ぼけ都会

消えない記憶

なぜ今こんなことを思い出すのか、と
どうしようもやるせなくて整理をするためパソコンをたたく。



「デパートの化粧品の売り場で、一式揃えればいいんじゃない」

どうゆう話の流れだったのか。またもやすっかり忘れてしまったのだけれど、乃木坂とノースリーブの服が好きな彼は、確かにそう言った。欲しい化粧品を全部買ってあげるから、と。カウンターでカウンセリングを受けながらいろいろと化粧品を試してもらえるあれ。いつも横目で見て通り過ぎるだけだったけど、私もあそこに座っていい人なのだと嬉しく思い、そして同時に怖いと思ったことを覚えている。

あなたはどんなことに怖いと思うのだろう。
私が実生活で怖いのは、”嘘がばれること”だ。

私の自室は洗濯物が散乱。コンタクトをつけっぱなしで寝てしまうことはもはや日常茶飯事であるし、1日くらいいいかと思ってお風呂をさぼってしまうこともある。洗顔は朝。素の自分はいつも面倒くさがりで、彼の前で振る舞う、清楚系のしっかりした自分は借りた猫みたいだった。

化粧品にこだわることなんて、夢のまた夢で。もっと言えば、夢でも目標でもなかったかもしれない。キレイになってほしいという、好きな人の期待に応えられないことが明白で、今までの嘘に、期待外れだったとだと思われることがすごく怖かった。

結局カウンターで化粧品を買うことはなく振られることにはなったのだけれど、ふとあの怖さを思い出しては、嘘をついてはいけないぞ、と息を少し深く吸ってみるのであった。

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