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将棋「棋譜利用に関するお願い」の現在

はじめまして。

右玉NOW」という将棋ブログを運営しているミギーと申します。よろしくお願いします。

noteでは右玉戦法の話ではなく、昨年から将棋界を騒がしている棋譜利用問題の現状を紹介したいと思います。

棋譜利用問題とは、2019年9月に将棋連盟が突如発表した「棋譜利用に関するお願い」により、公式戦の棋譜(図面を含む)を(ブログやYouTubeなどで)利用したい場合は、事前許可が必要になったことによる問題です。

何が問題かというと

「個人情報を細かく入力して申請を出しても返信がない(無視される)」ということと、「そもそも棋譜利用に許諾が必要なのか?」ということです。

この件に関しては、将棋YouTuberが日本将棋連盟に公開質問状を出し、日本将棋連盟が回答しています。

棋譜利用に関する公開質問状への回答

簡単に言えば、棋譜の著作権に議論があることは承知しているが、棋譜利用は将棋連盟と主催者に権利がある、ガイドラインは作成中だけど時間がかかる、というものでしょうか。

そんなガイドライン、というか各棋戦主催者の方針ですが、2020年7月現在、徐々に固まってきた気がします。

そこで、右玉NOWが棋譜利用の申請をした中で、その返信から各棋戦&主催者の対応状況をまとめて紹介したいと思います。

棋譜を紹介したい将棋ブロガーや将棋YouTuberには参考になるかもしれません。

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竜王戦 (読売新聞社)

2020年6月15日付けの返信によると、現在ガイドラインを作成中とのこと。
現時点での回答として「1対局につき、2局面、合計30手程度の利用であれば許諾可能だが、利用料がかかる」とのことでした。
実際に序盤の1局面について、ブログで紹介する場合の料金を問い合わせしました。この結果のみ有料エリア(100円)で紹介させていただきます。


順位戦・名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社)

2019年12月7日付けの毎日新聞社側からの返信で「許諾してもよいが、朝日新聞社の許可も必要」とのことだったのですが、朝日新聞社からの返信はなく、利用できませんでした。
その後、2020年6月15日付けの返信ではガイドラインを作成中とのこと。料金、詳細が決まり次第連絡をいただけるということで、規定の利用料を支払えば一部局面は紹介できるようになる可能性が高いと思われます。

2020年8月14日追記

名人戦実行委員会から返信があり、主催クレジットの記載で棋譜利用を許可してただきました。申請していたのは6/12の順位戦A級斎藤慎太郎-糸谷哲郎で、当該の棋譜利用はクレジットの記載を条件に無料(商用利用は除く)とのことです。

2020年9月12日追記

名人戦実行委員会から返信があり、対局後2ヶ月以内は優先掲載期間ということで、利用は有料になるそうです。優先掲載期間後は無料で利用可能とのこと(要クレジット記載)。


叡王戦(ドワンゴ)

返信は一切ありません。
ただし、叡王戦はニコニコ生放送で無料中継されているほか、棋譜も無料で見ることができます。
また、今期叡王戦本戦に限り、棋譜利用申請なしで棋譜利用ができる「二次会」というサービスを提供しています。棋譜利用できる媒体はニコニコ生放送のみということですが、ユニークな試みで面白いのではないでしょうか。


王位戦(3社連合)

2020年2月16日付けの返信で、棋譜は部分図も含めすべて不可とのこと。これは申込者すべてに適用されるそうです。
ただし、社内調整ができたら現状と変わるということでした。

6月30日の将棋講座ドットコムさんのツイートによると、「3万円で、盤面図1枚、指し手10手まで」という情報もありましたので、調整ができたのかもしれません。

追記

9月23日付けの返信にて、「指し手10手とそれに伴う盤面図10枚」以内で3万円(税別)という回答をいただきました。盤面図の数は違いますが、将棋講座ドットコムさんとほぼ同じです。61期からの適用だそうです。


王座戦(日本経済新聞社)

2020年3月3日時点での返信では、明確な方針が決まらず許可とも不許可ともいえないということです。
なお、観戦記を掲載する対局(番勝負を除く)に関しては観戦記掲載後までは利用をご遠慮いただく、ということは決定しているそうです。

2020年9月1日追記

棋譜利用ガイドラインが発表されました!

・3図(+指し手計10手)まで商用・非商用に関わらず申込不要、無償で利用可能。

・対局から3ヶ月経過後は非商用に限り無償利用可能。動画配信サイトは広告あるなしに関わらず商用扱いで、申請が必要。

明確で素晴らしい内容だと思います!



棋王戦(共同通信社)

返信は一切ありません。


王将戦(毎日新聞社)

丁寧な対応で棋譜の利用許諾をいただくことができました。ありがとうございます。

2020年9月12日追記

ガイドラインが発表されました! 利用料は商用・非商用で異なるとのこと。2ヶ月経過後は利用料を下げるか、無料になるとも。



ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社)

返信は一切ありません。


そのほか一般棋戦、女流棋戦

朝日杯将棋オープン戦、NHK杯、新人王戦、女流王座戦については許諾を得ることができました。朝日杯将棋オープン戦は対局後、2週間経過後という条件がついています。女流王位戦は棋譜利用禁止とのこと。

現状のまとめ

一部棋戦について、棋譜(局面図)は利用料を支払うことによって、ブロガーやYouTuberが利用できるようになりそうです。利用料の金額については議論は起こるかもしれませんが、ガイドラインができつつあることは喜ばしいことだと思います。

以下有料エリアでは、竜王戦で問い合わせた棋譜利用の料金のみ紹介しています。

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