日本共産党 志位和夫委員長の記者会見(2015.9.19)ほぼ完全書き起こし

ライヴ配信URL https://youtu.be/Lba3lId_gI

(※会見後の記者からの質問などは省いています)

本日未明、安倍自公政権による戦争法の強行という事態が起こりました。これは戦後最悪の違憲立法です。同時にこれに反対する新しい国民運動が空前の規模で起こってきています。そういう新しい局面に立って日本共産党として国民の皆様への呼びかけというかたちで戦いの基本方向を示す必要があると考えました。

重要な問題提起、方針提起になりますので、今日ですね、午後1時から緊急の第四回中央委員会総会を開いて方針を議論し、全会一致で方針を決定いたしました。広く国民の皆さんへの呼びかけをですね、私の提案というかたちで今日発表させていただきます。

文書でお配りした通りですが、提案に即して冒頭に説明させていただきたいと思います。まず提案の前文で今日未明に行われた安倍自公政権による安保法制、戦争法の強行に満身の怒りを込めて強くこれに抗議するという意思が表明しております。同時にですね、戦いの希望が見えてきたということも強調しております。戦争法案の廃案を求めて国民一人一人が主権者として自覚的、主体的に自発的に声をあげ立ち上がるという戦後かつて無い新しい国民運動が広がっている。昨日も未明まで国会を取り巻いて多くの若い方々が声をあげました。

これは戦後かつて無い新しい国民運動であって、日本の未来にとっての大きな希望だと私たちは考えています。それともう一点、こうした国民の声、国民の運動に応えて野党が結束して法案成立阻止のために戦ったことも大きな意義を持つものだと考えます。

今回の通常国会では戦争法案との関係で衆議院段階で二回、参議院段階で三回の野党党首会談が行われ、強引な採決に反対する、あるいは共同して成立を阻止する、こういう重要な位置というものを確認し、最後まで結束して戦いました。そして昨日、朝9時からの5党党首会談では野党が一致して不信任案、問責決議案を提起するということを確認するとともにもう一点、この法案の帰趨がどうなろうとも今後もこの間の積み重ね、共闘の積み重ねを踏まえて野党共闘を発展させる。

とくに憲法の平和主義、立憲主義、民主主義、これを守るという立場で野党共闘発展させるということも昨日の党首会談で合意を得たということは大変重要なことだと考えております。そういう国民運動の大きな発展、そして野党共闘の発展、これを踏まえて今回の呼びかけを作成させていただきました。

そしてこの戦いというのは与党の横暴によって止まるものでは決してありません。逆に今回の与党の暴挙は国民的な戦いを促さざるを得ないだろうと私たちは考えております。そういうことを踏まえて三点の呼びかけを国民の皆さんに今回私たちしていきたいと考えます。

第一は戦争法、安保法制を廃止し、安倍政権を打倒する戦いをさらに発展させようということであります。戦争法・安保法制は政府与党の数の暴力で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは絶対にできないものだと考えております。今日の提案では三点に渡ってそのことを述べています。第一の点は憲法の平和主義を壊す違憲立法だということです。私の提案では何よりも戦争法は日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。戦争法に盛り込まれた戦闘地域での兵站、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器使用、そして手段的自衛権行使、そのどれもが自衛隊の海外での武力行使への道を開く、憲法9条の蹂躙であると。こう述べ、日本の平和と国民の命を危険に晒すこのような法律を一刻たりとも保持するわけにはいかないということを訴えております。

第二の点は立憲主義の破壊という点です。戦争法に対して圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、そして最高裁長官を務められた方も一致して憲法違反と断する状況が生まれました。このような重大な違憲立法が存続するということになりますと、立憲主義・民主主義・法の支配これがですね、つまり我国の存立の度合いが根底から覆されることになりかねない。すなわちですね、法治主義が壊される、法の支配が壊されるということは、これは独裁政治への道であります。これは一刻もそういう点でこの法律を存続させるわけにはいかない、立憲主義という点からも存続させるわけにはいかないというのが第二の点です。

