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❄️アナと雪の女王キャスト日記❄️最終回

みなさまお久しぶりです。みーあキャット6期生新人公演『アナと雪の女王』カンパニーです。ディレクター(監督・演出)を務めました壹岐颯太朗です。
 
はじめに、6期生新人公演『アナと雪の女王』にお越しくださったみなさま、ありがとうございました。
 
この公演は、まあ勿論と言ってはなんですが、私が人生で初めて「舞台を一から作り上げる」―ディレクションをさせていただいた舞台です。
 
『アナと雪の女王』はみーあキャットで行われた公演の演目としては過去最高レベルに認知度の高い題材でした。舞台美術は数が多い上に大変な作りのものが多く、また演出的な難易度も高く、文字通り「新人による公演」にしては、極めて大掛かりなものとなりました。新人公演が『アナと雪の女王』に決定したときには、実現できるかどうかさえも危ぶまれていたことを思い出します。そんなスタートを切り、苦労という2文字では到底言い表せないような苦労の数々で、もはや無茶とも言えるような5ヶ月の稽古期間でした。
それでも成功させることができたのは、カンパニーのみなさんのおかげですし、そのような公演のディレクターをさせていただいたことは本当に幸せな限りです。
 
本当に素晴らしい方々の力で、今回の舞台は完成しました。
 
演出的なことや精神的なこともあらゆる場面で支えてくださった副ディレクターのお二方に、ありがとうございました。
 
長くはない練習期間でしたが、一生懸命に練習して、大きな感動を生み出してくれたキャストのみなさんに、ありがとうございました。
 
歌や音源、踊り、広報、衣装やヘアメイク、舞台美術はどれも一級品でした。これらはすべてキャストのみなさんが稽古と並行しながら作り上げてくれたものです。制作に関わってくださったすべての方に、ありがとうございました。
 
劇中の音響・照明・場面転換に加えて、当日の設営やスタッフ業務を引き受けてくださったみーあキャットの先輩方。先輩方のお力があって公演が成立するということを思い知らされたと同時に、後輩たちの公演を全力で支えていくというみーあキャットの素敵な文化を受け継いでいかなければいけないと思いました。先輩方に、ありがとうございました。
 
アゼリアホール関係者のみなさま。私は舞台初心者ですが、ホールの仕組みや専門知識に関することまで、なにからなにまで教えてくださりました。難しい要望にも答えてくださり、今回の公演の可能性を大きく広げてくださりました。アゼリアホールの方々に、ありがとうございました。
 
そしてもう一度、6期生新人公演『アナと雪の女王』をご観劇くださったすべてのみなさまに、本当にありがとうございました。
 
 
さて、御礼はこのくらいにして。
 
 
『アナと雪の女王』という物語は「愛」がテーマでした。
 
当日みなさまにお配りいたしましたパンフレットでも「この劇がぜひともみなさまが『愛』とは何であるかを今一度考える機会になればと願います。」と申し上げました。
 
 
たとえば作中描かれた「愛」として、アナとエルサの姉妹愛がありました。

劇中曲『フィナーレ/ありのままで』でのワンシーン
Photo by 松田ミネタカ様


アレンデール王国の女王であるエルサは、生まれつき触れたものを凍らせる魔法の力を持っていました。幼い頃、妹のアナをその力で傷つけてしまい、それ以降大切な人を傷つけまいとしてアナに会わないようにします。
そんなエルサを案じたアナは、魔法の力を暴走させて雪山に閉じこもってしまったエルサを追いかけ、氷でできた立派な宮殿でエルサを見つけます。姉妹同士が真っ向から対峙し、ここで初めて、アナとエルサはお互いの本当の気持ちを伝えます。
 
アナはエルサに対し、「かけがえのない人であるエルサともう二度と離れたくない。一緒に山を降りて、力を合わせて魔法の力に立ち向かっていきたい。」と訴えます。しかしこれに対してエルサは「アナは大切な人であるからこそ、もう二度と傷つけたくない。離れているべきだ。」と返します。二人ともお互いを失いたくない気持ちは同じですが、相手のことを強く思うがゆえにすれ違ってしまいます。
そして再び暴発してしまったエルサの魔法を、アナは直接胸に受けてしまい、心が凍り始めます。
 
