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[DET]Gregory SotoをPHIへトレード

お久しぶりです。遅くなってしまいましたが、新年明けましておめでとうございます。早いもので、合同note企画に参加させて頂いてから3年目となりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、DETは現地時間1月7日に、昨年NLを制覇したPHIとのトレードを成立させました。今回はこのトレードを振り返っていきたいと思います。トレード成立から2日経っており新鮮味はないかもしれませんが、よろしければお付き合いください。

トレード内容

一昨年からクローザーを務め、オールスターに2度選出されたGregory Sotoをメインパッケージとして、PHIから3人の野手を獲得しました。

Baseball Trade Valueによれば今回のトレードのバリューは以下の通りで、DETが大きく得をした形となっています。ただSotoの価値が低すぎる気もするので、あくまで参考程度に。

獲得選手

Matt Vierling

MLB公式サイトより
Baseball Savantより

見返りのメインであるVierlingは昨年がデビュー2年目で、外野を中心に117試合に出場。打球角度が悪く、アプローチに難があることなどから、成績は思うように伸びませんでした。また、かなりの俊足ではあるものの、最も多く守ったCFのDRSは−7と、守備にもやや難ありといった印象です。一方で打球速度やハードヒット率は非常に優秀なので、新天地での才能開花に期待です。

DETのCFは昨年同様トッププロスペクトのRiley Greeneが務めることが予想されるので、Vieringは両翼を守ることになるでしょう。外野は他にAustin MeadowsAkil BaddooKerry Carpenterらがいますが、彼らは全員左打者であり、左右のバランスを考えても右打者であるVierlingの獲得は悪くない補強だったと思います。

Nick Maton

MLB公式サイトより

Matonもデビュー2年目の選手で、昨年は85打席とサンプルは少ないものの5本塁打、OPS.855、WRC+135を記録しています。MLBでは主に外野を守っていましたが、3Aでは内野を中心に守っており、ユーティリティの役割を任せられることになりそうです。

また、Jeimer Candelarioの退団で3Bが空位となっているため、昨年デビューしたRyan Kreidrer、先日BALから金銭トレードで獲得したTyler Nevin(現LAA監督Phil Nevinの息子) らとこの座を争うことになるかもしれません。

Donny Sands

MLB公式サイトより

Sandsは元々NYY傘下の選手で、2021年オフにトレードでPHIへ移籍。昨年は3Aでの57試合でOPS.841と高水準の成績を残し、9月にMLBデビューしています。

DETの捕手事情は非常に苦しく、彼以外で現在のロスターには20本塁打前後が見込めるものの守備に難があるEric Haase、守備の評価は高いもののTJ手術明けでコンディションに不安が残るJake Rogersの2名のみ。FAでもめぼしい捕手に尽く逃げられ、同地区の他球団にChristian Vazquez(MIN)、Mike Zunino(CLE)といった大物の補強を許しています。

Sandsは昨年MLBで僅か4打席しか立っておらず、開幕は3Aで迎える可能性が高いですが、上記の通りHaaseもRogersも絶対的な存在ではないので、少なからず出番はありそうです。

放出選手

Gregory Soto

MLB公式サイトより
Baseball Savantより

Sotoは2019年にデビューし、2021年途中からクローザーを務めると、同年から2年連続でオールスターに選出されています。昨年起こった「ミネイロンの惨劇」ならぬ「ミネソタの惨劇」の被害者としても有名ですね。

彼の長所は同じ左腕のAroldis Chapmanを彷彿とさせる豪速球で、平均98.7mphのフォーシーム、同98.1mphのツーシームを多投して打ち取っていきます。昨年は64試合に登板し、自己最多の30セーブを記録しました。

一方で制球は壊滅的で、登板すれば高確率で得点圏に走者を背負う劇場型。ハードヒットされることも多く安定感は皆無で、昨年も11敗というクローザーとしてはあるまじき数字を残してしまいました。現地ファンからの評価も総じて低く、今回のトレードの際も放出に肯定的な意見が多かった印象です。

とはいえ、デビューから4年で2度のオールスター選出は立派ですし、少なからず愛着のある選手だったのでやはり寂しいですね。PHIには同じ速球派左腕のJose Alvaradoもいますし、彼との競演も楽しみです。新天地でのさらなる活躍を期待しています。

Kody Clemens

Clemensはその名の通り、CY賞7度の大投手Roger Clemensの息子です。昨年5月にデビューし、1Bや3Bをメインに56試合に出場。二世選手ということもありファンからの人気は高く、度々敗戦処理に駆り出されていました。大谷翔平から三振を奪い、満面の笑みを浮かべていたのが印象的です。

打撃では5本塁打を放つなどパンチ力はまずまずですが中々バットに当たらず、MLBレベルの投手相手には通用していないというのが現状です。とはいえ元々はドラフト3巡目指名、高いポテンシャルを秘めていることは間違いないので、PHIで魔改造されて活躍することを願っています。

チームの狙いと今後の見通し

DETは昨年12月にセットアッパーのJoe JimenezをATLへ放出したのに続き、ブルペンの主力をアセットとしたトレードを敢行しました。昨年のトレードデッドライン後から新たに編成部門のトップに就任したScott Harrisはウィンターミーティング前の会見にて「リリーバーのトレードオファーを数多く受けており、今後トレードが成立する可能性は高い」と話しており、まさにその通りの展開となりました。

元々このオフの最重要課題として、昨年30球団ワーストのWRC+85、fWAR2.5という貧打に終わり、加えて正三塁手のJeimer Candelario、ユーティリティのHarold CastroWill Castro(兄弟ではありません)の3人がノンテンダーになってデプスがごっそりと空いていた野手陣のテコ入れが挙げられていましたが、いざオフシーズンが始まるとMatt BoydMichael Lorenzenら先発投手の補強は行ったものの、野手の方はウェイバーからのクレームやマイナー契約ばかり。元オールスターのJean Seguraに対し熱心にアタックするも、地理的要素でMIAに敗北したといったニュースもあり、FA補強の難航が今回のトレードの原因となった可能性は高いです。

「あと3年保有できるSotoを今売る必要があったのか?」という疑問はありましたが、HarrisはSotoをあまり信頼しておらず、「トレードされないまま、今年成績を落として価値が下がるリスクを避けたかった」とのことです。ひとまず、野手陣に空いていた穴を埋めることができたのはよかったですね。

一方でセットアッパーとクローザーを失い、ブルペン事情はかなり苦しくなってしまいました。JimenezとSotoに加え、昨年64試合登板に登板したAndrew ChafinもFAとなっており、彼ら3人の穴は非常に大きいです。個人的にはChafin、昨年のデッドラインでトレードしたMichael Fulmer(現在FA)を呼び戻すのもアリかなと思っていますが、現状はAneurys ZabalaChasen Shreveの両リリーバーとマイナー契約を結んだのみ。昨年チーム最多の71試合に登板したAlex Lange、60試合登板のJason Foley、59試合登板のWill Vestら、若くコントローラブルな現有戦力のさらなる飛躍に期待しているのでしょう。

最後に

フロントが変わったばかりで、正直Scott Harrisがどういったチームを作っていきたいのかまだ不透明な状況ではありますが、このトレードを含めたオフの動きを見る限り、おそらく今年も我慢の1年となりそうです。

今回のトレードで獲得した3選手はコンテンダーのPHIにいた頃よりも多くの出場機会を得られるでしょうし、彼らの中からブレイクしてレギュラーに定着する存在が現れてほしいですね。

長文になってしまいましたが、ここまでお読み頂きありがとうございました。

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