修道女と異能バトルが好き

修道女と異能バトルが好き

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  • CREDO QUIA ABSURDUM

    修道女、異能、バトル そんなかんじ

最近の記事

チューリップ、ヒマワリ、カエル

 色の変わるタイプのチューリップは見てて楽しい。でも咲き始めの淡い色のほうが好き。  あとスギナ生えすぎ問題。  あと先週蒔いたヒマワリが発芽した。早い。

    • ヒマワリ蒔いた

       ホームセンターでヒマワリの種を発見。そういえば植えたことなかったので衝動買いしました。  スギナの成長がすごいのだけど、チューリップを散発的に植えているせいで草むしりがしづらい。

      • チューリップ、ムスカリ、スズランほか

         旧Twitterくんからの避難先として、noteに日記的なのも投稿することにした。まあ、そもそも大して書いてないのだが。  草むしりの季節になってきたのが面倒くさいです。草々。 追記

        • CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑨終

          ← 前の話 † 「臭い取れた!?!?」  全身の泡を流してメリーはオルレアに訊いた。 「分かんないです……」  修道院へ帰ったメリーは何よりもまず浴室へ飛び込んだ。地下水路に入っただけでなく、そこで汚水に塗れながら一戦交え、さらに数時間血まみれになりながら探索したのだ。うら若き少女にとって、自身から凄まじい臭いが発散されていることは耐え難いことだった。 「一応もう一回洗っておこうか……。ユーリも……」メリーは石鹸を泡立てて鉄鎚を擦りはじめる。「何度洗っても砂が出て

        チューリップ、ヒマワリ、カエル

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        • CREDO QUIA ABSURDUM
          21本

        記事

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑧

          ← 前の話 4†  怪物は地の底で目を開けた。眠ってはいなかった。正確には、眠ることができないのだ。彼の耳元では常に死霊達が囁き、まどろみに沈むことを許さなかった。  太陽を浴びたあの日、彼は死んだ。死んだはずなのに、肉体に魂が縛られている。生命活動を停止した身体は、生物としての基本的な欲求を埋めずとも維持できた。しかしそれは、満たせぬ飢えの始まりでもあった。  彼はかつての同族を喰らった。飢えは治まらなかったが、その生を取り込むことで再び身体に火が灯ると信じて……。堰き

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑧

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑦

          ← 前の話 †  メリーは大穴から続く通路を歩いていた。通路は徐々に横幅が狭まっており、遺体と巨大な鉄鎚を抱える彼女は通るのに少し苦心した。壁はモルタルを固めたかのように不均等な凹凸とザラつきが目立っている。どうやら、元の形を意図的に狭めたものらしい。この狭さなら、あの怪物は通れないな──メリーはふと、そんなことを思った。  しばらくすると、道の先から僅かに暖かな空気が吹き抜けるのを感じた。  通路の終わりが近い──そう感じた瞬間、前方が開けた。 「これは……!」  

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑦

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑥

          ← 前の話 †  ヴィネダ第七東港湾区──古い名前でスカルニクと呼ばれるこの一帯は、昔から川湊として栄えたが、その分、かつては水難者も絶えなかったという。舟から落ちた者、魚釣りへ出て帰らなかった者、下水道を直そうと地下へ潜った者などはよく、ウトピェクの仲間になった。  ウトピェクというのは、水辺で死んだ者の霊のことだ。彼らの肌は水を吸ってふやけているため、まるで二月の雪のように白かった。そして、チャルノ川の黒い水底に沈んでいるため、息ができなくて目が真っ赤に充血していた。

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑥

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑤

          ← 前の話 3† 「まったく……」  アレクサンドラは一つ嘆息すると、自宅へ帰るかのような気安さで聖ミコライ教会の敷地へ入り司祭館の裏口を開けた。付近の台所で作業をしていた神父が、驚いて顔を上げる。 「これは……シスター! いかがなされましたか?」 「すみませんが、また電話を借りますよ」 「それは……構いませんが……」  あっけに取られた神父だったが、修道女の後ろに薄汚れた男が立っていることに気がついた。一瞬不審そうに眉を顰め、すぐに記憶の回路が繋がった。 「

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ⑤

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ④

          ← 前の話 † 「修道、女……? どうして、こんな所に……」  壁にしがみつくように立つ男──ベネディクト・フロレクは、メリーの黒衣を上から下まで何度も視線を動かした。無理もない。普段は閉鎖されている地下水道、いくら聖アントニウスの後ろに続く者とは言え、修行の場とするには厳しすぎる。  メリーは怯える男の目を見つめ、ゆっくりと一単語ずつ明瞭に名乗った。 「わたしはメリー。降下教会の修道女です」  彼女の言葉に、フロレクは僅かに目を見開いた。 「降下教会……というこ

