…
シャレマニおなじみのトキメキじゃない方のドキドキを感じているこちらにはお構いなしに、ミズキの意味深な発言が止まらない。

「迷っていたら、両方なくしちゃうかもしれないよ」
「迷うなら僕に任せてくれてもいいんだよ。ここにいる間は、僕が導いてあげる」

今はなき自分の純粋な部分とヒヨリを重ねてるのかな。導くというのはヒヨリが傷付くのを止めたいのかな。
迷っているのはお前なんじゃないのか、という気がするが。

そしてミズキの誘いで草原にやって来る2人。ヒヨリは花冠を作ってミズキの頭に載せる。あらかわいい。
ソウタが作ってって言った時は断ってたの覚えてるのでちょっとかわいそう。ってどこかのフェア信者が言ってました。
ヒヨリは弟妹の話をし、ミズキには兄がいるが疎遠であることを知る。
ヒヨリのどうして自分に優しくしてくれるのかとの問いに、ミズキはヒヨリの予想通り、心配だからとだけ答えた。複雑な思いで俯いてしまったヒヨリの額に、ミズキはこつんと自分の額を当てる。

「誰かを切り捨てられない、独りになれない、大切なものはたっくさんある。……さみしがり屋は、可哀想だね」

花冠で飾られたミズキが綺麗すぎてびっくりしていたらこれだもの。
可哀想なのは切り捨てられなくて独りになれないさみしがり屋じゃなくて、切り捨てなきゃいけなくて独りになってしまうさみしがり屋じゃねえのか?なあミズキさんよ?

街を歩いていたある時、路地で誰かと通信するミズキの声に気付いたヒヨリ。「利用できるものは何でも利用する」と話しているのが聞こえた。
動揺しながら宿舎に帰ると、マモルから過去配信の中に射落姓のミズキによく似た男性がいたことを教えられる。その男性はスポンサーだった事もわかり、ミズキには気をつけてとマモルに忠告を受ける。
マモルここではちゃんと怪しいムーブしてくんのね。
ヒヨリは悩みながら、以前ミズキに似た人を見たと言っていた異世界人に話を聞きに行く。探偵の助手がひとり立ちするのアツい。
過去配信のスポンサーがミズキの兄であるという確信を得て戻ってきたヒヨリの元に、ミズキがやってきた。後ろめたさでぎこちない態度のヒヨリを見て、その場にいたケイトに理由を聞いてくれと目の前で頼むミズキ。うざがりながらも舌打ちして聞いてくれるケイト。
は?別にお前のことなんか今となってはかわいいもんだなとか思ってねーからな!(リョウイチ効果)
「おい瀬名、お前射落さんのこと避けてんのか?」
「避けてないなら射落さん何とかしろ。ウザいから」
けっこうナイスアシストする〜
ケイトの活躍により話し合いの場を設けた2人。ヒヨリは路地で話を聞いてしまったこと、ミズキがスポンサーではないかと言われたことを話す。
ミズキはスポンサーについてははっきりと否定し、自身の目的について明かした。そしてそのためならどんな犠牲でも払うつもりでいることも。
ヒヨリがミズキが男でも女でも関係なく好きだと告白しようとしたところで、ミズキはそれを止める。

「僕にそれを聞く資格はない。少なくとも、今は」

とか言っといてこの男はですよ。あ、女か?めんどくせえ!これ最後ちゃんとわかるんだろうな!?
明日になったら夢だと思ってほしいと言いつつ、ヒヨリの頬にキス。
コラー!!もう、なんか、コラー!!
などと頬キスくらいで怒っている場合ではない。
翌朝のドラマで、ヒヨリがミズキにナイフで刺し殺されるシーンが…共演のトモセが心配して血相を変えている。お前が心配すべきはそこだけじゃねえぞ、トモセ。
しかしヒヨリはミズキの目的のためにと、覚悟を決める。健気…ッ
ここで使命とヒヨリが天秤にかけられるのかと思いきや、ミズキは表面上は躊躇うことなくヒヨリを刺した。痛みと寒気を覚え、意識を失うヒヨリ。
そうそう、血がいっぱい出ると寒くなって息できなくなって落ちるよね。って妙なところに共感を覚えたが、それどころではない。ミズキここまでやったらいよいよ後戻りできんて気持ちになりそう…

