太正ヒソヒソ裏話5
2020年12月19日に美少女文庫から発売の『吸血鬼妹の殲滅刃』の裏話その5です。
弥士郎と閑音が吸血鬼との戦いを繰り広げたのは「太正」10年。
架空の時代としていますが、実際の大正10(1921)年ころをモデルとしています。
第一次世界大戦が1919年に集結しましたので、その2年後ということになります(作中では、人と魔が争う「人魔戦争」が発生し、太正8年に終結した、という設定になっています)。
未曾有の被害をもたらした世界大戦ですが、直接戦場とならなかった日本では、戦争景気が起こります。
戦場の舞台となったヨーロッパで物資不足がおこり、日本からの輸出が増加したためです。
特に船舶の需要が高まり、造船業が盛んだった阪神地域はこの時期に大きく発展します。
大量の輸出品を製造するため、各地に工場が生まれ、重工業化が進みます。
また、それに伴い電化が行われ、都市には電気による街灯が整備されていきました。
さまざまな分野の製造業で、ヨーロッパとの取引による利益を上げ金持ちに成り上がる人々(いわゆる「成金」)が出現します。
そうした人々が消費活動を行い、大正の都市文化は華やいだものになります。
一方で、そうした消費ブームの影響で物価が高騰し、生活に苦しむ人も発生します。
特に工業化や電化と無縁の地方は、都市部との格差が開いていきます。
そういった人々が職を求めて都市へ流入し「悪所」が形成されたり、遊郭に身を売る女性も現れます。
遠い西の果てで起こった戦争が、強い光と影の面を持つ大正後期の社会を生んだ、その遠因であったと言えるでしょう。
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『吸血鬼妹の殲滅刃』
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