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RMとsuga ナムギ編

今も二人は、崩れそうな崖のぎりぎりに立っている。

2010年に満年齢16歳で当時弱小事務所だったBigHitにナムジュンが入り、その3か月後くらいに満年齢17歳のユンギが入所した。二人は同じ公立の狎鴎亭高校に通った。1年間同じ高校に通ったはずなのに、二人での学生生活エピソードは皆無で、お互いの卒業式に行ったらしい、とかそんな話しかない。

家が裕福で芸能活動も親公認だったナムジュンと違って、両親に反対され高校の学費を稼ぐためバイトをしていたユンギ。成績も良く英語も堪能でパンPDに「この子をデビューさせなければ」と思わせていたナムジュンと、ラップのオーディション2位でプロデューサー志望として事務所に入ったユンギ。何もかも、と言っては大げさかもしれないけれど、正反対な二人。二人はお互いを一体どう思っていたのだろう。

ユンギは動画でちらっと、「最終的には俺が勝つ、みたいな」とか言っていたことがあるので、ナムジュンをライバル視していたのは確かみたいだ。音楽的なことでよくケンカした、とも話していた。対して、ナムさんは練習生時代のユンギのことを話しているのを見たことがない。ナムさんが覚えていないのではない。2016年のMAMAで「今年のアーティスト賞」を受賞した日、Episodeでユンギが「練習した後ナムジュンと二人でたくさん泣いて話をした」と言うと、ナムさんは「10月10日ですね」と日付までしっかり記憶していた。

August Dの「The Last」の歌詞が本当のことだとしたら、ナムさんは全部覚えているのだ。ユンギがバイト中の事故で肩を「木っ端みじん」にした日も、人が怖くてトイレに隠れていた日も、うつ病で希死念慮が出た日も。そしてユンギの大切な友達が薬物に手を出して捕まった日も、全部全部覚えているのだ。下手したら日付まで。

でも多分、ナムさんとユンギは決して抱きしめ合わなかった。手をつないだりしなかった。肩を抱いて慰め合ったりしなかったと私は思う。

2013年に、「キム・ボンヒョンのヒップホップ招待席」というラジオ番組の1周年を祝う公開放送で、お祝いに行ったナムさんとユンギが先輩ラッパーに根限りディスられている動画を見たことがある。ユンギは成人したばかりで、ナムさんはまだ満19歳。同席しているラッパーたちは勿論みんな年上で、みんなディスりに同調していた。ナムさんとユンギは失礼にならないように、でも果敢に反論していた。アイドルとラッパーの定義の中で自分自身にまだわだかまりがあるのかうまく言葉にできないナムさんに対して、ユンギは「俺たちの音楽を聴いてください」と、バンタンを聴きもしないでアレコレ言ってくる先輩に反撃していた。この時も、ナムさんとユンギはお互い目を合わすこともなく、距離を取っていて肩を寄せ合うこともなかった。

ナムさんとユンギはずっと、崖の先端に立っている。一歩間違えば落ちてしまうギリギリのところに。崖はどんどん高くなり、底はどんどん深くなる。二人は立っている。手を取りあうことも、目を見合わせて話すこともなく、でもお互いの気配を、呼吸を、掲げた顔の位置を感じている。孤独だけれど、ひとりではないことを知っている。同じ崖の淵で、同じ地獄の底を見ている人がいることを知っている。




書きたいことはものすごくあるのですが長々書くのが嫌いなのでとにかく。エモいっすね。エモエモの塊ナムギコンビ。ベタベタ甘えたり甘えられたりとか一切なく、協力はするが助けはしない的な?でも相手のための命綱は一本くらいは持ってる的な?ちょっとハードボイルドな感じ。普段お互い無関心なくせにどっちかがやられたらめっちゃ逆上して相手半殺しにしそう(極論の妄想)。




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