第三の点は国民主権の民主主義を破壊するものだということです。安倍首相は国会での多数の議決だからこれは民主主義だと繰り返したわけでありますが、昨年の総選挙で自民党が獲得した比例代表の得票率というのは有権者比で17パーセントです。6割以上の国民が今国会での成立は反対と訴えたこの法案をですね、たった17パーセントの支持しか得ていない政権党が強行する権利はない。これは本当に国民主権の民主主義という見地から見ても法律の正当性を欠くということを言わなければなりません。国民主権の民主主義という日本国憲法の一番の根幹を崩すものだと。このですね、平和主義の破壊、立憲主義の破壊、そして民主主義の破壊、この三つの点で戦争法は一刻も早くこれは廃止しなければならない。こう私たちは考えております。

この私の提案では次のように呼びかけています。『憲法違反の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す新たな戦いを起こそうではありませんか。安倍政権打倒の戦いをさらに発展させようではありませんか』と訴えております。

第二の点であります、それは戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が協同して国民連合政府を作ろうという呼びかけです。憲法違反の戦争法を廃止するためにはどうしたらいいか、衆議院と参議院の選挙で廃止に賛成する政治勢力が多数を占め、国会で廃止の議決を行うことが不可欠です。ただ同時にそれだけでは足りません。同時に7月1日、昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回しなければならない。これはどうしても必要になります。この閣議決定が残っておりますと、まさに自衛隊の海外での武力行使を根っこの部分が残ってる。これを撤回しないと根が絶てないわけですね。ですからこの二つの仕事を確実にやり遂げる必要があります。戦争法の廃止と閣議決定の撤回と。二つの仕事を確実にやり遂げる必要がある。それを考えましたらね、安倍政権を退陣に追い込み、これらの課題を実行する政府を作ることがどうしても必要になってきます。これは私どもの主張に留まらず、広くいま起こっている主張であります。

東京新聞の2日前のインタビューで憲法学者の長谷部泰男さんがこうおっしゃっています。『これからどう戦っていくか、最後は政権を変えるしかないと思う。今回の安保法制を廃止する法案を提出して成立させるだけでは駄目で、集団的自衛権行使を容認した閣議決定を間違っていたと、元に戻してもらわないといけない。おかしな政権を倒さないといけない』 政権を変えるしかない、これが必要なんだということをおっしゃっていますが、私たちもまったく同感であります。この課題を実行する政権を作る必要があります。

私たちは今回の提案で次の呼びかけております。『戦争法廃止、立憲主義を取り戻す。この一点で一致する全ての政党・団体・個人が協同して戦争法・安保法制廃止の国民連合政府を樹立しようではありませんか。この旗印を高く掲げて安倍政権を追い詰め、すみやかな衆議院の解散総選挙を勝ち取ろうではありませんか』このように呼びかけております。戦争法廃止、立憲主義を取り戻す、この一点での国民連合政府を作ろう、そのために安倍政権を追い詰めて一刻も早い解散総選挙を勝ち取ろうという呼びかけをしております。

その後のパラグラフはこの連合政府の任務および政府について述べています。この連合政府の任務は集団的自衛権行使の閣議決定を撤回し、戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す、これを任務にした政権です。次にこの連合政府の性格付けでありますが、この連合政府というのは戦争法の廃止と立憲主義を取り戻すという一点での合意を基礎にした政権ですから、その性格は当然暫定的なものになります。私たちは戦争法廃止という任務を実現した時点でその先の日本の進路については解散総選挙を行い、国民の審判を踏まえて選択するべきだと考えております。

そのうえで次のパラグラフでありますが、野党間の協力をどう進めるかの基本的な考え方を記してあります。野党間には日米安保条約への態度をはじめ、国政の諸問題での政策的な違いが存在します。存在することは確かです。しかしそうした違いはあっても、それは互いに留保、凍結して憲法違反の戦争法を廃止し、立憲主義の秩序を回復するという緊急重大な任務で大同団結しようというのが私たちの今回の提案であります。さまざまな国政上の立場の違いはあっても、それは横に置いて互いに留保・凍結して戦争法を廃止し立憲主義の秩序を回復する、この大問題で大同団結しようじゃないかという提案です。

そしてその他の国政上の問題をどう解決するかと。私たちはこの緊急重大な任務での大同団結を図れるならば当面するその他の国政上の問題についても相違点は横に置き、一点で合意形成を図るという原則に立った対応が可能になると考えます。その点でひとつ私たちが重要と考えているのは野党5党の間で安倍政権打倒という点では政治的な合意があるわけですね。安倍政権打倒という立場で内閣不信任案を提出したわけですから。安倍政権を退陣に追い込むと。これは野党5党で政治的な合意があるわけです。