その後、山から国に連れ戻されたエルサは、アレンデール王国を狙う者の手により殺されかけますが、アナは身を挺してエルサを守ります。その瞬間、アナは心が完全に凍りつき、全身が氷で固まってしまいます。
 
しかし、凍ってしまったアナをエルサが抱き締めると、アナの氷はみるみるうちにとけていきます。
 
物語を経て、凍った心をとかす鍵が「真実の愛」であると気付いた二人は、凍ってしまった世界を元に戻すことに成功します。
 
 
アナとエルサは、互いのことを想うがゆえにすれ違いました。けれども、自分のことより相手のことを思いやる気持ちに気づくことができた二人は、最後に受け入れ合うことができました。
 
これが『アナと雪の女王』で描かれている「姉妹愛」です。
 
 
この作品で描かれている「愛」の形は、アナとエルサの姉妹愛だけではありません。
 
アナとクリストフの間に描かれた男女同士の「愛」、アナとハンスの間に描かれたプリンセスとプリンスとの運命の「愛」と偽りの「愛」、オラフの夏が大好きだという気持ちも「愛」と言えるかもしれませんね。
 
あと僕が面白いと思うのが、物語の最後でアナ、エルサ、クリストフ、スヴェン、オラフの5人のことを「家族」と呼んでいるということです。
 
家族ってきっと一昔前までは血の繋がっている集団のことを指していたと思うんですよ。でも今の世界では、もう既にいろいろな家族の形があると思っています。たとえば同性の両親の元に子どもがいるということも普通になっていくだろうし、友達とかペットのことも同じで、血の繋がりだけを家族だと思わなくていいと思うんですよね。本当に愛がある人のことを家族だと思えばいい。
 
だから『アナと雪の女王』という作品は、いつ、どんな時代でも「愛」について描いた物語として世界に通用すると思っています。ずっと先の未来でも、あらゆる形の「愛」を持っている人たち一人一人に届くものがきっとあるんじゃないでしょうか。
 
 
「愛」についていろいろな受け取り方がこの作品からできると思います。監督挨拶で申し上げましたように、この作品がみなさんにとって「愛」について考えるきっかけになればと思います。
 
これは舞台に限らず、音楽や美術でも芸術全般に言えることだと思うのですが、芸術は観ている人に何かを伝えるために催すものだと思います。それは、例えば演説やプレゼンなど言葉で直接的に伝えるのとは全く別の伝わり方をすると思っていて。
演劇を通して何かを伝える場合、物語や登場人物の感情をフィルターにして伝えることになる。そして観ている人それぞれが届いたものを自身の解釈やフィルターを通して考えることになる。こういう演劇の営みが本当に素敵というか、上品だと思っています。
 
大学生の身分でありながら、そのような高尚な営みの一端に触れることができ、また多くのお客さんにこの作品をご覧いただけたことを本当に光栄に思います。
 
さて、次回公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』まであと1週間あまりとなりました。本公演は『アナと雪の女王』とは打って変わって、自由を求めて立ち上がった青年たちの熱き革命の物語です。
 
『アナと雪の女王』に出演したキャストたちの多くが、次回公演にも出演いたします。今回は私もキャストとして舞台に立たせていただきます。
次の舞台でも、作品を通して、表現を通して、観に来てくださったみなさんに何かを伝えられるように誠心誠意頑張ります。
 
それではまた、みーあキャットの舞台でお待ちしております。

〜公演情報〜
第12回公演
🇫🇷『1789-バスティーユの恋人たち-』🇫🇷
2024年7月14日(日)
@なるお文化ホール
完全予約制・無料


❄️ライター紹介❄️

みなさま本当にありがとうございました。
Photo by 松田ミネタカ様

❄️名前:壹岐颯太朗
❄️役割:ディレクター

※見出し画像 撮影:松田ミネタカ様

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