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「Donny Benét」 ご存知ですか?

Donny Benét をご存知ですか?
私が2018年、長野で毎年やっていたレイブ系?フェスtaico clubに参加し、胃腸炎で地獄の苦しみを味わっていた時にDJが流していた曲でした。印象的なリフレインに思わずshazamし、見つけたという次第です。

こちらをご覧ください。


 「コンニ〜チ〜ワ〜」と一発で日本人の耳にこびりつきます。PVもパーフェクトなイロモノ感。ピンクのセットアップでキメている、美しく禿げ上がった中年男性(これがdonny benet)と、ボディコンシャスな女性が応接間でシャンパンを飲む色褪せたVHS的な質感は見たことのないはずなのに懐かしいような。日本経済バブル期を感じさせる野暮ったさ、妙に息の詰まるような独特の閉塞感が、80年代のダンスミュージック的なサウンドスケープを更に深いものにしている気がします(また、この点に関してはサカナクションの『忘れられなの』のPVが日本では新たなモードを提示したように思えます)。

twitter上で海外公演の短いライブの映像を見つけたのですが、ベースを弾きながら歌ってました!良さげな雰囲気です。スティングレイ(ベースの種類)を使っているあたり、期待を裏切らないです。

 来歴としては、オーストラリア・シドニーを基軸に活動しているソロミュージシャンで、wikipediaには「時代錯誤な80年代ポスト-ディスコ」と評されています(もちろん現代的な文脈に昇華させているという旨の文章が続きます)。ソロ以外にもjack ladderという方のバンドでもキャリアがあるようです、私は存じ上げませんでしたが。

vaporwave的な部分に惹かれた、かも。



 彼の音楽にはvaporwave的な要素が内包されている気もします。VAPORWAVEとはかなり大雑把にいうと音楽のジャンルで、90年代?のポップスをループさせ、BPM(曲のスピード)を遅くしたジャンルで、90年代の日本のカルチャーをコラージュしたヴィジュアルが多く多様される他、レトロフューチャーに退廃性や諦観、資本主義への皮肉を込めた要素もみられます。このジャンル賛否両輪が多く、定義づけが曖昧なアングラなジャンルであるため、よく「死んだジャンル」などと言われておりますが、興味ある方は調べてみてください。
 

音楽はもとより、このPVが特に色濃く感じられます。炎を背中に纏うサックスソロなど、「すごく意味はないけどアヴァンギャルド」な感じが、妙にグッと来ます。本人はVaporwaveなど露ほども意識してなさそうですが。
 話は若干逸れますが、このように無意識にvaporwaveの領域と重なるミュージシャンが近年いるような感じがします。坂本慎太郎とか、先述したサカナクション「忘れられないの」のPVなど。過去のカルチャーも、オールディーズになってしまえばいくらでも格好良く料理できますが、90年代は再解釈するにはまだ機が熟しておらず、いわゆる「流行遅れ」にとどまっていたのでしょう。近年になってそれらを上手く表現できる人が増えてきたのかな、と個人的に思います。


以上、donny benetについて書かせていただきました。
是非聞いてみてください!

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