今日は何の日

平日の夕方、ラッシュになる前の時間帯。体が触れない程度に満遍なく人が立っている車内に私服の女の子たちがいた。
今から遊びに行く感じで、小さなショルダーバッグを肩からかけていたり、いま流行りの丈の短いトップスを着ていたり、みんな精一杯おしゃれをしている。

今日は定期試験の最終日とかで学校が早く終わったのかな。

乗り換えの駅にまもなく到着するとのアナウンスがあって席を立った。
女の子たちの間をすり抜けて出口に向かう際、ひとりの足をコツンと蹴ってしまった。「ごめんなさい」と謝ると、「大丈夫ですよ」とやさしい声が聞こえた。
最近の若い人ってやさしいな。

乗り換えのホームに向かう途中で、ご高齢らしい紳士が「またな」と肩を叩き合っている光景に出くわした。改札を出ると飲食店が立ち並ぶアーケードがある。そこで久しぶりにお顔合わせでも楽しまれたのだろうか。人生の大先輩たちはアルコール臭を漂よわせて名残を惜しんでいた。
平日夕方のまだ5時になっていない時間のことである。

今日は何か特別な日だったのだろうか。