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日々の雑記 vol.1

・2023年11月某日

朝の山の手線は混んでいた。まるでこの数年の出来事が無かったのかのようだ。なかなか手放せないマスクをそっと手で押さえる。私だけが取り残されているような感覚に陥る。いつもどんな時も問題は完全に解決はせずにフェイドアウトしていく。そして忘れた頃に姿を変えてまた現れる。

少し見ない間に東京は、また外観を変えている。隅々まで綺麗に整えられているビル群が少しよそよそしい。嫌いだったはずの古い汚いコンクリートが少し恋しいのは何故だろう。

季節はどんどん極端になっている気がする。或る日を境目にいきなり暑くなる。そして突然秋が来る。あっという間に冬になる。

夕暮れの染み入るような青と、夜明けの澄んだ藍色が見られる季節になる。それだけは変わらず、ずっと昔から美しい。冷たくなる空気と共に、凛とした空がそっと降りてくる。

ビルの屋上で見た遠い銀色の月。眠れないと登った鉄骨の階段の冷たさ。東京の空気の匂い。空を見上げて白みだしたその色を見ていた。心臓の鼓動が静かに、私の胸の中で鳴っているのが聞こえた。

街で、電車で、時折、見たことのある顔がすれ違っていく。声をかけないけれど、目もあわせずに通り過ぎるけれど。

私の所に言葉を交わしに来てくれた、その時間は大切な宝物。ずっと願っている。どうか、通り過ぎたその人が、幸せになっていることを。苦しみごと忘れていることを。あの空間は、私だけの心の中に残ることを。

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