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YouTube配信「マンダンラジオ」は面白いぞという話

私はあんまりYouTubeをよく見る人間ではないのですが、例外的に追っかけている配信に「マンダンラジオ」があります。今回は「マンダンラジオ」が超面白い!という話をしたいと思います。


「マンダンラジオ」とは?

プロの漫画家の安藤正基さんとちるとさんが月一回配信しているYouTubeの番組です。安藤正基さんのYouTubeチャンネルですべての配信がアーカイブされているので、追っかけたい人はこちらを参照ください。

もともと「マンダンラジオ」という配信だったのが、途中でリニューアルされて「マンダンラジオ2P」という名前に変更となりました(この記事では両者を合わせて「マンダンラジオ」と呼ぶようにします)。

安藤正基さんとちるとさんが、漫画に関してテーマを決めて対談するという形式です。概ね月一回、月末に配信されており、ふた月に一回程度はゲストにほかの漫画家さんを呼んで3人ないしはそれ以上で配信されています。
(旧「マンダンラジオ」時代は、司会は安藤正基さんだけで、しかもほとんど毎日?配信されていたこともあるようですが…。)
旧「マンダンラジオ」の初回配信は2018年の10月なので、もう8年くらい続いている長寿番組です。

司会の安藤正基さんとちるとさんはどういう人なのか

  • 安藤正基さん
    代表作:八十亀ちゃんかんさつにっき
    「八十亀ちゃんかんさつにっき」は名古屋あるあるネタが盛りだくさんなご当地漫画です。アニメ化もされていて4期!まで放映されたヒット作品となりました。下記リンクから数話試し読みができるので読んでみましょう。
    なお、ご本人はかつてラブライブの同人誌を出しており、界隈ではかなりの有名人だったそうです。あと、かつてメイプルストーリーというMMORPGにはまっていた時期があり、その時のハンドルネームが「漆黒閻魔」だったというのは豆知識です。

  • ちるとさん
    代表作:とっても優しいあまえちゃん!
        先輩!俺の声で癒されないでください!
    「とっても優しいあまえちゃん!」は漫画家志望のダメ人間(大学受験に2回失敗)が巨乳の小学生にひたすら甘やかされるという作品。「先輩!俺の声で癒されないでください!」は女の子のような声をした男子高校生が、好きな先輩女子高生にエロい台本を音読させられる話。どちらもパンチのきいた作品で、下記リンクから試し読みできます。私は「先輩!俺の声で癒されないでください!」が大好きだったのですが、残念ながら打ち切りになってしまったそうです。
    これ以外にも趣味で?「食人計畫」という漫画をpixivで連載したり、ライトノベル「荷物持ちの脳筋無双」を出版したりとかなり多作な漫画家さんです。
    同じ体の中に「あおひも」という別人格を宿していて、こちらは18禁同人漫画で活躍なさっているそうです(設定間違っているかも)。この「あおひも」というのは、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のヘスティアというキャラクター由来とのことです。


「ダンまち」のヘスティア。青い紐、固定もされていないのですぐにずり落ちたりすっぽ抜けたりしそうです。(https://danmachi.com/より)

そもそも何が面白いのか

もともとこの「マンダンラジオ」は漫画家さんが作業中にながら見することを想定している番組なので、私のような旧財閥系メーカーの技術系課長職とかいう超非クリエイティブな人間は完全に想定視聴者の範囲外です(毎日のようにやっているパワポでの紙芝居づくりを「クリエイティブな仕事」と呼ぶなら別ですが)。実際、知っている漫画家さん二人が配信しているからあまり期待せずに興味本位で見始めただけなのですが、基本的にハズレ回なしといってもいいくらいに面白くてハマってしまいました。
毎回テーマが異なっており、面白さの種類もその時によってまちまちなのですが、代表的なものを挙げてみます。

