ウエストランド河本太がかわいく見える、俺の頭はおかしくなってしまったのかもしれない。

タイトルそのまま。
M-1 2022王者、ウエストランド。そのツッコミの方、というか漫才で毒を吐かない方、河本太(妻子持ち)がかわいい。

この世には、一定数おっさんがかわいく見える視覚的異常を持って生まれてしまう人間がいる。私がそれだ。おっさんはかわいい。おっさんという自覚があって、かわいいを狙ってないくせに、ふとした時にかわいい仕草をする。そんな瞬間が堪らなく好きだ。
そんな私に刺さったのが、タイトルにもあるウエストランド河本太である。刺さってからまだ二週間だけどもう抜けない気配がある。

河本太はクズである

かわいいとは言っても、守ってあげたくなるとか、頑張ってるから応援してあげたくなるとか、アイドル系のかわいさではない。むしろちょっと酷い目にあえばいいと思っている。なぜなら河本太はクズだから。
ネタを作らない。ひな壇で活躍しない。活躍しようとする姿勢がそもそもない。ウエストランドとして働いてるのは基本井口なのにしっかり給料折半してもらって、その間河本はバイトしている。だから井口より河本の方が収入が多い。それで少しも申し訳なさそうにしない。お礼は言う。ちゃんとお礼言えて偉い。ヒモの才能がある。

……。
…………。

かわいい〜。

我ながら感性が終わっている。
テレビやYouTubeで過去の彼らを見れば見るほど、河本の芸人とは思えない「静かなること林の如く」の姿勢が「こいつどうしようもねえな〜」と思えてくる。これ「来るべき時に備えている」じゃなくて「何もする気が無い」だから。ぜ〜んぶ井口に任せている。たまに隣で頑張っている井口の語りで笑っている。視聴者と同じ笑い方をしている。お前は出演者だろうが。
完全に井口におんぶにだっこの姿勢。でも見ている限り井口に逆らっていないから、デカい犬みたいに見える。何するか分からんからマズルガードつけられてリードしっかり持たれてるデカい眠そうな犬。かわいい〜クソが〜。

こんなダメ人間でも、なんと奥さんと子供がいる。だからといって父親らしい頼り甲斐があるかと言われれば難しいところで、M-1アナザーストーリーで「奥さんが子供連れて出てっちゃったんですよね」「稼ぎ(少ない)と酒(飲みすぎ)が原因」と語っていた。語りながら酒飲んでた。お手本のようなダメ人間。(その隣で爆笑しながら牛丼食ってた布川がまたいい味出してた)
既に十分ヤバいエピソードだが、これだけでは終わらない。私がこの話の真のヤバさを知ったのは、アナザーストーリー放送後数日経ってからだった。

年末のある日、YouTubeのおすすめに表示されたのは、しくじり先生の公式チャンネル。講師はウエストランド。
上記の「奥さんが出ていった」エピソードを披露する井口(本人が披露しろとか言ってはいけない。できないんだもの)が誘導した次のページには、黒い背景に赤文字でデカデカと

大嘘


……は?
井口によると、「ヤバい奴への憧れ」で、本当は里帰りしただけの奥さんを「自分に愛想を尽かして実家に帰った」ということに仕立て上げたと。

ヤバ〜〜〜〜〜〜〜。

そしてそれをアナザーストーリーに採用するM-1もヤバい。いや、多分これ河本が「嘘でした」って申告してないんだな〜、言ったことも忘れてそうだな〜、ヤバ〜。
てかどんな感情であの顔してあのインタビューに答えてたんだ。怖〜!
この「どんな感情でその顔してんだ」って顔を河本はよくする。その究極はM-1で優勝した瞬間の綺麗な涙。その恐ろしさと言ったら、思わず敗者復活戦の面々がテレビに向かって「なんで泣いてんだよ!」「なんで泣けんだよ!」とツッコミをかますほど。
優勝したのに泣いてツッコミくらうことある?あるんだなこれが。
あの綺麗な涙を見た人は思うだろう。「ああ、今彼の脳内ではここに至るまでの辛かった記憶や、もう芸人をやめようかと思ったあの瞬間、それでも食らいついて、血の滲むような努力でここまで上り詰めた日々が駆け巡っているに違いない……」

あいつにそんな記憶は無い。

いや分からんけど。まだ二週間しか追ってないけど。でも無いだろそんな記憶。多分。あるとして井口だろ。その井口の目は潤んでもいない。涙腺交換した?
その井口が記者会見で河本に投げた言葉は、「(河本が泣いてると)腹立つから絶対泣くなって言っただろ」。
強い。

それでも河本太はかわいい

こんだけボロクソに言えるのに、見てるとやっぱりかわいい。なんでじゃ。
まず笑顔がかわいい。かわいいポイントが思いつかなくて絞り出してるんじゃなく、本当に笑顔がめちゃくちゃにかわいい。ふざけんなよ。
クズを発揮した後に笑うな〜〜〜〜〜〜!!!苦笑いとかじゃなく普通に笑うな〜〜〜〜〜〜!!!後ろめたさの一切ない笑顔が眩しい。汚いちいかわかお前。

人間誰しもが持っている自己嫌悪。「なんで自分はこんな簡単なことができないんだろう」「なんであんなことしちゃったんだろう」「あの人に比べて自分は……」「ああやっちゃった……もう立ち直れない……」これが河本から一切滲んでこない。五月の風に揺れるススキのように、雑草だからあんまり生命力強くても困るんだけど、なんか癒されるんだよなあというあの感じ。のらりくらりと生きている。見てて不快にならない。すげえ。荒んだ大人の清涼剤(有害物質入り)が人間の形をしているのが河本太なのではないか。

これはこの世の真理だが、ヒモの才能がある男ってのは漏れなくかわいいのである。なんか好きになってしまうのである。腹立つけど。は〜やだやだ。
河本の奥さんとか、相方の井口とか、多分み〜んな河本が好き。好きじゃなかったら結婚もしてないだろうしここまでコンビも継続してないだろうし。河本太は人に愛される能力極振りで生まれてきた男だ。ある意味人生チートの男だ。

是非河本にはこのまま何も出来ない、かわいい河本でいてほしい。たまに何か挑戦して場を凍らせて、周りが必死でフォローしてるのを見て他人事のように笑っててほしい。
それで救われる人間がいる。ここにいる。ただ、それで困る人間の方が数としては多いかもしれないけど。
とりあえず一年間は河本太のままで、テレビから消えないでくれ。

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