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不運と絶望 からの 冷静と無キズ

その時その時に、
万全を期して準備してきたはずだった。
スキー場でのお仕事に申し込み
日程に合わせて息子のショートステイを予約し
作業所後の支援を取れた日には、
スキーの自己練習をしてきた。
今回は、
スクールの進め方を見学するため、
スキー場に向かった。
アクセス道路も、
いつもきれいに除雪されているし 
心配はない。

今年の冬らしい冬。

朝から街は雨が降っていた。
(スキー場は雪かな)くらいのことは考えたかな。
人工雪のスキー場が、コース以外まで雪景色になっている!と、
スクール運営を教えてくださった方が驚いていた。
終了後帰宅しようと車に行くと、
ほんの数時間だったのに
もう雪まみれになっていた。

道は除雪されていなかったので、スピードに気をつけ対向車に迷惑かけないようキープレフトを心がけて走行中。。。
「ガタン!」え?!なにこの段差感!!
さーっと血の気が引く。

雪に埋もれた側溝に気づかず脱輪してしまった!

今 4時で、息子のヘルパー支援が6時まで入っている。
普段は1時間で松本に戻り、スーパーで買物などして息子を迎える・・・。
それでまた今日は、買い物をしないと冷蔵庫にはなんにもない。

すぐに車を止めてタイヤ周りの様子を見に行くと、側溝にキレイに落ちていた。それも前後輪とも!
自力で上がるのかアクセルを吹かしてみたけど、
無駄な抵抗だった。。

実は数年前、初めてJAFを利用したときのこと、その前に自分でなんとかしようとしてドツボにはめてしまったことがあった。

転落寸前で止まってた。下は沢。
乗っていたステーションワゴンなら、
一回転半しそうだ
JAF要請


前には鉄柱、
すぐ横に段のあるマンホール、
未舗装の雨あがりの土で、
そのまま沢に向かって車体は傾き
転落一歩手前までになって
ようやくJAFに電話しようと気がついた。

その教訓もあって、ハマって一分後にはJAFに電話した。
その後はヘルパー支援の業者に、おそらく延長になるのでそのお願い、
罵倒覚悟で夫にも連絡、車内で電話しまくった。

電話していてつくづく思ったのは、経験は宝だということだった。
実は数日前、息子を作業所に送るとき、いつもと違う手順で出ようとしてまた家に戻った一瞬、玄関にいるはずの息子が居なくなっていた!
ドアを解錠していた!
周りを見ても姿がなく、行きそうなところは見に走ったが見つけられなかった。
その時もムダに時間延ばしせず、息を整えて110番していたのだ。
本人の名前様子着衣etc   なんで5人いて口ぐちに同じことを聞くのだろう。そんなことも思わず苛立ちもせず、聞かれたことを淡々と答えていた自分。

JAFにはカードを見ながら自分は家族会員で、場所はこのスキー場とこの有料トンネルの間、起こった時間は何時、と、聞いてる人物がわかりやすくを心がけ話す。

ひと通りの作業が済んで、
はっと周りに目をやると、
しんしんと雪が降っている。

恐ろしく独りだ。

30分ってこんなに長かったか。。
じりじり
一度我慢しきれずにJAFに再電話。
モンスターにならないように、丁寧な言葉を心がけ、進捗状況はどうなっていますかしら?と、聞いてみたりもした。
でも事務所のあるような街からは通報きいて直ぐ発車したとしても、一時間はかかるだろう。そういう位置関係。

そんな時、三台の車が後方から来たので当てられないように誘導した。
通り越して登り坂に差し掛かるところで停車してしまった。

もしかして助けようと思ってくれたか!わたしは大丈夫!JAF待ちだから!行っちゃって〜!


行っちゃって〜!
と、
心の中で叫んでいたら
登り坂を登れなかったようだ。
神戸ナンバーだったからなぁ
もしやノーマルタイヤ?
もしかして2WD?
あ〜あ、、

男ばかり7〜8人で
『止まったらあかんのや、もう登れんで』
『チェーン着けたことないんやって⁈』
『一番簡単なヤツ買ったんでいけます!』
とかなんとか ワイワイとやっている。

だんだん日差しの力が弱くなり、薄暮が迫ってきた。

放心状態で悪戦苦闘の様子を眺めていると、私がここに留まってかれこれ1時間ほど経った。

前方からピックアップみたいなトラックが来た。そしたらそれが私のJAFさんだった。
JAFというとサイレンのついた派手な色の車高の高いトラックかと思っていたので、写真を撮るのも忘れていた。
(というか、これ以降更に過酷な状況で、写真は一枚もありません、あしからず)

