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猫を処方いたします。

という本を読んだ。
私もパートナーが猫を飼っていたので、「否応なしに猫と暮らすことになった」という点では登場人物と近いところがあるのかもしれない。
小さいころから喘息気味で、毛むくじゃらのものは例えぬいぐるみでも一緒に寝てはいけません、と言われて育ったので、まさか私が猫と暮らすことになるなんてまさか、である。
しかしうちの猫は甘えん坊だけども割と大人しめで粗相もしないので、本のようにドラマティックに人生が動き出すなんてことは無い。
ただ猫がいなかったら、我々夫婦は今のような関係を築けただろうか、とは思う。
互いの不在時には猫の写真を送りあい、猫の具合が悪そうなときは互いにネットで症状から考えられる病名を探し、我々が言い合いをして空気が悪くなったときは猫が仲裁に入り(たぶん二人がガヤガヤして楽しそうと判断し、遊んでほしかっただけ)、猫なくして私たちの関係は成り立たないのでは、と思うところもある。
私たちは普段人間の時間を生きている。
そこではなるべく少ない労力で大きな利益を得たり、人の役に立ったり褒められたりされるのを良しとする傾向が少なからずある。
そして同時にそれに私たちは疲れている。
そこに人間ではないなにか(猫)、無邪気に気ままに生きているなにか(猫)、をみるとふっと気が抜けるのである。
あぁ、私たちは私たちの縛りに囚われていたんだと。





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