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ファッションと哲学おぼえがき vol.1

ファッションをアカデミックに取り扱おうとする中で、今の仕事を通して頭に浮かんだテーマを言語化する試みです。

ファッションという非常に定義しづらく、言葉にしづらい概念と向き合う中で、私自身が少しでも思考を明晰にして取り組むの練習場所です。
基本的には自分用の整理のメモなのですが、今まで読んできた論文や書籍の言及も引き合いに出していくので、何かしらファッションと身体論/現象学的な観点の文章に興味のある方の参考になれば幸いです。

最終的には、哲学的な概念での説明にとどまらず、フィールドワーク的な要素を足していきたいイメージです。

今回は、色々な事例を取り上げるうえでの前提となる自分の思想のベースについて書きました。

いろいろな前提を省いて書いてしまっているので、後ほど加筆修正すると思います。

ファッションを語るための切り口が多すぎる


ファッションというものは、人間社会と切っても切れない関係性のものであり、非常に多角的に語ることができます。
顕示的消費・記号消費、身体表現・ジェンダー表現、心理的効果、デザイン・アート、文化史、文化的トレンド、社会現象、文化人類学的観察、ビジネス、労働問題、サステナビリティなど、他にもいろいろあります。
衣服は基本的に一定の生活水準を満たす人間全員が着用するものなので、関わるステークホルダーが非常に多いことも起因していると思いますが、あらゆる学術的論点において特筆すべきことが絶えない「ファッション」はあらゆるトピックの中でも異彩を放っていると言えるでしょう。


キョン-ヒ チョイ氏、ヴァン・ダイク・ルイス氏のファッション批評の包括的システムでも、ファッションの批評方法が確立されていないことについて、問題提起がなされていますね。

ファッションの素晴らしさの正体とは


私は、人がファッションを纏うことで感じる「素晴らしさ」の正体を突き止めることに注力したいと思っています。
私は、どんなに服装に疎く関心のない人でも「ちょっとこの服は気恥ずかしいなあ」「この組み合わせで着ていると自分に自信が湧くなあ」という感覚は持っているはずです。
人はファッションで感覚も振る舞いも簡単に変わってしまう生き物だからこそ、さまざまな問題を孕んでもなおファッションと関わり続けずにはいられないのだと考えています。

また、私は「ファッションの素晴らしさの正体」を追究するという目的下では「ファッションデザイン」に着目します。
ファッションデザインとはあらゆる記号の中で最も煩雑なもので、シルエット、マテリアル、トレンド、ブランド価値、展示方法が複雑に影響しあって生まれるものです。
人はそこからさらにコーディネート(組み合わせ)という行為によって、その記号をさらに複雑なものにしていきます。

したがって、ファッションデザインの解釈を的確に行い説明性を高めることがファッションの素晴らしさを語る上で不可欠だと考えています。

ちなみに、かの有名なロラン・バルト氏の『モードの体系』でもファッションを記号的に捉えることを試みていますが、これはファッション雑誌の衣服やコーディネートに対する言語表現から逆算的に表現対象のファッションの意味を紐解くアプローチだと思います。ファッションをより簡単な記号である「言語」というものに置き換えたものを分析している試みなので、私の考えているものとは少しだけ違います。(読み方が間違えていたら、ご指摘ください。。。)


近いうちに、ファッションデザインの見つめ方について、具体的な事例を書き足そうと思います…!
まずは精神現象学について書く予定

今後の予定memo
・ファッションを用いて自己を再形成する。他者を通して自己を見つめ、自己の想像を付け足す。
・ファッションデザインとコーディネートで着用者の社会的位相を捉える
・顕示的消費やブランディング、権利問題以外でファッションブランドを論じる


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