プロの漫画家さんの仕事環境が見られる

【#7】『漫画家の作業環境を見てみたい!!』

この回は漫画家さんの作業机周りがどうなっているかについて、何人かの例を見せてくれる回です。今の漫画家さん、ほとんどの方がもうデジタルに移行しているのですね…。
圧巻は、当時週刊連載中だった猪ノ谷言葉さん。
https://www.youtube.com/live/o23fBlrUntY?si=XCOEUj0x6epDOgSQ&t=1875
超広い部屋の壁においてある本棚に漫画がぎっしりと並んでいます。
また、今回唯一のフルアナログ漫画家だった、荻野純さんもすごいです。
https://www.youtube.com/live/o23fBlrUntY?si=iXkrc0YnYKtE6Bzt&t=2990
とんでもないフィギュアの量。そして、作業机の前に貼ってある紙に書いてあった意外な情報には、ちょっと笑ってしまいました。

【#26】『プロのデジタルの画面構成を見てみたい!!』

こちらは、デジタル画面(クリップスタジオやコミックスタジオ)の画面を公開する回。ソフト自体が相当高機能なのですが、そのために誰も全部を使いこなせていないようです。相互に参考になる使い方をまねしあう様子が面白いです。
そのような中、安藤正基さんはとにかく楽をするための機能を使いこなしていて、これらについての解説はまさに独壇場です。
https://youtu.be/lbTF_3D5EgE?si=cQ4x2vlswOfcHXy2&t=940

生々しい裏話を聞くことができる

【#9】『打ち切りってどんな気分!?』

【#38】『打ち切りってどんな気分!?2』(ゲスト:平方昌宏)

どんな気分もこんな気分もないだろ!という話ではありますが、安藤さんもちるとさんも打ち切り経験者だけあって、なかなか重みのある話を聞かせてくださいます。『打ち切りってどんな気分!?2』では、ゲストの平方昌宏さんがうちきりの電話を受けたときの心境を、臨場感たっぷりに再現していて、自分事ではないのに心がキュッとなります。
https://www.youtube.com/watch?v=BiNCWSTvF9g&t=516s
あと、マシュマロの質問

今連載中なのですが、打ち切りが怖いです。
読者の反応とか芳しくない感覚が結構あるのですが、楽になる方法とかありますか。

というのは激重ですね…。
https://www.youtube.com/watch?v=BiNCWSTvF9g&t=2808s

【#1】『神絵師は神絵師としか仲良くしないの!?』

この回では、途中で安藤さん、ちるとさんが下積み時代の苦労を語っています。
https://www.youtube.com/watch?v=TcUZanOhZYs&t=1947s
2か月おきにコンペに出して8回連続で落ちて、16か月雑誌に載らなかった話もすごいです。

【#11】『編集となに話せばいいかわかんねぇ!!』

この回は、安藤さんが下積みのころ、担当にギャグマンガの原稿を見せたところ「安藤君には才能がない」と言われた経験が語られます。
https://www.youtube.com/watch?v=iLYzy6ATvTs&t=1463s
私はサラリーマンとしての安定した人生しか歩んだことないのですが、世のクリエイターはこういう経験している人も多いのかと思うと、本当に大変だと思いますよ。

週刊連載をやっている方の恐ろしいスケジュールを知ることができる

【#2】『週刊連載作家っていつ休んでんの!?』(ゲスト:猪ノ谷言葉)

3日で20ページ…。ちゃんと週休二日を確保しているのがまたすごいです。コメント欄で漫画家さんが「嘘だ」とか言っているのがまた面白いです。(スパナマークがついている方は、プロの漫画家さんです)
https://www.youtube.com/watch?v=Q87ajGSZ_ao&t=634s

【#42】『一大ジャンル「ギャル漫画」の魅力を聞こう!!』(ゲスト:植野メグル)

こちらも一日8ページペン入れが標準。たぶん週刊連載する人はそんなものなのでしょう…。
https://www.youtube.com/watch?v=zzeNHk5fNVQ&t=2038s

漫画家さんのお金事情を知ることができる

【#25】『アニメ化したら漫画家はどれだけ儲かるの!?』

原作使用料、コラボ、書下ろし案件、キャラデザ、イベント出演料、そしてアニメ化に伴う既刊単行本の重版など…。さすがに具体的な金額は教えてくれないですが。
https://www.youtube.com/live/2Jhvdb2JG6A?si=RAKWhUrIqmSpJ773&t=1923