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ④

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ③

          ← 前の話 2†  首都ヴィネダを横断する大河、チャルノ川。その広大な川幅の上では無数の船舶が往来し、両岸では大小さまざまな埠頭やドックが口を開けている。慌ただしく陸上と船上を行き来する沖仲仕たち、豪奢な外装の蒸気船とそこからゆったり降りてくる婦人たち、赤レンガの倉庫街、旧文明の技術を取り入れた商社の社屋──歴史の積み重ねの象徴たる建築とそこに息づく幾千もの人生が、左から現れては右へ霞んでいく……。  川を遡り波を切る定期船のデッキから、メリーはその景色を眺めていた。何も

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ③

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ②

          ← 前の話 † ベネディクト・フロレクの手記  下水道関係にその手の話はつきものだ。誰も居ないのに水路の向こうから呼ばれるだの、それについていくと持っていかれるだの……。百年前の戦争でナチスから逃れたユダヤ人やポーランド人ゲリラが未だに潜んでいるなんていう、ちょっと方向性の違う与太話もあったが。  それは、いくらか教訓を交えて先輩から伝えられたもかもしれない。しかし、中には本当の話も混じっている。俺だって、怪しいものを見たのは一度や二度じゃない。それに今更、こんな世界で

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ②

          CREDO QUIA ABSURDUM 目次

          拙著「CREDO QUIA ABSURDUM」の概要と目次です。 あらすじ “文明恐慌”によって科学技術が衰退した近未来、遠き異境に建つルギニア連邦では、魔術師による犯罪や怪異による事件が頻発していた──。  「辺獄の調停者」を標榜するキリスト教異端、降下教会。髑髏を象った鉄鎚を振るう修道女、メリーもそこに属する異能者の一人。彼女は今日も、不可解な事件に巻き込まれる。 各話一覧第1話 Fiat lux  精神を病む母との関係に悩む少女ゾフィアは、アルバイト先の喫茶店で「

          CREDO QUIA ABSURDUM 目次

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ①

          1†  暗い地下水路の中に、男の荒い息遣いが反響していた。その呼吸音の中に、自分ではない何者かのものが混ざっているような気がして、彼は時折、口を抑えて周囲を見渡す。  だが、誰も居ない。いや、居たとしても見えないだろう。周囲にあるのは闇と湿気だけ。地面に置かれたランタンの灯りは頼りなく、かろうじてその周りを照らすのみ。安物の万年筆、業務に使っていたメモ用の裏紙、ウォッカの入っていただろう拾ってきた瓶、これもまた拾ってきた腐りかけのコルク……。 「────」  一呼吸深く

          CREDO QUIA ABSURDUM  2,プロテウス ①

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑪終

          ← 前の話 4†  シャルビア東、ポロニア川の岸辺に建つ病棟の窓から、一人の男が外を眺めていた。  シモン・スルニチェクである。  狭い病室には、病床を囲むように男たちが座っていた。その多くは屈強かつ太々しい顔つきで、明らかにあの教団の線の細い信者たちが見舞いに来たわけではなかった。かと言って、スルニチェクを利用していたマフィアたちではない。眉間に苦労を象徴するかのような皺を刻んだ彼らは、むしろその対極である。 「これで三日目だ、スルニチェクさん。今日も黙りか?」  

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑪終

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑩

          ← 前の話 † 「一つ、訊きたいことがあります」メリーの問いが空気を裂いた。「貴方自身は本当に知性を奪うことが救いになると、そう信じているのですか?」  教主──シモン・スルニチェクはいつも彼がするように説明しようとして、止めた。問いかける少女の瞳には、否定も怒りも感じない。ただ純粋さ──いや、真摯という言葉が近いだろうか──だけがあった。善も悪も関係なく、ただ男の信心が本心からのものであるのかだけを問うていた。 ──それに応えよう。  スルニチェクは教主としての仮面

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑩

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑨

          ← 前の話 †  目を開けると、柔らかな炎の色が飛び込んできた。まるで天と一体になったかのような高い天井、そこへ吸い込まれていくように伸びる柱。大理石の乳白色に燭台の炎色が滲み空間全てに光をもたらす。石のように冷たい空気には煤の匂いと乳香、そして夜露に濡れた草木の吐息が混じっている。 「ここは……?」  天国か、あるいは楽園かと思ったが──違う。確かに自分はまだ生きており、ここは見慣れた場所である。  硬い長椅子から身を起こして、ゾフィアはようやく気がついた。  教会

          CREDO QUIA ABSURDUM  1,Fiat lux ⑨