ですから安倍政権がやっているさまざまな国民の民意に背く色んな暴走、これを止めるという点では色んな政治的な合意や一致点が形成するのではないかと私は考えております。最後にこの項でこの連合政府の政治的な意義について次のように述べています。 『この連合政府の任務は限られたものですが、この政府の下で日本国憲法の精神に即した新しい政治への一歩を踏み出せるならば、それは主権者である国民が文字通り国民自身の力で国政を動かす一大壮挙となり、日本の政治の新しい局面を開くことになることは疑いありません』 さきほどこの連合政府の任務は限定的なもので暫定的なものだと言いましたが、しかしそれは決して小さな問題じゃありません。

戦争法を廃止し立憲主義を取り戻すというのは日本の政治の心臓部、根幹の問題です。ですから一番の心臓部、根幹の問題で、もし国民の声に即して政権が作られ、そして政治を展開するということに踏み出すならばこれは大きな壮挙として、また新しい政治の展開がそこから始まってくるというものとしてですね、これを私たち是非、実現を図るために努力をしたいと考えております。

第三の呼びかけはこの戦争法廃止の国民連合政府で一致する野党が国政選挙で選挙協力を行おうという呼びかけであります。来るべき国政選挙、衆議院選挙と参議院選挙で戦争法廃止を掲げる勢力が多数を占め、連合政府を実現させるためには野党間の選挙協力が不可欠になってまいります。私たちはこれまではですね、国政選挙での野党間の選挙協力を行うためには選挙協力の意思と共に国政上の基本問題の一致が必要になるという態度をとってきました。ただ同時に昨年の総選挙の沖縄1区2区3区4区の小選挙区で実施したように米軍新基地施設反対を掲げて選挙協力やったわけでありますが、国民的な大義が明瞭になった場合には政策的違いがあったとしても、それを横に置いて柔軟に対応するということもこの間、実行してまいりました。沖縄でそれを踏み出したわけであります。

沖縄では保守・革新の垣根を越えた選挙共闘をやりました。ですから一番大きな違いは日米安保条約に対する違いです。日米安保条約を肯定される保守の方とも私たち日米安保条約破棄の立場ですが協力したわけですね。横に置いて協力した。しかし、しっかりとした協力ができた。なぜならば沖縄にはまさに国民的大義、県民的大義、これが明瞭だったからです。

それじゃ国政ではどうか。いま私たちが直面している戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すという課題はですね、文字通りの国民的な大義を持った課題だと思います。ですからそういう状況を踏まえて私の提案では次のように表明しました。 『日本共産党は戦争法廃止の国民連合政府を作るという国民的大義で一致するすべての野党が来るべき国政選挙で選挙協力を行うことを心から呼びかけます。そして党としてその実現のために誠実に力を尽くす決意も表明したいと思います』 こういう立場で選挙にも臨んでいきたい。こう思います。

提案の最後は国民の皆さんへの呼びかけでありますが、これを読み上げて最初の発言にしたいと思います。 『この間の戦争法案に反対する新しい国民運動の歴史的効用は戦後70年を経て日本国憲法の理念、民主主義の理念が日本国民の間に深く定着し、豊かに成熟しつつあることを示しています。国民一人ひとりが主権者としての力を行使して希望ある日本の未来を開こうではありませんか。すべての政党・団体・個人が思想信条の違い、政治的立場の違いを乗り越えて力を合わせ安倍自公政権を退場させ、立憲主義・平和主義・民主主義を貫く新しい政治を作ろうではありませんか』 こういう呼びかけで結んでおります。

この三点でのぜひ、国民的大きな協同を作っていきたい。第一点は戦争法廃止、安倍内閣打倒の戦いをさらに発展させるということ。第二点は戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が協同して国民連合政府を作ろうということ。そして第三点は戦争法廃止の国民連合政府で一致する野党が国政選挙で選挙協力を行おうと。この三点の呼びかけで今日、中央委員会で確認し、そしてぜひこういう立場に立って中央段階でも地方の段階でも各会の方々に或いは中央段階では政党・団体・個人の皆さんに私たちの考えをお伝えし、合意形成に努めたいと思っております。以上です。