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「だいたい、ファンタジー (勇気より、ちょっとの勢い)」

皆さん、こんにちは。
毎度同じみ、水口です。

今回は、私が、「これまでの人生で一番勇気が必要だったこと」についてお話ししたいと思います。

それがなんだったかと言うと、
ズバリ、「一番最初の職場を辞める時」です。

辞めるなんて簡単では?、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
私の職場は極度に定着率が悪く、致命的なまでの人手不足。
毎日、どこかの部署からの応援でようやく回っているそんな状況でした。
「私が辞めたらどうやってシフトを回すんだろう?」、「辞めるなんて皆んなに迷惑では?」と思うと、私にはとても高いハードルでした。

この頃、私を虐げていた問題の上司は少し前に罷免され居いなかったのですが、今の上司は私に色々な事を教えてくれた人で、よく励ましてもくれました。
ただ、それが、余計に言い辛かったのです。
言ったら、恩を仇で返したと憎まれ、嫌われるのではと。

また、入社式を機会に、社長にも顔を覚えて頂いたのですが、支社に寄る度「水口くんは、元気?頑張ってる?」と態々様子を聞いてくれていたようで、それも罪悪感として私の行動を更に渋らせていました。

しかし、私も漢!決めたからにはやらねばなりません。
決して、今の仕事が嫌だからでも、逃げたくてでも、そんな事で辞めたいのではありません。
次のレベルアップ、自分の人生について考え、活動する。その時間を作る為に辞めるのです。

ともかく、この崇高な目的の為、作戦を立てます。
まず、他の人が居ると言い出し難いので、1対1になる必要があります。

オペレーション・居残り

上司が一人になる瞬間、それは誰もが帰宅し、上司が一人、シェフルームで書き物をしている午後22時です。
私は大体、午前3時から仕事をしているのですが、暇な日は20時くらいには"帰ってよい"と言われます。
しかし、この時間ではまだ他の人が居ます。
そこで、発注だの、仕込み忘れだの様々な理由を作っては時間稼ぎをするのですが、
いざ、伝えに行こうと思ったら、気付かぬ間に帰ってしまっていたり、「帰れと言ってんだろ!」と怒られたり、中々上手く行きません。

別の手を考えます。

オペレーション・喫煙所

上司はタバコが吸いたくなると、よく屋内ではなく野外の喫煙所に向かいます。そこの喫煙所は3方が壁に囲まれており、人目に付かず、寒いので人もあまり居ません。2人きりで話すには絶好の場所です。

しかし、これまたいつどのタイミングで行くのかが読めません。まして仕事中にそれに合わせるのは極めて困難です。結局作戦として実行すること自体が出来ませんでした。

終焉


かれこれそんな事を4ヶ月。
辞めると決意してあまりに時間が経っていました。
考えれば、オペレーション自体は成功しなかったものの、二人きりになるタイミングは何度もありました。
しかし、その度「雰囲気じゃない」とか「心の準備が」とか、ありとあらゆる理由をつけては、先送りしていた自分に気付きます。
「作戦」に逃げただけで、結局のところは言い出す勇気が無かっただけ。
「拒絶される」が心底恐ろしく、ありとあらゆる事を想像しては、渋りに渋っていました。

しかし、現状はといえば、辞める!と決めてから、
以前に比べ、仕事に対する身入りは落ち、惰性で仕事をしていました。
心はもう外にある、そんな状況でした。
この状況ででは迷惑だ、「いつ言うのか?」を決めます。

次の日、その日がやってきました。
仕込の合間に、エレベーターホールに一人でいた所を捕まえます。
「シェフ、僕、ここ辞めたいんです!」
順序もへったくれもなく、勢いでした。

この時、考えられる最悪の反応の全てを覚悟していました。コテンパンに罵られ、手を出される事さえも、、、。

上司から返ってきた言葉は、
「マジで、お前も?」でした。

私は驚き過ぎて反応できませんでした。

続いて、「困ったな、一気に二人も抜けたら感じ悪いから、お前先辞めろよ!」と。
まさかのお譲りまで、、。

その日はなんだか寝れませんでした。
「こんなにあっさり終わるなんて」

伝えるまでは「最後の最後で、怒られ自分も飛んじゃうみたいな辞め方するのかな?」とか「再就職出来ないほど傷付くかもしれない」などと考えていました。夢にうなされたことも。
しかし、いざ言ってみてわかったことは、全て自分の勝手な物語り(ファンタジー)であったということでした。
そんな現場を見た訳でも、聞いた訳でも無く、何の根拠も無いものに恐怖し行動しなかった。
ただ、それだけでした。

今回はたまたまでは?
そうかも知れません。
ただ、この後も色々経験しますが、殆どはイメージで思い描いた事程のことは起こりません。
むしろ、大体はイメージよりマシな事。

それに最悪の最悪を想定していれば、いざ良くない返答でも差ほどダメージを受けません。

自分が勝手に膨らませた物なんて、妄想に過ぎない。
その妄想に足を取られていては前進しないし、時間が勿体ない。
言う事を決めたら渋る余地が出来ないよう、勢いを使う。

書いていて、貴重な経験を思い出す事ができました。
今回もご覧頂きありがとうございます。

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