十万倍月の、神変節大祭
明日はチベット暦正月十五日に該当し、「神変節」(チョトゥル・ドゥーチェン)にあたります。
この日は釈尊の十二事業(釈尊の生涯の中で起きた十二のイベント)のうちメイン4つの事業を祝う「四大節」の1つです。
プールナ・カーシャパ(不蘭那迦葉)を代表とする六名の悪意を持った師匠(六師外道)は、魔の力が釈尊に勝つことをビンビサーラ(頻婆娑羅)王に説得して、釈尊を公開の場所に呼んだのでした。
それに対して釈尊は十五日間、連続で神変を示された記念日にあたります。釈尊が五十七歳の頃と伝えられています。
ただし、釈尊は六師外道に対して力でねじ伏せた(調伏)のでは決してありません。
釈尊が王や聴衆に対して十五日間示された神変とは、諸王や大檀那、諸部族や梵天王などの神々が毎日、釈尊に供養されたのを受けてのものであり、六師外道に対してではありません。その神変と説法によって、六師外道の信者も含めて阿羅漢果に達した者もいたし、菩提心を起こした者もいたし、天界に転生する種子を得た者もいたのです。聴聞した者すべての心は満たされました。
マガダ国の王、ビンビサーラ王はこのとき、魔でさえも因果からは逃れられず苦しみを受けることを悟ったと言われます。
仏教徒として極めて重要なこの日は肉食と飲酒を断ち、夜にツォク供養を執り行なう予定です。
もともと新年の最初の上半月(新月~満月の期間)に善業を積んでも悪業を積んでもそれぞれ十万倍に膨れることから、チベット暦正月のことを「十万倍月」と呼ぶくらいです。
一方で「律部経典」によると、この期間は一千万倍に膨れるとも記されています。
さらに十五日目の神変節大祭の日に積むと、一億倍に膨らむとも言われます。
よってこの日は悪業をできるだけ控え、経典を読んだり、寺社に出向いて線香や燈明を供養したり、僧侶に供養をしたり、貧しい人に施しを与えたりすることが奨励されています。
当日のサン供養(柴燈護摩供)は、朝を予定しています。
特に神変節は「燈明節」(Butter Lamp Festival)とも呼ばれるくらいで、燈明の供養がとても大切になってきます。
サポートいただいた方は、いつものように祈願主のお名前で供養用の特別な燈明(チューメー)を、朝まで仏前にて供養させていただきます。
サポートは、気吹乃宮の御祭神および御本尊への御供物や供養に充てさせていただきます。またツォク供養や個別の祈願のときも、こちらをご利用ください。