目を覚ましたヒヨリのそばにはトモセが。すぐにミズキに会いに行こうとするヒヨリを止め、見舞いにも来ないミズキの非情さを責める。
トモセも演技なら何でもやるって言ってたんだから、それと同じじゃないかと言い返すヒヨリ。
そ、それはちょっとひどいんじゃ…ヒヨリ、トモセにだけいつもちょっと厳しくない?
すると辺りが暗くなり、異世界に来た時に最初に見た場所に全員が集められた。
ディレクターと対峙するミズキが、情報局の介入が始まったことを告げる。
淡々と状況を説明するミズキだが、Dコスモス2113だのテレイグジスタンスだの初見の単語多すぎる。要約すると、今の10人の状態は非常に高度なVRのようなもので、意識だけがデータとしてこの空間にあり、実際の身体は眠らされていて、今は情報局が保護しているという。
……あのー、そんな場合じゃないってことはわかってるんですけど、ごめん、ほんっとにごめん。
トモセのファーストキス、ノーカンてことですか?????
あっ…ごめんトモセ…この話、やめよっか…
ヒヨリたちが身につけているバングルが原因で、強制終了をかければ脳死状態になると言われざわつく面々。
ヒヨリを薬で眠らせたのは、バングルを破壊できないか調べるためだったことがわかる。いやそれは普通に言って!?多分ヒヨリ断らないよ!?
異世界配信の遮断が最終段階に入ったところで、ミズキはディレクターに交渉を持ち掛けた。
今までに死んだ人々の生還に必要なデータと、ここにいる全員のデータを情報局に渡せば、処分緩和を検討すると言うミズキ。異世界配信側の返答によってミズキを含め、ヒヨリ達キャストの生死が決まる。
ミズキは決定まで一晩の時間を与え、元の宿舎に戻って来た。

ヒヨリと2人になり、スポンサーである兄を止められなかった結果、多くの人を犠牲にしたことを悔やんでいると話すミズキ。
だからこそ二度と間違えない。優先順位はもう決めていて「犠牲になる数が多いか少ないか」しか基準にならないと言う。
そんな決断をしなくてはならないミズキの手を握り、ヒヨリは自分の想いを伝える。
長い沈黙の後に、自分が正しいなんて思っていないと溢した声でその苦しみを理解したヒヨリは、咄嗟にミズキを抱きしめた。

「みんなの為に頑張ってくれていたんですよね。他の人が苦しまないように、射落さんが引き受けてくれてたんですよね。
……ありがとうございます。今まで頑張ってくれていて。でも、もう一人で耐えることはないんです」

大義のためだったとしても罪悪感は拭えなかったはずで、それも全て1人で呑み込もうとしていたミズキは涙を落とし、ヒヨリを抱きしめ返す。

「きみと話さなければ良かった」
「今はきみを死なせたくない。このまま抱きしめていたい」

柑橘も泣いちゃったよ…お前ら…絶対に幸せになれ…ッ

しかしこの異世界はクソなので、当然のようにクソな手段に出る。
密かに異世界人となって自我を失いながらも生きていたミズキの兄とヒヨリを炎の前に立たせ、兄の方には今までの犠牲者230人の生還と現在のキャストたちの命を載せることを告げた。ヒヨリをミズキの手で炎の中に突き落とせば、他の人間は全て助けると言うのである。いやバランスおかしいやろ。
しかし怖れていた事態がついに…吐きそう。むり。ここまででミズキとヒヨリへの感情MAXになってんのよ、こっちは。挙式の費用出す気でいんのよ。
ディレクターに命乞いを促されたヒヨリはきっぱりと断わる。

「私は言わない。だって答えはもう決めてあるんだもの」

ヴォエッ…マジでむり もうやめてくれ。
決断できないミズキに、ヒヨリが優しく語りかける。

「迷ってると、両方なくしちゃいますよ」

自ら身を投げ出すヒヨリ。しかしミズキに手を引かれ、次の瞬間ヒヨリが見たのは、微笑みを浮かべ代わりに炎の中へと落ちていくミズキの姿だった。

ウワアアア!!!て本当に叫んだので隣の部屋の人とかほんとにごめん。お詫びに後でシャレマニとSwitch持ってくから。一緒にやろな。お前初見誰推し?

最悪の結末かと思ったが炎は消え、その場に座り込むミズキとヒヨリ。
ミズキが自分の身を捧げるのは「ルール違反」。兄も230人も、そしてトモセたちキャストも、全ての命が失われてしまった。まあまあ最悪の結末である。
237人(また数合わない。即記憶消すな)全員を自分が死なせてしまったと自責の念に駆られるミズキ。
せやな…でもスーパーヒーローでもないただの1人の人間に救えるものなんてどちらか一方だけだったし…ヒヨリを見捨てればお前は自分を許せたか?そもそも悪いのは誰だっつー話!
茫然としながら、それでもヒヨリの前向きな言葉に顔を上げる。

「僕はもうきみなしでは生きていけないみたいだ」
「きみがいる限り僕は負けない」

それから二人きりで取り残された異世界で、長い時間をかけて犠牲になった人たちを助け続けた。234人救い出し、あとは2人。また1人減ってるのなに。どういう時間差?
ともあれ全員を救う目処が立ち、星空の下、改めてヒヨリに気持ちを伝えるミズキ。
んーー……ハッピィー…エンド!認定!!
帰れてないけど命あっての物種ですからね。237人とはやってくれたな!と思ったけど最終的に助けたし。2人とも前向きに頑張ってたし、帰ったら本物のキスするらしいし。トモ…いや何でもないです。

感情移入しすぎて長文キモいのごめんだけど、まだ語るわ。
ミズキこんなハードボイルドとは思わないじゃん。
私の好きなキャラ一部開陳しますと、PSYCHO-PASSの咬噛慎也と煇・イグナトフ、ID:INVATEDの鳴瓢秋人(酒井戸)、ジョーカー・ゲームの結城中佐、テロリストのパラソルの島村…知らないって人も名前、見てくださいよ。「咬噛」ですよ?「イグナトフ」よ?

