見出し画像

祖母とスマホ

祖母がガラケーからスマホに変えた。
一人でショップへ行き、ポイントを使い、また2年の契約を結んだ。これでもう15年ほど同じキャリアを使っていることになる。

祖母の話を聞き契約書を見ると、いくつかのオプションをつけられていた。祖母にとって必要でないものだったが、耳の悪い(それでいてプライドの高い)祖母は、勧められるまま契約してしまったらしい。
いらなそうなものは解約したが、祖母はきっと何が以前と変わったのか分からないだろう。

夜、祖母がYouTubeの説明を求めてきた。動画や音楽を視聴したいと言う。祖母の入っているプランでは、1Gを超えた時点で値段が変わるものだったため、あまりオススメしないと言った。
「それじゃあ、あんまりガラケーと変わらないのね」とスマホを見つめながら呟く祖母。胸が締め付けられた。
意味のわからないスマートフォンに変えたことは、一大決心だったに違いない。データ通信やSMS、LINEなどのアプリのこともよく分かっていないのに、なんとか周りの友達に置いていかれないように頑張ったに違いない。
なんだか自分が酷く心無いアドバイスをしてしまったようで、暗い気持ちになった。

祖母は優しくて頭の回転も早く(手前味噌気味だが)、80を過ぎた今でも先生のような立場でいたって健康。なのに、スマホやパソコンなどの電子機器に対しては本当の老人のようになってしまう。
それがなぜだか悔しくて、切なくて、やりきれなかった。こんなことで自信をなくしてほしくない。おばあちゃんはスマートフォンを巧みに操れることよりずっと良いところがあるよ。

Googleをゴーグルと呼んでいる祖母に、今度手芸を教えてもらおうと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?