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Stay gold V キム・テヒョン

小さい頃に読んだおとぎ話で、覚えていることがある。「子どもは純金で出来ているのに、少しずつ砂が混ざって大人になってしまう」というものだ。


私が初めて見たテテは純金そのもののような男の子だった。顔の上半分がほぼ目なんじゃないかと思うくらい切れ長の瞳はどこか遠いところを見ているような黒色で、少し大き目な形の良い鼻と薄すぎず厚すぎないきれいな唇。明るく染めた髪の毛は飛び跳ねるテテの動きに合わせてさらさらと流れていた。

ボンボヤで北欧に行った時、テテは一人道に迷ってしまった。でも特段慌てる様子もなく楽しそうにてくてく歩いていた。同行していたカメラマンさんは相当焦ったんじゃないだろうか。結局連絡がついて車が迎えに来た時は見ているこっちがほっとした。他にも、道に生えているタンポポの綿毛を飛ばそうとしてタンポポを摘むんじゃなくいきなりはいつくばってふうふう吹き出したり、撮影の移動中に四葉のクローバーを探し始めたり、じゃんけんやくじの時には必ず天使様にお伺いをたてたりする。

天真爛漫で、「すれ違ったら友達」と言われるくらい人懐こくてものおじしない。歌謡祭でコラボすることになった別アイドルチームに一人で混ざって行って、話しかけたりふざけたりからかったりして飛びまわり、ついにはそのチームのリーダーがナムジュンに「こいつ問題児?ストレスだろ」と言わせてしまった。テテは自分に対しても人に対してもとても素直で、率直で、愛を表現することを惜しまない。悲しい時は泣いて、嬉しい時は笑って、優しくしたい時もまっすぐだ。2019年のSBS music AwardでTXTがBoys in Luvをカバーした時、ボムギュがテテパートの振りを間違えてしまったのだけど、TXTがBTSの楽屋に挨拶に来た時、テテはボムギュをわざわざ呼んで「上手だったよー」とほめてハグしていた。晴れの舞台であこがれの先輩のダンスを間違えてしまったボムギュを思いやっているのがすごく伝わってきた。

ボンボヤやバンタンピクニックや季節のPackageで披露される、メンバーに対するテテの手紙もいつもとても素晴らしい。一生懸命書いたんだな、ということがわかるしメンバーに対するテテの愛があふれている。ハワイでジミンちゃんに宛てた手紙を読んだ後に、手紙をもらったジミンちゃんじゃなくて読んだ当人のテテが泣きだしたのには本当に心があたたまった。なんていい子なんだろう、なんて、うつくしい心なんだろう。


最近、テテは大人になったと言われている。昔ほど突拍子もない言動を取らなくなったし、態度も落ち着いていて穏やかなことが多い。純金だったテテに、少しずつ砂が混ざってきているのだろうか。「子どもっぽいんじゃない。スレてないんです」とジミンちゃんが愛おしそうに話した、そんなテテはいつかいなくなってしまうのかもしれない。それは大人になるために必要なことなんだ、と思う。

でも、それでも。

テテにとっては残酷で、身勝手なことかもしれないけれど、私は願わずにはいられない。


キム・テヒョン、Stay gold と。.




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