「射落ミズキ」

いやミズキではハードボイれないでしょ普通はさあ!あんな綺麗なお顔でさあ!腰ほっそ!唇ぷるっぷるやんけ絶対。ハードボイルドはもれなくガッサガサですからね。紙やすりか?ってくらいですからね。知らんけど。
ちなみに大沢在昌先生曰くハードボイルドとは暴力でも殺しでもなく「惻隠の情」であり「傍観者のセンチメンタリズム」なので。
公共の利益の為に喜んで死を受け入れようと言ったシャーロック・ホームズのように、覚悟決まったナイスハードボイルド見せてくれましたね。それだけに最後の決断には重みがあった。まあ咄嗟に体が動いてしまったという方が正しいのだろうけど。
柑橘的にはそこはノット・ハードボイルドなんですが、いいんですよ、この場合は。なにせ乙女ゲームだからね!前回くらいから忘れそうだったけど!
一人の女のために傍観者のセンチメントを捨てて当事者へ。場末のバーで紫煙を燻らすハードボイルドどもが出来ないことをやってくれた。
おかげで初見ノーマークだったミズキへの感情爆上がりしました。
ヒヨリちゃんも今回はとてもしっかりしてたね。自らを犠牲にという考え方は同じでも、ヒヨリちゃんは好きな人のためだったの健気だね。
ただちょっとだけ、トモセが一時的にでも死んでしまったこともうちょっとだけ悲しんでほしかった…かも…わがまま言ってゴメンネ…

あと最後にもういっこ。結局性別わからんのかい!!
ユーザーそれぞれの夢を壊さない配慮、優しいですよね。でも優しさは人をダメにするんですよ。リョウイチをご覧なさいよ。ヒヨリの優しさを知らなければ迷わずにいられたでしょうに。あれ?そう考えると意外と?
まあ我々は分からなくてもね、いずれヒヨリは分かりますからね。ベッドの中で教えてあげるとか言っててすわセクハラか?!と思ったけどカクテルの伏線回収でしたわね。オシャ回収すな。
つーか…そんなことしなくても…その…分かるんじゃないですかね…色々とタイミングで…いやミズキが鋼の精神力なのかもしれないけど。柑橘さんもう黙って。じっと目視確認するヒヨリちゃんとかイヤでしょ。
まーどっちでもいいか!美に性別はないかんね!いや、本当はよくない。めっちゃ知りたい。白黒つけたい。
何はともあれ帰ったら平和に暮らしてほしいです。
一緒にスーパーとか行け。牛乳の銘柄で迷うヒヨリとじゃあって即決するミズキ見せてくれや。一方でヒヨリへの指輪には迷いまくるミズキ見せてくれや。


【名探偵柑橘の今回気になったことメモ】
・ここまで来るともうそんなにない。メイはずっと控えめだしソウタは☆だしタクミは急に知性を得る
・ただここまで見てきてあまりにも自由に行動させるので、アリの巣観察とか箱庭遊びを連想させる。幼いのか上位存在なのか…タクミ…?お前’’そう’’なのか…?
・あ、ヒヨリちゃんのお母さん!今回2度ほど話題に出てきたんだけど、なんかある?唐突なかんじというか、話題の出し方になんとなくねじ込み感てだけですが
・こんなに良いストーリーなのにどうしてもトモセのことがチラついてしまうのやめたい


【お礼とご報告】
アンケートありがとうございます。
メイとタクミめちゃくちゃ拮抗してて笑っちゃいました。

※参考

そんなことある?

凝部ソウタ推しです!という方とても多かったのですがこちらに関しては一票も入らなかったので、次はソウタさんにします。
上記のグラフから動きがあったりもしたので、とりあえずソウタ終わるまでアンケート置いときます。よろしくお願いします。

またおすすめ作品教えてくださった方々ありがとうございました。
たくさんの作品名があがっていて気になるもの多かったので、シャレマニ完走したら諸々調べてまたご報告します。

あとリョウイチ推しの方々なんでしょうか、「特典小冊子を読みなさい。さすれば救われん」という旨のお告げが複数ありまして、あの、その節はほんとに申し訳…
調べて買えるとこ探したんですけどみつからなくて。これアニメイトとステラ?とvitaの特典て全部内容同じなんですかね?あとイベントか何かで配布された物もあるようですが…ぜひとも読みたいので引き続き探してみます。

あとあれ!「◯◯視点のSS」というワードが頻出していて、私存在すら知らなくて、ありがとうございます!どこから見られるのかも分からずめちゃくちゃ探しちゃいました。全員揃ってからの楽しみにしようと思います。


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