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転がる石 RM キム・ナムジュン

書いては消し、消しては書いている。どうにもこうにもまとまらない。キム・ナムジュンを文章で書くなんて途方もないことを始めてしまった。

私がナムさん推しになったのは、彼がスマートでインテリジェンスに富んで英語が堪能で、とにかくかっこよかったから、ではない。むしろ、とってもかっこ悪いから好きになった。

MVや動画でのインタビューを見ると、彼はそつがなくてメントも美しく、特に海外での立ち居振る舞いはとても洗練されている。でも、タリョラやBOMBやEpisode、ボンボヤで見る彼は時にとってもかっこ悪い。

信じられないくらい不器用だし、不注意だし、落ち着きはないし物はすぐなくすか壊してしまう。空気もあんまり読めないし頭の回転が良すぎるせいか誰もついていけない発言で周囲を「??」とさせることも多い。頭はいいはずなのに脱出ゲームやマフィアゲームでもちっとも活躍できない。ねぇ今それ言う場面じゃないんじゃない?ってことも多々ある。うっかりスポなんて日常茶飯事だ。

ナムさんの不器用さはメンバーとの関係にも表れている。彼が並外れた統率力を発揮しているところなんか見たことないし、バリバリ意見を言って先頭にたってみんなをまとめる、という場面もない。ひとりひとりの長所と短所のバランスをとって波風立たないチームにしていこう、という姿勢も感じられない。

象徴的だったのは、MBSのサガジショー(4つのショー)でパンPDにドッキリを仕掛けられた時のことだ。パンPDがナムさんをびしびしに詰めるのだけれど、その詰めてる内容がひたすら、「お前はチームをまとめられているのか?」という一点だったのだ。さすがパンPD。ナムさんの一番痛いところをついてきた。「チームをまとめられているのか?」それは、ナムさんが(多分今でも)ずっとずっと悩んでいることに違いないのだ。

言わずもがな、バンタンは突き抜けた個性の集まりだ。同じチームじゃなければ友達になんかなってなかった、とまでお互いに言い合うくらいバラバラな7人だ。ナムさんはバンタンをして「違う方向を向いている7人が同じ船に乗っている」と言ったことがある。「同じ方向を向いて」ないのだ。そしてその船は最初手漕ぎボートくらいだったのに8年間かけてばかでかい空母みたいになってしまった。世界もどんどん変わる。去年常識だったことが今年はもう非常識なことになっていたり、新しい価値観や考え方がどんどん出てきてばかでかい空母になったバンタンはそれと無関係ではいられなくなっている。

ナムさんはとても不器用だ。ばかでかいバンタン空母の上で、彼は司令室でかっこよく指揮を取るどころか、甲板を駆け回ってバタバタしているはずだ。そしてきっと、「リーダーってなんだ?」と考え続けている。リーダーのロールモデルはたくさんいるけれど、多分どれもバンタンには合わないのだ。

彼は転がる石だ。不器用なりに必死に転がって、常に自分をアップデートしようとしている。HipHopだけどロックンロールだ。転がる石に苔はつかない。形が変わり、丸くなったり時には割れて角ができたりする。傷だってハンパないくらいつく。それでも彼は転がることをやめないんだろうと思う。自分の考え方を変えていくことは本当に難しい。でもナムさんは勇気と意思を持ってそれを続けている。「バンタンのリーダーとは?」を考え続けながら。私はそんな韓国の一人の青年、詩人でラッパーのRM、キム・ナムジュンを心から尊敬し、日々大好きを更新している。

きっと、バンタンのメンバーもそんな不器用で一生懸命なナムさんが大好きなのだ。IQ148のナムさんが車の運転が上手で料理もゲームも完璧にこなす非の打ち所のない人間だったら、バンタンはここまで続いただろうか。

KBSの「Let's BTS」で、みんなに「きみは素晴らしいリーダーだ」と合唱されて目を細めて笑いながら、ちょっと鼻の先を赤くしていたナムさんを、私はずっと忘れないと思う。


まあほんと書けば書くほど書ききれないので、これからはバンタンにあまた存在する様々な「コンビ」について書いていこうと思う。腐要素はまったくなしで真面目に書くので、お時間があったらまたここに寄っていただけると嬉しいです。

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