見出し画像

レビュー YONLAPA『Let Me Go』

 今回紹介するのは YONLAPA『Let Me Go』


 2019年末にリリースされた楽曲ではあるが、夏のドライブに最高に合いそうな、爽やかで風通しの良いコード感が気持ち良い、リラックス感のあるポップス。飾り気のない楽器構成で録音されているローファイサウンドからは、「チル」と「サイケ」の密接な関係性を感じ取れる。特にギターサウンド(具体的には深くかかったリバーブや、脳に響くような揺れるコーラスサウンド)に、ボーカル•Noi Naaの時折胸を締め付けるようなメロディラインが絡み合うことで生まれる、爽やかさとノスタルジーの同居からは、まるで楽しかった夏の思い出を懐古してしまうような、センチメンタルな陶酔感へと連れ去る。
(boy pabloなどがかなり感触として近いだろうか)

 ちなみに、彼らはタイのバンドである。タイと言えばSTUTSのアルバムにも参加し、来日公演も行われるなど、日本とも縁の深いPhum Viphurit(プム・ヴィプリット)が思い出される。「Lover boy」に代表されるように、彼のほうがややAOR的な感覚の持ち主ではあるがイントロの切ないアルペジオを聞けば、このアプローチは無関係には思えない。近年言われ尽くしてはいるが、タイや日本に限らずアジアの音楽シーン、特にインディーが盛り上がりを見せている。マック・デマルコが邦楽(山下達郎、坂本慎太郎など)の影響を公言し、khuruangbinはタイファンクを落とし込むなど、グローバルに影響を与え合っている最中での一曲、チル・サイケのシーンが更に豊穣になっていくことに期待せずにいられない!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?