三人でコラボカフェに行く話 1
この話はコディアック緋熊様のFA『もしも「あそびごや」がコラボカフェをやったら?』から着想したネタです。緋熊様、ありがとうございます!
メタ発言、ちょっとしたネタバレ、裏話など、いろいろあります。しかも、佳代ちゃん、シダラ、サガラが仲良し時空です。
本編とは何も関係がありません。頭をゆるゆるにしてお読みください。
***
えー、水谷佳代です。今回、シダラとサガラと一緒に、「あそびごやコラボカフェ」に来ました。
ここからは、ぐだっとしたトークでお送りしていきます。よろしくお願いしまーす。
カフェ店内は広い畳敷きの部屋。畳の色は赤。壁の色もやや赤っぽい。どうやら第一面『解の部屋』の再現のようだ。
趣味悪いな。
「ずっと謎やってんけどさ」
「うん、なに?」
「第一面、めっちゃ部屋広なかった? シダラ、どんだけ豪邸に住んでたん?」
畳何枚敷きだったのだろう。第一面だけじゃない。ほかの部屋もそうだ。しいて言うならあの出入り口につながる部屋だけが、まともな大きさだった。
シダラがにこりと笑う。
「あれは僕が自在に変えることができるものなんだよ」
「わぁ、不思議能力」
「僕の腹の中みたいなものだからね」
「なんて?」
「僕の腹の中――」
「聞きたくなかったわ」
耳を塞ぎたくなるような事実に、私はシダラの声を遮った。要するに胃袋の中におったってことか。いや、「みたなもの」やから。「みたいなもの」やから……。うん。
「久しぶりに見えるの楽しー!」
早速カフェに入り、中をきょろきょろとしているサガラ。今日は目玉と色彩在り仕様。シダラがそんなサガラをたしなめる。
「サガラ、はしゃぎすぎるなよ」
「はーい、お兄ちゃん」
「また、目玉、抉るぞ」
サガラが凍り付く。
仲のええ兄弟やな、と和んだ私を返せ。
店員さんに促され、私たちは靴を脱ぎ、入り口のロッカーに預ける。周りを見渡す。
定員さんの格好が少し妙だ。着物だったり、洋服だったりとばらばらだ。
「なんで、店員さん、服統一してないんやろ?」
「佳代ちゃん、第二面の箪笥、覚えてる」
「ああ、服たくさん入ってた――」
そこでこのカフェのコンセプトを理解した。
「つまり、ここの店員さんたちはシダラが殺した人たちって認識でおっけー?」
「おっけー!」
嬉しそうに笑うなや、シダラ。
席はサガラが選んだ。端の方の壁に穴が開いたところの近く。ちゃぶ台の上には三人分のメニューが置かれている。ペラ紙のそれを覗き込む。
「うわぁ」
思わず声が漏れた。
そこに並ぶは、シダラの分身ども。あの目玉のついた黒いやつはいちご大福に、ショッキングピンクのペンキのかかった黒い足生えた団子みたいなやつはタコ焼きに。
正直食欲をそそられない。むしろ抉られる。
「メニュー一つ注文で、チョロQ一つ付いてくるんだって!」
サガラが満面の笑みを浮かべる。裏面にチョロQの説明があるらしい。ひっくり返し、その造形を見た瞬間、頭を抱えた。
黒い手やん……。
散々悩まされたアレ。ものっすごいスピードのアレ。そして、めっちゃ追ってくるアレ。
どうやら、このチョロQは追ってくるやつを再現したようで指で引っ張って、放すと「着実に」付いてくるらしい。
やめてくれ。こんな怖いチョロQ初めて見たわ。
「二人は何食べるの?」
「私はいちご大福かな」
シダラの問いに答える。今は辛いもんより、甘いもんの方が食べたい気分。
「じゃあ、ボクはタコ焼き!」
「シダラは何にするん?」
「いや、僕はいいかなって」
目を見開く。
「お腹すいてないん?」
「せっかく来たのにもったいないよ、お兄ちゃん」
私とサガラの言葉にシダラは目をそらし、頬を染める。
「ほら、僕が食べると共食いになっちゃうから」
なぜそこで照れ顔?
「でもそうだね。何かは頼みたいかな」
「じゃあ、無難にタピオカでも頼めば?」
そのメニューを指さす。赤いタピオカの入った、赤いタピオカ……?
よく見ればそれは目玉だった。
「さすが佳代ちゃん! 僕の好みをよく知ってるね。僕は目玉大好きだよ」
そんな情報いらんかった。
目の前でサガラがびくりと肩を跳ねさせた。かわいそうなので、頭をなでなでした。
「僕も撫でて?」
上目遣いのシダラ。ちょっと可愛いのが腹立つ。
もちろん、断ってやった。
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