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幼稚園の先生に助けられた話

うちには3人子供がいます。
何でも平均的に出来る外ではしっかり家ではちゃらんぽらん長男。
ママさん達に可愛がられがち愛嬌だけはある超無口な次男。
面倒見るのが大好きな何処に行っても小さいお母さんな長女。
私自身、どちらかというと子供嫌いな方なのですが、楽天的な性格と周りの温かい人たちのお陰で比較的楽しくのんびり子育てができてここまで来ています。

長男は性格が自分によく似てるところがあるので、そこまで困ることはなくて。
困ったのは次男。
ニコニコしてるかぼーっとしてるかがほとんど。
「着替えなよー。」
「歯磨きは?」
「行く時間になるよ!」
何を言ってものんびり。
テレビをつけてたらアニメじゃなくてもニュースであろうとぼーっと見ている。
消したら消したでぼーっとしている。
「早くして!」
「ねぇ、聞いてる!?」
「遅い!」
何度口にしたことか。

そんな私のイライラが解消されたのは、幼稚園の先生のお陰でした。

次男は本当にのんびり君なので、幼稚園という集団に合わせないといけない場所が好きじゃなくて、毎日行くのを嫌がってて。
泣いたりごねたりはしないけど、行きたくない様子が目に見えて伝わってくる感じ。
精神的なこともあってなのか、登園前にお腹が痛くなる日が多くなってきました。

そんなこんなのある日。
またお腹が痛くて登園時間にも間に合いそうもない。
園に電話を入れてから、遅刻して登園することに。

1時間遅れぐらいでのんびり歩いていくと、ちょうど外に午後の預かり保育担当の先生がいて、抱っこされて迎えられる次男。
近くに踏切があるのですが、ちょうどそのタイミングで踏切がカンカン鳴り出しまして。
次男がそちらを見て気になったみたいで、先生が察して、電車が見えるところまで連れて行ってくれました。
「電車を見てから中に入ろうか!」
って。
その先生の心のゆとりというか、子供の好奇心に合わせてくれる姿を見て、自分が日々イライラしてたものがスーッと消えていったような記憶があります。

そしてその日のお迎えの時間。
他の子が続々と出てきて帰っていくのに、うちの次男は待てども待てども玄関に現れず。
みんなが帰り終わったあとぐらいに、担任の先生と手を繋いで玄関に登場。
「いや〜、遅いねぇ〜。」
待ちくたびれて我が子に言う私。
すると先生が、
「けいちゃん(次男)タイムで動いてますからねぇ。」
けいちゃんタイム???
「けいちゃんタイムですか?」
思ったまま口に出てた私。
すると、
「けいちゃんにはけいちゃんの時間の流れがあるんですよ。ゆったりのんびり。みんなより少し遅いかもしれないけど、ちゃんと頑張ってますよ〜。こちらが見守ればちゃんと周りを見ながら出来ますよ。」
と、先生。
『目からウロコ』を実体験したと感じたのはこの時が産まれて初めてかもしれないってぐらい、180度考えが変わった言葉でした。

この時まで、言えば出来る長男、何も出来ないやらない次男。
どうしたらやるようになるんだろう?
どうしたらもうちょっと早く動いてくれるんだろう?
どうしたらみんなと同じようになるんだろう?
そんなことばかり考えて、次男に対して不安とイライラでいっぱいだった。
それが、先生の言う「けいちゃんタイム」がストンと腑に落ちて。
自分の時間の流れが当たり前だと思ってたけど、この子にはこの子の時間の流れがあって、ちょっと遅いだけなんだなって。
そーかそーか、そーいうことか!
って、見方がまるっと変わりました。
そしたら凄く楽になって。
自分に出来たことは子供もできるはずって心のどこかで決めつけてたものも、いつの間にか思わないようになって。
それでもやっぱり気持ちに余裕がないと、「早くして!!」って思っちゃうから、その時は先生の言葉をいつも思い出します。

あれから気が付けば10年も経った今現在。
次男は相変わらず言葉が少なくて、何を考えてるのか読み取るのが難しい。
学校という集団生活が苦手なのも同じ。
未だにあの幼稚園の先生の言葉を思い出して生活してます。
今はもう引っ越してしまったので、先生に会うことも、幼稚園の前を通ることすら無いけど。
あの時、あのタイミングで、あの先生に出会えたことは、私が子育てをしていく上で最大のターニングポイントと言っても過言ではないと思っています。
先生にとっては何気ないお話だったかもしれないけど、とにかく感謝です。


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