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「未開の議場〜北区民版〜」創作日誌6月12日(日)

はじめまして。

花まる学習会王子小劇場の池亀三太と申します。

現在、花まる学習会王子小劇場では「北区民と演劇を作るプロジェクト」というものを行っております。その第一弾となります、「未開の議場〜北区民版〜」の稽古がすでに始まっております。

脚本・演出は花まる学習会王子小劇場芸術監督の北川大輔です。北川が所属する劇団、カムヰヤッセンの代表作である「未開の議場」をオーディションによって選ばれた北区民と一緒に上演します。

企画概要や、北川のご挨拶、公演詳細はこちらから。

http://www.en-geki.com/kwctcc/index.html

ここでは、北区民版の未開の議場が作られていく模様を演出補佐を務めております、わたくし池亀が現場の熱をなるべくそのままにお届けしたいと思います。

お付き合いよろしくお願いいたします。

さて、ご挨拶はこの辺にして早速稽古場の模様をお届けします。

「未開の議場」は地域のコミュニティを舞台とした会議劇です。なので、テーブルを囲んで延々と会議を繰り広げます。その周りをまたお客様が取り囲むといった構図の演劇になります。

出演者の大半がオーディションで選出された北区民の皆さんなので、年代も職業も経歴もバラバラで常に刺激的な現場となっています。まだ稽古が始まって一ヶ月足らずですが既に世代を超えて打ち解けているように伺えます。常に和気藹々とした和やかな空気が稽古場を包んでおります。

そんな昨日の稽古の流れを振り返り。

まずは恒例となった「人狼」というシアターゲームをやりました。これはいわゆる騙し合いのゲームであり、言い換えれば信じ合いのゲームです。全員を同じ村に住む村人と設定して、村人の中に潜んで夜な夜な村人を襲撃している人狼を探し出しては処刑していく、という字面だけみたらとっても恐ろしいゲームですが、こちらも和気藹々とした空気で処刑や襲撃といった残虐行為が行われおりました。

こういうゲームにも職業や育ってきた環境などが如実に出て、普通に俳優ばかりが集まった演劇の現場とは違う空気や切り口が生まれています。詳細な職業は書けませんが元⚪︎⚪︎⚪︎の方による鋭い洞察力など驚かされることばかりです。

ゲームで緊張をほぐしたら、演出の北川より皆さんが待ちに待ってドキドキしていたであろう配役の発表がされました。今回は前半日程と後半日程で分かれて2チームの作品を上演します。なので、両チームに別の役で出演する人もいるという普通に考えたら大変な現場なのですが、案外意欲的に2役やりたいとい名乗りでる方もいてその積極性にも支えられた企画になっております。で、北川からの配役発表ですが、そこは大人な皆さん、特に大きなリアクションもなく粛々と受け止めていた印象でした。でも皆さんのニヤニヤとした表情から察するにワクワクしていただいてるんだなと僕までニヤニヤしちゃいました。そして北川采配の冴え渡っていること!この人とこの人をそう配置するのね!という野心的で楽しみな布陣になっています。数回の稽古で出演者の可能性を見出したミラクルな配役になっておりますよ。

配役を発表したら、オープニングから作っていきました。会議劇ですから、キャスト13名がずっと舞台上に居続けるので、情報量も膨大です。関係性を整理して丁寧に時間をかけて作っていきました。誰と誰は職業柄仲がよくて、誰と誰は幼馴染で、誰と誰は過去の諍いにより敬遠しあっているなど、地域のコミュニティならではの関係性を各々確認しながら進めています。それぞれの役で頭を働かせていくこの劇は大半の時間を座って過ごしているとはいえ大変脳が疲れるみたいです。昨日の稽古は僕も代役で会議の中に入ってみたのですが、目の前でめまぐるしく繰り広げられる議論についていくのがやっとでした。体感してみてこれは凄いものを作ろうとしているんだな、と、改めて思った次第です。

「未開の議場」初演であるカムヰヤッセンの公演では第一線で活躍している俳優さんたちだけで作られていて、2時間目が離せない躍動感ある劇で本当に面白くて感動したのですが、今回の北区民版には出演者の生活感からくる「リアル」がそこにあって、これもまた面白くなる予感しかしていません。

にしても、みんな13時から21時までという長丁場の稽古よく持つなーと、体力的な部分でも感心しきりな若輩者でありました。

そんなこんなで意欲的なキャスト人に支えられ「北区民と演劇を作るプロジェクト」は進んでおります。

ここではまた随時創作状況をお伝えしていければと思っておりますので。

今後ともよろしくお願いします。


演出補佐:池亀三太