【#29】『連載終わった漫画家は今何してんの!?』(ゲスト:猪ノ谷言葉)

こちらは印税について相当詳しく教えてくれます。当たればでかい商売ですね…。ただ、何千万部の単行本を売るというのは想像もつかない世界です。
https://www.youtube.com/live/MkrKwM6zGX8?si=XvyTttwNqW2M6-LU&t=450

ほとんどほかで露出のない漫画家さんが出演している

これはもう、ページ貼り付けだすときりがないので絞りますが、彗星のように突然現れて画力を見せつける「ふたりソロキャンプ」の出端祐大さん、とんでもない数の登場人物をかき分ける「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」の野澤ゆき子さん、ハードSFのような要素もありながらも親しみやすい作品で人気となった「亜人ちゃんは語りたい」のペトスさんなど…。
どれも私が好きな漫画です。(「ふたりソロキャンプ」「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」はまだ連載中なので追っかけています)

【#14】『アウトドア派の漫画家って実在するの!?』(ゲスト:出端祐大)

【#22】『「100カノ」の作画カロリーヤバくない!?』(ゲスト:野澤ゆき子)

【#34】『「亜人ちゃんは語りたい」を語りたい!!』(ゲスト:ペトス)

それはそれとして、そもそも話がうまくて面白い

安藤さんもちるとさんも本職は漫画家さんで、「マンダンラジオ」ではほとんど儲けていない(多少はスパチャが飛んでいるようですが)のですが、やけに話がうまくて面白いです。特に面白いのが、彼らの話術から引き出される漫画家さんたちの裏話。いくつか気に入ったエピソード貼り付けます。

マンダンラジオ#5「バクマン。ってどこまで本当なの!?」(ゲスト:平野稜二)

コメント欄の要望に応えてホーミーを披露したところ、まるでスベったみたいな雰囲気になってしまった平野稜二さん。
「載んのかこれ、ネットに」と後悔しています。
https://www.youtube.com/live/PAEK_3qb9Lc?si=wMPds35kkHCpISGo&t=3343

【#3】『漫画家とニートの境ってどこ!?』

前述の「先輩!俺の声で癒されないでください!」の連載が決まったときに、共通の友達からコメントを集めたものです。ちるとさんとの出会いから思い起こしたコメントや、祝電のような超感動的なコメントなど。一聴の価値ありです。
https://www.youtube.com/watch?v=UhnO6yeOZcQ&t=4622s

【#16】『絵と話の比重ってどれくらい!?』(ゲスト:笠間三四郎・植杉光)

原作:笠間三四郎さん、作画:上杉光さんのペアですが、連載前に上杉さんが笠間さんに借りた100万円を、金が入った後に返済するかどうかを悩むという話。結局返済するのですが、その理由が上杉さんが高いお金を出して買ったものを自慢したいが、返済しないとわだかまりなく自慢できないという理由でした。両者の信頼関係あってのことですが。
「マンダンラジオがめちゃくちゃ有名になって切り抜きとかでたら、そこだけ切り取らないでください」は名言だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=zXMUWYS1-ps&t=2944s

【#42】『一大ジャンル「ギャル漫画」の魅力を聞こう!!』(ゲスト:植野メグル)

これは、さきほど「週刊連載をやっている方の恐ろしいスケジュールを知ることができる」のところでも紹介した回ですが。
「その着せ替え人形は恋をする」の作者福田晋一さんが女性であることに触れて、女性が書くギャルがナチュラルでよいという話です。植野メグルさんの「オイシイ!」という発言に実感がこもっていて好きです。
https://www.youtube.com/live/zzeNHk5fNVQ?si=iny06tsPyyyR8Elz&t=840

まとめ

できるだけ多くの人にマンダンラジオを見てもらうことで、できるだけ長く続いてほしいなと思ったりします。また、私は漫画家さんではないので見るしかできないのですが、持ち込み企画などやる方が出てくれいないかなと思ったりもします。
とくにゲストが来て3人以上で対談する回は、基本的に画面を見ずともおおむね話が通じるので、ながら聞きでもいいので一回どんなのか見てもらえるといいな…というのが希望です。

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