タイヤは 前後すっぽり側溝にハマって浮いている状態で、またその側溝の幅がスタッドレスタイヤとピッタリ!
数年前の初回の時は、興味津々で作業を見ていたけど、今回は力なく車内で座ったきりだった。

しばらくしてJAFさんが、
「時間がかかりそうですので、自動車保険会社に連絡して 『うりかけ対応してください』と言ってください」
えっと、うわ、保険会社の連絡カードを…
入れてない!
そうそう!スマホの履歴に入ってるはず!と探したらありました!
持ってるわ。。

前方の神戸ナンバーが、チェーン付け終わったのに一向に登れない。
そんなとき作業中にJAFさんが『自走出来そうですね。どちらに向かいます?』と尋ねてきて
『有料トンネルの方です』と答えると
え!チェーンつけてるわたしの車が、もう登れない車多数 何台も追い越してきたんですよ!とのこと。
えぇ?!
朝なにげに通ったあの道が?!
でも行くしか帰れないじゃん。。

もう気持ちは脱出後の心配で、ドキドキし始めた。
そうしているうちに対向車線から除雪車が二台もやって来た。
なんで続けざまに?
けどその分路面はかなり平らになった。
対向車が来てない時にそっち走れば行けるんじゃない?
持ってるじゃん、ワタシ!

前方の神戸ナンバー三台もいつのまにか除雪後の道路を登って消えていった。

そしてウインチを何回か繰り返し、マイカーノアは道路上に復活した!
事後手続きをして走り出したところ、除雪のところは走れる、走れる!
あーよかった。。

有料トンネルは、有料なんだから除雪入ってるでしょ。有料なんだもの。と、大きなカーブから料金所を見ると、大型トラックの長蛇の列。。
なに?え?
除雪中で通行止め⁈

これはいつ通れるようになるかわからないわ。その間昼間お世話になったイントラにTELしてたら茅野の人で『白樺湖は通れたよ』とのこと。なら白樺湖経由で帰ろう!とUターンした。
白樺湖方面は二車線分広々と除雪してあり、遠まわりでもこれなら高速乗れば帰れるだろうと気が楽になった。
途中大型トラックが止まっていたり、チェーン巻こうとしていたり、有料トンネル方向も、こんな標高の高い山の道が運輸の大動脈になっていることを痛感する。

良い調子で走っていたのに斜度がつきかけたところで車列が止まっていた。
あー詰まってたか。。
ここも暫くは待っていたけどらちもあかず。
空を見上げると月と星が綺麗だった。雪雲抜けたんだな。。
美しさに心動くうちはダイジョウブだわ、ワタシ。。

更に遠回りにはなるが腹をくくり、
佐久を目指すことにした。

ここはとにかく八ヶ岳・美ヶ原の山塊を避けなければどうにもならないわ。

真っ暗なので、ただただ走らせる。

走り始めて間もなく民家が出てきた。
標識が見えて、佐久と反対側の矢印に『なんとかのマルメロの道の駅』という文字が見えた。
それ、春先 三才山トンネルで佐久に通った時に通ってた道の駅じゃん!じゃあ三才山トライしよう!と進路変更した。
三才山トンネルが通行止めだったら上田におりて高速に乗ればいいや
可能性のあるルートをひとつひとつつぶしていこうと。
なんだかワクワクしてもいた。アドレナリンが出てただけかもしれない。

上田は一転、雨が降り続いていた。
高度を上げるほどにはっきり雪にかわり、鹿教湯温泉を過ぎると除雪してないのか轍がくっきりとしてきた。前も後ろもトラックで、彼らが止まったらワタシアウツじゃん。。止まるな、止まるなよ〜
三才山のトンネルを抜けた後は長い下り坂で、なぜか後ろのトラックを先に行かせマイペースでシフトダウンして走らせる。追突されるのを恐れたのかもしれない。(でも前で止まられたらどうにもならないのにねぇ と考えたのは、回顧時ww)

そしたら対向車線で、除雪車と車両運搬トラックが不自然なほど近くて、その後続車列は動けず止まっていた。よそ見して事故ったらそれこそシャレにならないのでよく見てないけど、パトカーが登っていたからやっちゃったのねー

そこから松本トンネルを抜けて街の灯りが見えてきた頃 ホッとすることもなく、帰宅後の夫の剣幕を想像するにゲンナリとなり、緊張で頭痛がガンガンとしてきた。

それでも私には、
JAFさんがノアを見回して最後にかけてくれた言葉『きれいに乗ってるね』を勲章として心に持ってるのだ!

翌日、ディーラーさんに事情を説明して車体を点検してもらった。サイドにかすり傷があったのみ。
『交換も出来ますけど?』と提案もあったけど、今回の教訓として、そのままにしてある。

おしまい*:.。. .。.:*・゜゚・*

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