花の家

幼い頃
花の家のコ
と呼ばれていた

薄紫の藤棚と
小さな藤棚、白、桃、黄色n
芍薬、朝顔、薔薇、紫陽花、椿、牡丹、秋桜、曼珠沙華、マリーゴールド、杜若、

花に囲まれて気持ちが良かった
花の咲く季節だけが好きだった
冬は閉ざされるので

祖母が害虫を容赦なく踏み潰す
かなぶん、かぶとむし、アゲハ蝶の幼虫
私は大好きなのにみな祖母が潰す

かなぶんが潰れる音は嫌い
ザクリぐしゃりジャリ

夜懐中電灯照らして虫を見つけては
遠くへ逃しに行った
遠くまで逃しに行くには暗くてとても暗くて
星は沢山見えたけど街灯もなく一つぽっちの懐中電灯は頼りなくて

庭のどこに逃げたって祖母に見つかればザクリぐしゃりジャリ


ある年
虫籠の幼虫が蝶になると祖母は綺麗ねと言った
私は嬉しくなって庭中の蝶を追いかけ虫籠に詰め込んだ
モンシロチョウ シジミチョウ クロアゲハ

手で指で捕まえたのでついた粉がとても嫌

虫も花もそこに咲いて生きているのが良い


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